福岡発ホノルル行きの日航系機火を噴く (その2) 問題のエンジンは6月に改善通報されてたがJALウェイズは対応せず
ここに、一枚の写真がある。今回事故を起こしたJALウェイズ(JO)機の左翼エンジンを大写しにしたものだ。
http://www.yomiuri.co.jp/img/20050812it12-1-A20050812232235605L.jpg
機体番号も見えている。JA8545だ。事故発生後のJALのアナウンスでも次のように告知されている。
8月12日のJO058便の運航について
当社グループ便(JALウェイズ運航便)につきまして、下記の事例が発生いたしました。
多くの皆さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしたことを心より深くお詫び申し上げます。1.発生日 2005年8月12日 19時46分頃
2.発生場所 福岡空港離陸直後
3.便名・区間 JO058便 福岡空港発/ホノルル空港行 (JALウェイズ運航)
4.使用航空機 DC10型機(JA8545)
5.運航時刻 福岡空港:出発予定時刻 19:40 / 実出発時刻 19:32
6.搭乗者数 乗客216名(幼児1名含む) 運航乗務員3名 客室乗務員10名 総数229名
7.事例 福岡空港離陸後、NO1(左側)エンジンにトラブルが発生したため、福岡空港へ引き返しを決定し、20:20に着陸しました。
当該トラブルにより、福岡市東区社領付近に当該便の部品の一部(金属の細かい破片)が落下し、数名の方が軽い火傷および軽傷を負われた他、乗用車のフロントガラスが破損致しました。この度の事例において、お怪我や火傷を負われた方々、周囲にお住まいの皆さま、ご搭乗のお客様、ならびに広く社会の皆さまに対し、心より深くお詫び申し上げます。今後このような事態を発生させないために、さらに事実関係を調査し、原因究明を行なうとともに、再発防止に努めてまいります。
2005年8月13日
株式会社日本航空
ググると、この機体の写真はあちこちにある。
http://www.airliners.net/search/photo.search?regsearch=JA8545&distinct_entry=true
それだけではない。故障や不具合も少なからず報告されている。たとえば以下。
乗員速報 2002年1月トラブル集計
乗員速報 2003年2月トラブル集計
2003年5月トラブル集計では、今回火を噴いたJA8545を含むJAL保有のDC-10で8件のトラブルがあり、うち5件がエンジン周りのトラブルだった。JA8545のトラブルもエンジン関係だ。
RTO(離陸中断) 0件 GTB(地上引き返し) 19件
C/O(修理持ち越し)24件 F/C(フライトキャンセル) 9件
ATB(空中引き返し) 3件(目的地変更1件含む) S/C(機材変更) 11件
(略) 【TTL 86件】 注:データは組合調べ
《DC10》8件
5月3日JL327 JA8541 0+23 No3エンジン左側外板に亀裂の為、JA8134に機材変更 S/C
5月12日JO057 JA8539 0+45 左側、主静圧測定穴のヒーターの不作動
5月13日JL737 JA8534 0+35 No2自動操縦装置を外した時に、当該警報ライトが点灯しない
5月18日JL322 JA8542 0+50 No3エンジンの左側逆噴射装置に不具合 C/O
5月22日JL983 JA8542 FLT CNL エアーデーターのTEST機器の有効期限切れが発覚、再C'K作業が発生した為 F/C
5月25日JO057 JA8544 DIV 両側の気象用レーダーが不作動の為、成田へ目的地変更 DIV
5月25日JL701 JA8545 ATB&F/C No3エンジン排気温度計表示が変動し“0”表示となった為、空中引き返し ATB&F/C
5月30日JL322 JA8535 0+19 No3燃料ポンプを作動した時に、No3燃料が凍っていると言う警告灯が点灯 C/O
2003年5月25日のJA8545のトラブルでは、引き返した上に、フライトそのものがキャンセルになっている。JL701便というと、おそらく関空発香港行きの便だ。
で、この機体のエンジンは、今年6月に改善命令が出ていた。事故直後から、2ちゃんねるではこのことが話題になっている。【日航】福岡発ホノルル行きエンジントラブル★3スレッドより。
171 :名無しさん@6周年:2005/08/12(金) 23:50:49 ID:A9abK9Li0
JT9D エンジンブローか。古いエンジンだから たまにブローする事も
有るよ。離陸時はフルパワー出してっから。237 :名無しさん@6周年:2005/08/13(土) 00:00:10 ID:OsGEqvGi0
>>171
JT9Dちってエンジンの型番?
P&W?GE?970 :名無しさん@6周年:2005/08/13(土) 02:16:05 ID:Y476ryFx0
国土交通省航空局 開示 耐空性改善通報
4070A-2001(H13.12.17)6p.
