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2005-05-24

NHK「プロジェクトX」5/10放映分 「ムーブ!」で検証第二弾 (その2) プロX以前に作られたNHKドキュメンタリー、そして担当PD

いろいろ調べていくと、今回の捏造疑惑には、謎が多い。
実は、NHKが淀川工業高校グリークラブを扱ったのは、今回が初めてではない。今から10年前、95年に
 「歌たる! 浪速の熱いハーモニー」
というドキュメンタリーが作られている。この番組は、録音技術で、95年度の日本テレビ技術賞を受賞している。


35回 平成7年度(1995年度)
「歌たる! 浪速の熱いハーモニー」(日本放送協会)の録音 大島寛司

残念ながら、この番組は見ていないのだが、日本テレビ技術賞の受賞作品だから、今回のプロXの担当だった池田PDが見てないはずはない。
池田PDはプロX班のPDの一人で、これまで
第91回 2002年7月9日放送「幸せの鳥トキ 執念の誕生」
http://www.nhk.or.jp/projectx/91/index.htm
第130回 2003年11月11日放送「幻の絵巻復元 ニューヨークの激闘」
http://www.nhk.or.jp/projectx/130/index.htm
第143回 2004年5月11日放送「創意は無限なり」〜超音波診断機エコー〜 http://www.nhk.or.jp/projectx/143/index.htm
第154回 2004年10月5日放送「地上最強のマシーン F1への激闘」 http://www.nhk.or.jp/projectx/154/index.htm
の4本のプロXを作っている。

略歴その他はここに。
羨望の職業を追え! 〜テレビディレクター編〜
http://www.toshin.com/news/times/image/0401/2004-01P10.pdf

以下は、放送人としての池田PDへの批判である。仕事を離れた時の本人の人格を攻撃を意図しているのではない。テレビ人として、仕事をしている場合の池田PDへの批判である。

池田PDが淀工グリークラブ以前に作ったプロXのうち、エコーを除く三本は見ている。新潟局在局中に制作したという、トキのプロXは、あまり感心しなかった。
ところで、トキ絶滅にはNHKを始めとする放送局が深く関わっているという。


[追跡]20世紀 21世紀への伝言 トキへの挽歌
 ◇哀しい鳥よ。やはり野山で飛ばせたかった−−佐渡通信部長だった本間寅雄さん(73)
(略)
 確かに、カラスによってトキのヒナや卵が被害を受けた。68年、あるテレビ局が番組制作のためヘリを飛ばしてトキを追いかけた。神経質なトキはそれまでの営巣地だった新穂村の黒滝山から飛びたち、両津市立間の山中に移った。不運だったのはここがカラスの多い場所だったことだ。ともかくカラス天敵論は採卵作戦の引き金になり、やがては「これ以上、トキを野生に置くべきでない」という人工繁殖の論理に結びついた。

この記事にある「あるテレビ局」が実はNHKだ、といわれている。マスコミによる「トキフィーバー」は、営巣地からトキを追いだした。この後、トキは人工繁殖のために捕獲されることになる。

池田PDは、トキの取材時の話として、次のように語る。


トキの話は、まだ新潟局にいたときに担当しました。取材させていただいたトキ保護センター長の近辻さんは、トキの繁殖に失敗するたびにさんざんマスコミに叩かれてきたので、マスコミに対して不信感をお持ちだったようで、取材は難しいと言われていました。私も最初は、なかなか思うように取材が進まなかったのですが、『これが取材最後の日』という晩に、人工繁殖を決断したときのつらさ、飼育していたトキが次々と死んでいったときの絶望感、周囲に非難され街に出るのさえ怖かったことなど、繁殖に成功するまでの30年分の気持ちを、心を開いて話してくださったんです。このときは、本当に嬉しかったですね。スタジオ収録にもいらして頂いて、終わったあと、楽屋にご挨拶に行ったら、涙を流していらっしゃったんです。VTRを見ているうちにそれまでのいろいろなことを思い出されたのでしょう。それを見て、「ああ、本当に辛い思いをされたんだなあ」と改めて思いました。あの番組でその思いをすべて表現しきれたかどうかは疑問ですが、近辻さんご自身に喜んでいただけたことは、何よりも嬉しいことでした。

トキの人工繁殖が決まった経緯を知っていると、この反応は何か違うぞ〜、とわたしは思うのだが。
この「違うぞ〜」が、今回の取材時にも多々あったんじゃないのか?
基本的に池田PDは
 鈍いPD
なのだと思う。その鈍さが、異性を取材対象とする時に、最大限に発揮されてきたのが、これまでの池田PDの仕事なのではないか、という気がしてならない。取材対象は圧倒的に男性が多いはずだ。今回の取材時に、顧問の先生が
 気心が知れたつもりだった
と口にしていた。つまりは、取材対象は
 この人は信頼できる
と思っているのに、取材する側は、実はそこまで深く関わっていない、あるいは無意識に無視をしている、という人物なのではないだろうか。それは
 もう編集はできません
と、顧問の先生の要請をすげなく断って、恬として恥じないところからも伺えるし、校長先生の奥さんに、「ムーブ!」放映前日の深夜に電話を掛けてくる、しかもその時誠意ある対応をしていない、という行為からも感じ取れる。要は
 自分の目的のためには、取材対象が人間であるかどうかなど、気にしてない
非常に傲慢な態度で、取材をしている、ということになるのだ。ただ、人当たりはよさそうに見えるので、その場限りの関係として取材をする分にはこれまで問題がなかったのだ。

