子ども一人にかかる費用は最低でも1300万円? そりゃ少子化に拍車がかかるって
子ども一人を大学卒業まで育てたら、一体いくらかかるのか。
国の「国民生活白書」は1300万円とはじき出した。
21歳までの子育て費用1300万円 国民生活白書 2005年08月12日10時36分21歳まで子どもを育てるには平均約1300万円かかるという試算を、竹中経済財政相が12日の閣議に提出した05年版の国民生活白書「子育て世代の意識と生活」の中で行った。ただ、民間の試算に比べると半分以下の値。内閣府は「試算額が多いか少ないかは判断が分かれるだろうが、少子化対策の議論には経済的負担の問題が欠かせない」(国民生活局)とし、子どもを持ちやすいよう経済的負担の軽減をはかる必要があると指摘している。
白書で子育てにかかる費用を試算したのは初めて。総務省の03年の「家計調査」から、子どもがいることで増える教育費や食料費、保健医療費などの費目を抽出。子どもの年齢層ごとに子ども1人の世帯と子どものない世帯の平均支出の差額を出した。
その差額を、浪人などをしないで大学を卒業する直前の21歳までの22年間で足し合わせると、子どもを育てるために必要なのは約1302万円となった。うち教育費は528万円、食料費は310万円だった。
しかし、教育費だけでも、公立の幼稚園から高校まで通うという最も低額なケースでも約850万、私立幼稚園から私立大まででは約4400万円かかるという保険会社の試算もある。その場合、22年間の子育て費用は約2490万と約6060万にのぼる。
白書では、国立社会保障・人口問題研究所の02年の調査によると「理想の子ども数」は2.56人だが、夫婦が持とうとしている子どもは2.13人にとどまっているとしている。その理由を妻に聞いたところ「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(62.9%)が最も多かった。
若年層の夫婦の就業形態では「フルタイム同士」が減り、「パートタイム同士」が増え続けており、将来の見通しが立たないことも子どもを育てる余裕を持てない要因と分析している。
白書では「所得格差を固定化させないこと」を提言。(1)正社員かパート、アルバイトかの二者択一ではなく短時間勤務が可能な正社員など多様な働き方を認める(2)職業能力を向上できる教育訓練プログラムをもうける、などを提案している。
国の試算だから、当然のように突っ込みどころはいろいろある。
教育費は528万円
って、少なすぎないか?たとえば、高校受験のために塾に通ったとすると、月謝は2-3万くらいじゃないのかな。三年間通ったら、それだけで108万円だ。習い事をさせたりすれば、さらに教育費は上がるだろう。私立の学校に入れれば、学費が高いからそれだけで一気に増える。わたしの知ってる私立進学高校は年間の学費だけで100万円だ。ヘタな大学の学費より高い。
たとえば、保険会社のAIUは、こんな試算をしている。
京 都 新 聞 2005年(平成17年) 5月 27日 金曜日
子育て費用、家計に重く 誕生から大学卒業まで 国公立でも2985万円子どもの誕生から大学卒業までにかかる費用は、すべて国・公立校に進んだ場合でも2985万円−。米国系のAIU保険はこのほど「現代子育て経済考 2005年版」をまとめ、子育て費用を試算した。前回の調査(2001年4月)より126万円増えており、デフレ時代に子育て費用が家計に重くのしかかっている実情がくっきり。
試算は、出産費、食費や衣料費、お小遣いなど大学卒業までにかかる生活費を合計した「基本的養育費」と、授業料や文具費など「教育費」に大別、算出した。
このうち基本的養育費は1640万円で、前回より40万円とわずかながら減少。内訳は食費671万円、お小遣い額451万円、保険医療・理美容費百93万円、衣料費141万円。食費と衣料費、お小遣い額が減っており、長びく不況で苦しい家計を切りつめている姿が浮かび上がる。なお、今回からお小遣い額に携帯電話の通話料を加えた。
一方、教育費は学校教育費(授業料や制服代、PTA会費)、給食費、けいこごと、補助学習費(塾や家庭教師、図書費)など。幼稚園から大学まですべて国・公立に進む最もお金のかからないコースで、1345万円。前回比166万円の増額となった。
公立、私立別にみた教育費では公立幼稚園以外はいずれも増加している。中でも私立中学(525万円)と公立高校(252万円)は前回より約3割アップした。私立中学の場合は授業料の値上がりやけいこごと、公立高校は学校教育費そのものの負担増が大きいとみられる。
私立幼稚園、公立小、私立中、私立高、私立大医学・歯学系と進んだ場合が最もお金がかかり、4424万円。基本的養育費を加えると6064万円になる。なお今回は、私立小への進学率が全国的に低いとして、私立小に進んだ場合の試算を省いた。
試算の基礎データは、東京都や文部科学省など各官公庁や企業の資料を使っている。
AIUの調査だと
教育費を除く、基本的養育費が1640万円
教育費は、一番経費がかからない国公立コースでも1345万円
だ。子育て費用全部で1300万円という国の試算を、教育費だけで越えてしまう。
親孝行なそこそこ賢い子ども一人にかかる経費が3000万円弱
というわけで、
子ども一人でマンション一戸分かかる
という実感と一致する。そりゃあ、少子化に歯止めは掛からないってば。
持ち家幻想を振りまくのをやめて、上質で手頃な家賃の賃貸住宅を大量に供給するとか、消費税を倍増してでも、高校までの教育費の軽減を図るとか、よほど思い切った施策を採らないと、誰も
二人以上の子どもを積極的に持とう
とは思わないだろうな〜。もし
家のローン+子ども二人=一億円前後
という事実にみんなが気づけば、それだけで、よほど裕福な家庭でない限り、子どもを育てられない、と思ってしまうだろう。
しかも、子どもがニートになったら? 親の蓄えは、どんどん減ってゆく。ニートが、親を亡くしたら? 今度はニートを税金をつかって生活保護で養うのか?
もう、日本の子育ては、
怪談
のレベルに達してるような気がするな〜。ひょっとしたら
チキンゲーム
なのかも。
ハーバードで修士を取った大学院の後輩が、小学生の子どもを塾に入れたい、どこがいいだろう、と悩んでいると聞いた。相談を受けたのは大学院の同期だが、こちらは医者の家に生まれて、お嬢さん学校出身、「金のかかる教育」をふんだんに受けてきた人物だ。子どもには当然、お金をかけて育てている。
ハーバード修了の後輩は、そんなことを言いそうもなかった人なのだが、周りがそうだと、親も不安になるらしい。
手を掛けて育てても、一人前になる保証すらない。
どこで何がおかしくなっているのか、少しゆっくり考えないといけないな。
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