プラット・アンド・ホイットニー式JT9D-59A、-70A、-7Q、-7Q3型:第6段低圧タービンのインナー・エアシールの破損により、発動機外へ破片が飛散する不具合防止。
たぶんこの形式のエンジンだとおもふ
と元々このエンジンはトラブルを抱えており、2001年にも改善通報が出ていたことが分かる。そして、今年の六月には、再度改善命令が出ている。【社会】"安全誓った日にトラブル" 日本航空、緊急会見…旅客機、エンジン火噴き&部品多数落下で スレッドより。
689 名前: 名無しさん@6周年 2005/08/13(土) 12:29:00 ID:Y476ryFx0
このエンジンは国土交通省から耐空性改善通報(TCD)が出たばかりだったTCD番号 5994A- -2005 種類 発動機 発行日 06/08 発効日 06/09
準拠AD 米国FAA AD 2005-05-13
適用 プラット・アンド・ホイットニー式JT9D-59A、-70A、-7Q及び-7Q3型発動機を装備した航空機
型式概要 高圧タービン第2段エア・シールのナイフ・エッジ上に亀裂が発生し、破損することにより、発動
機外に破片が飛散し航空機に損傷を与える不具合防止参照 プラット・アンド・ホイットニー・サービス・ブレティンJT9D 6454 Revision 3
SB等
上記に出てくる「耐空性改善通報」は以下に。
TCD発行一覧発行日: 2005年6月6日から
2005年6月10日まで
で、この改善通報が出ていたにもかかわらず、JALウェイズは何の対策も取らずに、今回の事故を起こした。このあたりのいい訳は、以下の記事に出てくる。
JAL系機事故:国交省、同型エンジン部品に改善通報福岡空港発ホノルル行きのJALウェイズ58便(DC10)が離陸直後にエンジンから出火した事故で、国土交通省が今年6月、同型エンジンの部品について「亀裂が生じ、破片が飛散する可能性がある」と改善・点検を求める「耐空性改善通報」を出していたことが分かった。エンジン内に6段あるタービンブレード(回転翼)のうち、前から2段目周辺の部品。通報による改善期間は5年以内とされており、親会社の日本航空は「時間的に余裕があるので改善していなかった」と説明している。日本航空は13日、この2段目のタービンブレードから後方の損傷が激しいことを明らかにした。
エンジンは米国のプラット・アンド・ホイットニー社製の「JT9D−59A」で、問題の部品は空気漏れを防ぐための「エア・シール」。
耐空性改善通報では、2段目のタービンブレード周辺にあるエア・シールについて「亀裂が生じ、破損することにより、発動機(エンジン)外に破片が飛散し航空機に損傷を与える」などとしている。
通報は同社から米国当局を通じて、国交省に報告され、6月9日付で発効していた。
今回の事故と類似性が指摘されている名古屋空港で起きた部品落下事故(01年6月)でも、2段目周辺の激しい損傷が確認されている。
日航広報部は「直す期限にはまだ時間があり、やっていなかった。原因はまだ分かっておらず、現時点では、この通報の指摘が事故につながったとは言えない」。同省航空機安全課は「見当外れとは言えないが、まだ原因が分かっていない段階であり、何も言えない」としている。【川上晃弘、曽田拓】
◇破片約600個を回収 福岡県警
福岡県警は13日も朝から、金属片の落下が確認された福岡市東区社領地区を中心に、約110人態勢で破片の回収を進め、12日と合わせて計約600個を回収した。【安達一成】
毎日新聞 2005年8月14日 3時00分
というわけで
日航広報部は「直す期限にはまだ時間があり、やっていなかった。原因はまだ分かっておらず、現時点では、この通報の指摘が事故につながったとは言えない」。
というコトだが、ホンネは
10月で廃止になるJOの使用機材だし、もうすぐ退役するから金を掛けて修理するのはもったいない
ってことじゃないのか、JALとJALウェイズ。ま、このDC-10は、
ボロッチャ
と悪口を叩かれる「リゾッチャ」にも使われる不採算路線投入機材で、できるだけ金を掛けたくないのは分かるが、人命を預かっているという意識はあまりないな、JAL。
わたしがハワイに行く時に絶対にJALを使わない理由はこのあたりにある。よくリゾッチャに乗れて嬉しい、とかいう人がいるのだが
古い機材を塗装して、チープなおまけで、善良な市民を騙す商売が「リゾッチャ」
だと思ってる。採算が厳しい路線で、妙な「サービス」がある、というのは、そのウラに何かあるわけで、
日本語の通じにくいJOの運航便
というあたりを考えれば、自ずとわかりそうなものだ。安い給料で雇える外国人乗務員を使ってるわけだからな。他のコストダウンも推して知るべし、だ。
そりゃ、このところ日本の飛行機は落ちてませんけど、事故があった時、「日系キャリア」なのに「日本語の通じにくい乗務員の多いフライト」に乗り合わせたら、どうなるか。緊急時に英語で叫べるか、自分で考えれば納得できるだろうと思う。それなら最初から、体格のイイ乗務員が多数乗り合わせる海外の航空会社を選んだ方が、まだマシだ。どうしてもJAL系に乗りたいなら、JALが運行する便に乗る方がイイかも。
続き。
JO058便は先月も欠航している。使用機材は今回同様のDC-10だ。同じ飛行機かどうかは分からない。
欠航便
(略)
2.機材故障によるもの
(略)
05年7月12日 JO057 D10 ホノルル 福岡 給油アダプター損傷の為、欠航。
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