明日のクローズアップ現代に高松塚古墳壁画の黴を見落としていた林温氏が登場!
明日のNHKクローズアップ現代だが
7月5日(火)放送予定 飛鳥美人は救えるか
それはいいのだが、番組内容に注目。
「飛鳥美人」で知られる奈良県明日香村の高松塚古墳壁画。先月下旬、文化庁は、カビの発生などが原因で劣化した壁画の保存をめぐり、かつてない決定を下した。壁画の描かれた石室を解体し、別の場所に移して修復しようというのだ。発見から33年、激しく劣化の進んだ壁画に、文化庁の保存対策を問題視する声も多い。石室は、なぜ解体されることになったのか、そして、前例のない「石室解体」は、どのように行われるのか。1300年の時を越えて守られてきた壁画の解体決定に至るプロセスと、難事業となる解体作業の課題に迫る。
(NO.2109)スタジオゲスト : 林 温さん(慶応大学・教授)
出来レースじゃん。
このクロ現はNHK奈良局の制作である。
周知の通り、林温氏は
唯一人、高松塚古墳石室内に毎年入って「目視」して現状報告をしていた人物
である。つまり、去年、中央公論社から
国宝 高松塚古墳壁画 中央公論美術出版
ISBN: 4-8055-0470-6
が出版され、高精細の写真が
黴で劣化した画面を公にするまで
黴被害について、バックレていた張本人である。
そのあたりの話はこれを。
消えゆく宝どうすれば…−石室解体、はぎ取り保存論も先月、一冊の写真集が考古学界に衝撃を与えた。文化庁監修で発行された「国宝高松塚古墳壁画」(中央公論美術出版)。発掘30周年の記念出版だったが、白かったはずのしっくいは全体が黒ずみ、西壁の「白虎」は猛々しい輪郭が消えて老いたネコのようになっていた。同古墳(7世紀末—8世紀初め)の発掘は昭和47年。文化庁の監視下で「現地保存」されてきた壁画に何が起きたのか。保存処理が始まるキトラ古墳(同)への対応も視野に、壁画のはぎ取りや解体論も浮上している。
▼劣化は当然
「人が老いるように壁画も劣化するのが当然。文化財の保存は劣化を遅らせることで、石室を開けたまま放置すれば一日でだめになってしまうだろう」。
文化庁で高松塚壁画の保存処置にかかわってきた三輪嘉六・九州国立博物館設立準備室長は、壁画の現状を極めて自然に受け止めている。
コンクリート製の保存施設は、石室内の環境を機械でコントロールしていると思われがちだが、調整できるのは建物内の温・湿度だけ。石室の環境は「自然」が管理してきた。
だが、築造から1300年間、色彩の衰えなかった壁画が、わずか30年で劣化すれば、自然現象では片付けられない。
河上邦彦・県立橿原考古学研究所付属博物館長は「点検で人が入ったり照明を当てたりすることが、壁画にとってものすごい負担になったのではないか。悪く言えば人災。保存科学で守られていると思っていたのは幻想だった」と管理体制に疑問を投げかける。
実は、文化庁が昭和62年に発行した保存処理の報告書にも、壁画のカラー写真が掲載されている。白虎はこの時点ですでに劣化、同庁もそれを認識していた。今回の写真集は平成14年9月から半年ほどかけて撮影された。
文化庁美術学芸課の林温・主任文化財調査官は白虎が薄れた原因について「黒っぽい線は墨と思われてきたが、薄れやすい顔料だった可能性もある」と指摘、「保存は非破壊が前提で、絵の具のサンプルも採取できなかった」と対応の難しさを強調する。▼情報を一元化、手打たず
同古墳の調査は県立橿原考古学研究所と関西大の考古学研究室が中心となって行われた。調査を指揮した同研究所の末永雅雄・初代所長は、壁画の発見から10日ほどで打ち切りを決断。「すべてを挙げて国家処理に移し、次代の国民に伝えるべき」(高松塚古墳中間報告書)として文化庁への引き渡しを決断した。
現場の責任者だった網干善教・関西大名誉教授(考古学)は「われわれは国を信じて保存を託した。劣化した壁画は元に戻らない」と怒りをあらわにする。
「全くひどい状態。早く手を打てばあそこまで傷まなかったはず。文化庁は点検などのデータをすべて明らかにして説明する必要がある」。
文化庁は情報を一元的に管理する一方、劣化を自然現象と考えて手を打ってこなかった。公開された写真でしか比較できない外部の人間にとって、白虎や青竜の老け方は驚くばかりだ。壁画が国民の財産である以上、劣化をゼロのように「錯覚」させてきた同庁に厳しい視線が向けられるのは当然だろう。
村教育委員会の藤田尚・文化財課長は「いつ点検に入って結果がどうだったのか、村は全く聞かされてこなかった。今後の保存対策をいっしょに考えるためにも情報の共有化が必要」という。▼キトラ古墳でもはぎ取り論浮上
壁画の悲惨な状態を前に、専門家の間では「はぎ取りしかない」との声も出始めた。河上氏は「石室を解体して保存するのも一つの方法」と指摘する。
一方、高松塚壁画を修復した増田勝彦・昭和女子大教授(文化財修復)は「現地保存はスロープだが、はぎ取りには階段を一段降りる覚悟がいる。命が助かるなら他はどうなってもいいという緊急性があって初めて着手できるだろう。成功しても表面が粉っぽくなるのは避けられない」と警鐘を鳴らす。
中国・陝西省の博物館には、はぎとった墳墓の壁画が展示されているが、退色が激しい上、欠損もあるという。
同村阿部山のキトラ古墳でも、文化庁の調査研究委員会ではぎ取り論が浮上している。
調査のきっかけを作った飛鳥古京顕彰会の上田俊和さん(64)は「はぎ取りとなれば口では言い表せない気持ち。できれば現状のまま保存してほしい。明日香にあってこその四神と天文図。もしはがすなら、古墳のすぐ近くに展示施設を設けてほしい」と訴える。(2004.7.5 奈良新聞)
キトラ古墳は現在壁画をはぎ取っている最中。
で、高松塚古墳の解体を宣告したのが、当の林温氏だったのは6/25に書いた。
NHKとしては、今後も高松塚・キトラ古墳の番組を作って行かなくてはいけないので、文化庁の顔色を窺っておかなくてはならない、という事情がある。それは新聞社や他のテレビ局なども同じで、展覧会に協力してもらったりするためにも、関係は良好じゃないとダメ、という背景がある。なので、このところ、この
高松塚古墳黴問題
については、どこのメディアもあまり真剣に叩かない。商売が絡むと、こんなもんだ。
ま、明日のクロ現を見てから、もう一度、この話をしよう。
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