ザマみろ、広告代理店 テレビCMの落日
HD録画では、確実にCMはスキップされる。うちはまだVHS(それもS-VHS)で録画が中心だけど、ステレオ放送以外の民放の番組を録画するときは、CMカット機能を使って録画する。スポンサーにとっては
番組はCMのおまけ
だろうけれども、視聴者にとっては
CMは番組の邪魔
だからだ。
で、こんな統計結果が。
テレビCMの価値が奈落の底--ネットとHDDレコーダーで加速
藤本京子(編集部)
2005/05/31 22:03ブロードバンドやHDR(ハードディスク・レコーダー)が普及して、テレビの視聴に変化が起きている。野村総合研究所(NRI)が5月31日に公表した調査レポートで明らかになった。この調査の結果、NRIではテレビCM市場において約540億円の価値が失われたと試算し、「企業は広告のあり方や宣伝手法を考え直すべきだ」と提言している。
調査では、HDRの利用状況やブロードバンドの普及状況、メディア利用時間の変化に関して、インターネットアンケートを実施した。アンケートの実施期間は4月22日〜24日で、回答者数は3000人となっている。調査によると、HDRユーザーのうち、HDDに録画した番組を視聴する際にテレビCMをすべてスキップする人の割合は23.4%となっている。この数字と、テレビCMの80%以上をスキップする人の割合33.0%を合わせると、過半数の人がほとんどのCMをスキップしていることになる。
また、NRIでは「平均CMスキップ率64.3%」と、HDDに録画した番組の視聴割合である「平均録画消費率34.2%」、2004年から2005年の「HDR普及率」(グラフ1)を、公表されている企業の年間テレビ広告費(電通の「日本の広告費」2004年の数値)に掛け合わせると、2005年のテレビCM市場の約2.6%、金額にして約540億円の価値が失われると試算した。NRIは、「HDRの世帯普及率は今後も伸び続けることから、今後さらにテレビCMの価値は損なわれていく恐れがある」としている。
グラフ1:HDR世帯普及率の推計
http://japan.cnet.com/media/2005/news/05/050531_NRI01.gif
出典:NRI同調査では、ここ1年間でのメディア利用時間の増減も調査している。その結果、「インターネット(PC)の利用時間が増えた」と回答した人の割合が最も多かった(グラフ2)。これに対し、テレビや新聞、雑誌、ラジオのマスメディア4媒体では、利用時間が減った人の割合が、増えた人の割合の2〜3倍となった。つまり、インターネットが1人あたりのメディア利用時間の多くを取り込んでいることがわかる。NRIでは、今後のブロードバンド普及と、それに対応したネット上の情報量の増加によって、「テレビとの接触時間や影響度は減少し続けることが考えられる」としている。
グラフ2:ここ1年でのメディア接触時間の増減(回答の割合、%)
http://japan.cnet.com/media/2005/news/05/050531_NRI02.gif出典:NRI
3つの新たな宣伝手法を提示
NRIではこうした調査結果から、「企業はテレビCMをはじめとするマスメディアの広告価値を改めて考え直す必要がある」としている。また、従来の手法に代わる今後の具体的な広告や宣伝策として、次の3つを挙げている。
テレビ番組や映画、ゲームなどの中に、広告主の商品やブランドロゴを意図的に露出させる広告手法であるプロダクトプレイスメントによるプロモーション活動
インターネットやフリーペーパー等、新しい媒体への乗り換え
ポイントやマイレージ付与による、消費者への直接還元策
この中でもNRIは、ターゲットを絞ったインターネット広告や、携帯電話を利用したモバイル広告、ポイント付与サービスなど、消費者の個人的志向を意識した広告や宣伝形態が、2010年ごろまでに急成長する可能性が高いと見ている。その理由として同社では、(1)インターネット接触時間の増加や、ブロードバンド利用者およびコンテンツの増加によって、インターネット広告の価値が上がること、(2)ポイントサービスにおける提携が進み、提携先企業の顧客をターゲットとしたプロモーションが頻繁に行われること、(3)ICカードの普及とユビキタス化の進展により、適切な場所や時に合わせた広告配信が可能になることなどを挙げている。