池田PD担当のプロXで多くのヒトが酷評しているものがある。もちろん、誰が作ったかで判断してるのではなく、  
 どうして、そこまで間違ったモノを平気で作れるのか
という角度で批判を浴びた回、それがF1の回だった。さほどF1に詳しくないわたしが見ても
 お前、それはホントか?
という内容で、車にちょっと詳しい周囲からは散々な言われようだったことを覚えている。それでも押し切って作ってしまう、企画が通ってしまう、という部分がプロXにはあり、特に技術系の回は、
 突っ込みを入れつつ、間違いの数を数える
のが、周囲の技術に詳しい人達の反応だった。そもそも技術に闇いスタッフが、
 苦難と感動の物語
を作ってるわけで、間違いは多いし、取り上げた内容を担当PD本人が理解していたのかすらアヤシイ回もある。池田PDの作ったエコーの回についても、そうした批判があるが、わたしは実際に見てないので、何とも判断できない。

今回のプロXが
 捏造
というなら、それはまず一つに
 池田PDのこれまでの番組制作態度
に起因するだろう。都合の悪いことには一切心を寄せない。自分の作ったフェイズに、取材対象を合わせる、という取材手法を取ってるだろうコトは、上記のトキの取材記からも伺えるし、今回の取材で
 キーパーソンである当時の校長先生(故人)の奥さんには「電話取材」しかしてない
ということからも、感じ取れる。恐らく、池田PDが思い描く
 プロXのあるべき姿

 工業高校のグリークラブに協力的な校長
というのは、齟齬するモノだったのだろう。

では、プロXにはどれくらいの時間を掛けるのか。本人が語っている。


 ディレクターの仕事は、ひと言でいえば、1本の番組を作り上げること。民放の場合は番組のコーナーごとにディレクターがいますが、「プロジェクトX」では番組の最初から最後まですべて一人のディレクターに任されていて、13人のディレクターがローテーションを組んで担当しています。
 1本の番組の制作期間は3〜4カ月。番組のテーマを決め、取材・ロケ、構成・編集、収録という順序(もっと詳しく!参照)で進めていきます。特に取材では、ふだんはお会いできないような、さまざまな道で活躍されている方々にいろいろなお話をしていただけるので、とても楽しいですね。
 取材といっても、一度では終わりません。誰でも見知らぬ人間にすぐ本音を話してくれるわけはないので、私という人間を信頼していただけるよう、相手のところに何度も何度も足を運びます。そうして信頼関係が築けて初めて、本音で話していただけるようになるのです。

実際の作業行程はこうなる。

テレビ番組はこうしてできる!

「プロジェクトX」ができるまで

(1)テーマ決定(約4ヵ月前)
  自分で探す場合もあれば、プロデューサーなどから「こんなのはどうか」とネタをもらうこともある。テーマを決めたら、下調べをして、大まかな内容を提出してOKをもらう。
(2)取材(約6週間)
  テーマに沿って幅広く取材し、誰を中心に番組を構成するかを決める。中心となる人物のほかにも、関係者に取材したり、資料や写真を調べるなどして、情報を集める。その都度、デスク(上司)と相談しながら進める。
(3)ロケ(約3週間)
  関係各所や関係者のインタビューなどを撮影する。
(4)構成・編集(約3週間)
  撮影してきたものを、今まで集めた情報と照らし合わせて再び構成し、図版なども用意して、VTRに編集する。完成したVTRのナレーション台本を書き、さらに効果音を入れ、ナレーターがナレーションを入れる。その都度、プロデューサーのチェックが入る。
(5)スタジオ収録(約1週間)
  ゲストに来ていただき、VTRを見ながら、スタジオでのインタビューを収録する。

完成(オンエア)


つまり、今回も6週間の取材の後に、3週間のロケがあり、スタジオ収録から完成に1週間掛けている。ということは、スタジオ収録の段階で、取材対象者にダメ出しをされた場合であっても、編集の手直しは可能である筈なのだ。
 今回の場合は、編集段階から、取材対象者からクレームが入ってるのを無視して、自分たちのシナリオに沿った編集をしている。つまりは、
 PDだけでなく、それより上の人達もグルになっている可能性が高い
のだ。NHKの場合、編集は、何度もやり直し、CPやデスクが試写でダメ出しをして、極端な場合は秒単位どころか、フレーム単位で修正をかけて完成する。(実際にフレーム単位で修正した知り合いがいる)
 プロX運命共同体
は、スタッフたちだけなら構わないのだが、プロXが対象にしている
 市井の人達
をその「プロX」構成のための犠牲にすることは許されない。その許されないことをしたのが、今回の5/10放映分だ、ということになる。

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