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2005-05-23

わたしのパパは誰? でもパパはお前に会いたくないんだ 人工授精で産まれた子の苦難

非配偶者間人工授精、すなわち
 夫の側に不妊の原因がある場合、まったくの他人から精子を貰って子供を産む不妊治療
は、長い歴史を持つ治療法だ。しかし、生まれてきた子供達がある程度成長して、その事実を知った時、「実の父親」が「これまで知らなかった我が子の出現」を歓迎するわけではない。
このたび初めて行われた厚生労働省の調査は、それを浮き彫りにしている。

「子に会いたくない」続々 人工授精で精子提供の「父」 2005年05月23日08時34分

 第三者の精子を使った人工授精(AID)で、精子を提供した人の多くは「生まれた子どもが遺伝的な父親を知りたいと考えるのは人情」と認めつつも「会いたいとは思わない」と考えている。精子提供者を対象に、厚生労働省の研究班が実施した初めての調査で、そんな意識が浮き彫りになった。生まれた子どもの「出自を知る権利」の扱いが課題となっているが、精子提供者には強い戸惑いがあるようだ。
 AIDは国内では50年以上の歴史があり、すでに1万数千人以上が生まれたと推計されている。国内の精子提供者はすべて匿名。調査は慶応大学病院で98〜04年に精子を提供した120人を対象に実施し、32人から回答を得た。
 遺伝的な父親を知りたいと思っている子どもたちがいることについては、67%が「そう思うのは人情で仕方がない」、18%が「当然の権利だ」と答え、理解を示した。
 その一方で、匿名が条件でも「会いたいと思わない」が88%に上った。「子どもが会いに来る可能性があるとしたら提供しなかったか」という質問には67%が「しなかった」と回答。「自分の生活や家庭が脅かされる」「子どもに何らかの責任を取らなければならないと感じる」などを理由に挙げた。
 厚労省の審議会は03年、第三者から精子や卵子、受精卵の提供を受けて生まれた子どもが15歳になった場合、遺伝上の親を特定できるとする報告書をまとめた。国はこの報告書を基に法案を提出する方針だったが、棚上げ状態が続いている。一方でAIDで生まれた子どもたちが、遺伝上の親を探す動きが広がっている。
 子どもの出自を知る権利を認めたスウェーデンやオランダでは、精子提供者が減っている。
 今回の調査を担当した慶応大産婦人科の久慈直昭講師は「提供から15年たてば、提供者の家庭環境も変わる。出自を知る権利を認めるかどうかは慎重に考えなければならない」といっている。


アメリカで実の父親を捜そうとするAIDで生まれた人々のドキュメンタリーをNHKが放映したことがある。
「親」を知りたい〜生殖医療・子どもからの問いかけ〜 2002年5月25日放映
http://www.nhk.or.jp/special/libraly/02/l0005/l0525.html
すでに老年にさしかかろうとしている男性が父を捜そうとするのだが、ある医大の医学生だったらしい、というところまでしか確認できないのだった。時間が経ちすぎている上に、情報がなかなか開示されないのだ。
この男性の運営するサイトでは、世界中の同じな悩みを抱える子ども達が、もしかしたら自分の「親」や「きょうだい」が見つかるのではないか、と情報を求めていた。

アメリカでは、第二次世界大戦後、戦争で生殖機能を失った帰還兵士が
 家族をもてるようにAIDが行われた
という社会的な背景がある。日本では
 跡継ぎを産むために
という社会的圧力あり、1948年から慶應大学医学部でAIDが行われている。精子提供者は、医学部の学生などとされているが、提供者についての情報は開示されてない。


日本のAID事情

1. AID(非配偶者間人工授精)の経緯

 日本のAIDは、1948年、慶応大学の安藤画一教授(慶応大学)が男性側に原因があり、なかなか妊娠しない夫婦に臨床応用したのが始まりです。翌年最初の赤ちゃんが出生しました。当初、第3者の精子を用いるという倫理的な問題を含むため、反対意見もありましたが、「赤ちゃんを希望する夫婦のために」と法的な規制はなく実施されてきました。1992年に男性不妊の治療に顕微授精が導入され、AID選択者は減少したといわれているものの、産婦人科学会の報告では、年間平均1,608組前後の夫婦がAIDを受け、164名の赤ちゃんが出生しています。(1998〜2002年平均)
(以下略)

AIDの問題では
 異母兄弟姉妹と結婚してしまう可能性がある
 遺伝的疾患因子を持っているかもしれないのに、開示されない
の二点が大きい。しかし、現実として
 遺伝的な父親が確かめがたい
のだ。一つには、
 日本でも、アメリカでも行われていたことだが、何人かの精子を混合して、AIDを行う
場合があるからだ。つまり、提供された精子自体が一人のものではない。
 父親をわからなくするための方便
だったそうだが、それが「遺伝学上の父」を探すのを余計困難にしている。

しかしな〜、子どもは親を選べないとはいえ、子どもの側からすると「生まれてきたい」と思って生まれてきたのではないのがAIDだ。要はその夫婦が
 半分は他人でもいいから、社会的に「自分の子ども」を持ちたい
と思ったから、生まれてきているのがAIDの子ども達。生まれるまでも、生まれた後も、大人の都合に振り回されているわけだ。少なくとも、子どもには自分の親を知る権利はあるだろう。自分の遺伝情報も知りたいだろう。
AIDで、時々囁かれているのは
 AIDで子どもが出来たモノの、父親が自分の子どもでないことを気にして、様々な問題が起きる
ということだ。成長していく我が子に、他の男の面影を見て、それに耐えきれずに離婚、などという悲劇あるというのは、時々耳にする。もちろん、そんな家族ばかりではないだろうが、AIDを選択した故のトラブルである。

子どもって何なの?という問いを、AIDは投げかける。戸籍上は赤の他人だが、実は異母兄弟姉妹だった、というヒトが友達や恋人や配偶者だったりする確率は低いかも知れないけれども、無いとはいえない。特に、「混合方式」だと、何人異母兄弟姉妹がいるかさえ分からない。
特殊な遺伝疾患では、劣性遺伝の場合もあるが、異母兄弟姉妹婚だと、生まれてくる子孫がそうした稀な疾病にかかる確率が高くなるだろう。遺伝学上の父親が家族性大腸ガンなどの因子を持っていれば、AIDで生まれた子どもも、ある日、重大な病気になるかも知れないが、そうした情報がないので、罹るまで分からない。
なにかのきっかけで、DNA鑑定をして、驚くことも出てくるのかなあ。また、近親者の臓器や骨髄の移植が必要な重い病気だったりしたときに、どうするのかなあ。小説みたいな本当の話がありそうで怖いのが、今現在のAIDで生まれた子ども達を取り巻いている。一番最初に日本で生まれたAID児は1948年生まれ、今年で57歳になる。

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