テレビCMの特性は、テレビの高い同報性を利用した、映像と音による情報伝達だ。ただし、あくまでもテレビ波が受信でき、かつその時間に視聴者がその画面を見ていないと、メッセージは届かない。
いわゆるゴールデン枠と呼ばれる時間帯に全国放送でCMを打つ。それが、一流企業のステータスでもあり、そういうスポンサーに支えられる番組がテレビ局にとっては「イイ番組」であったのはそろそろ昔話になりつつある。
テレビ局自体が、番組制作能力を欠きつつある。どのチャンネルに合わせても、時間帯と番組の内容が似通っていれば、同じような演出、同じような出演者、同じような台本だ。
しかも
CMまたぎ
という悪辣な編集が当たり前になっている。CM前に盛り上げておいて、CM後にCM前数分前からの場面からもう一度やり直す、という
CM後にも視聴者を釘付けに出来る上に、尺に比して、中身を薄くできる編集手法
だ。これがあまりにも多用されているのがイヤで、チャンネルを合わせなくなった番組も多い。
広告代理店の方は、相変わらず、カスリで商売をしてるわけで、高い価格設定で、
ご提案
してくるわけだ。弟は食品会社に勤めているが、以前
なんであんな値段を出してくるんだか
とぼやいていた。ま、一般市民の常識とはかけ離れた金額で、CM業界は動いている。
もっとも、それもこれも
みんながテレビを見て、CMも見てくれている
という大前提があっての話。今は、NHKを筆頭につまらない番組が目白押し。そりゃ、テレビより、
自分の好きな時間に自分の好きなコンテンツにアクセスできるネット
の方がイイよ。もし、見たい番組があれば、録画しておけばいいんだし。録画するならできるだけ
CMはカットする方向で
ってことだし。
団塊の世代が退職するあと数年で、おそらくテレビ視聴者層とテレビCMに対するスポンサーの意識は劇的に変わる。てかさ〜、団塊の世代がひがな一日テレビなんか見てないって。いままでの
お年寄り
という概念は、農村共同体の幻想なので、捨てた方がイイ。
とすると
隙間があれば、そこに広告を詰め込む習性のある広告業界
は次なる一手を考えるに違いない。その手法はたぶん
サブリミナル広告に限りなく近いやり方
になっていくはずだ。
しかし、それにしても、だ。
今後5年間の「移行期間」というか、急激に
テレビCMが効果を失う、テレビ王朝末期
が訪れる。広告代理店のあの強気な値段設定は、そのまま保持されるのだろうか? 虚業の最たるモノなんだけどね。ほとんど、みんな
代理店のいうがまま
広告出稿をし、広告さえうまくいけば商品は売れる、と信じていたアンシャン・レジューム。広告代理店やテレビ局は、採用の際に、必ず大スポンサーがらみのコネ採用をして、売り上げの増加をはかってきた。建設会社が、大企業の子女を採用するのと同じ理由だ。
その構造が根底から崩れつつある。一番震撼してるのは
民放各社と広告代理店
だろう。そして、
視聴率調査会社と視聴率がらみで飯を食ってる連中
だろうな。
視聴率は絶対
というのは、
出稿したCMが有効だったか否かのバロメータ
として使われていたからだけれども、上記記事の示すグラフでは、テレビは急激に視聴者を減らし、その時間をネットに割いていることがわかるのだ。
おそらく、この5年で
構造改革できない民放と広告代理店
は、衰退していくだろう。2010年までが勝負と見ている。で、
デジタル放送
にみんな移行するかって? テレビ不要になれば、そんな高い機器を新たに導入するはずないじゃん。
以前、広告関係の研究班に出たら、みんな
とてもナイーブな広告観
を持っていて驚いた。てか、
テレビに幻想持ちすぎ
だった。一回こっきりで呼ばれないところを見ると、嫌われたんだろうけど、まあ、イイや。
研究班ができるあたりで、その事象の活性は失われるの法則
が、今回も発動だな〜。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント