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2006-01-09

東京国立博物館の考古学系展示は改善の余地だらけ

今年の干支の
 漢代の陶狗
をみたいばっかりに、上野の東京国立博物館(東博)へ行ってきた。
 新春特別展示 犬と吉祥の美術
本館特別1室・特別2室 2006年1月2日(月)〜1月29日(日)
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=2386
 展示作品
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=B06&processId=01&event_id=2232&event_idx=1&dispdate=2006/01/02
漢代の陶狗は、今年の年賀状に使った
 河南省輝県漢墓出土陶狗
とは違う、デフォルメされた形態。その隣にあった
 唐代の陶狗
の方が、まだしも輝県漢墓出土陶狗の描写に近かった。しかし、輝県漢墓出土陶狗って、現物はどこにあるんだろう。まさか文革期に破壊された?
この展示で出色は
 円山応挙 朝顔狗子図杉戸
だった。いや〜、子犬がかわいいことかわいいこと。あとは
 埴輪犬
かな? 地下のミュージアムショップへ行ったら
 埴輪犬と埴輪馬のぬいぐるみ
が売られていて、驚倒した。
 埴輪のぬいぐるみ
って何よ? JFAのマスコットだった
 ドギーとハニー
のマネですか? 馬の方は
 馬具の出来が良かったら、学生に説明するときの資料に買おうか
と思ったのだが、残念ながら、馬具の作りが甘かったので止めた。「辻金具」「磯」「後輪(しずわ)」「雲珠(うず)」など、馬具にはヘンな名称がたくさんあるんだけど、図で覚えるより、ブツを見た方が早いからなあ。

それはいいとしても、東博の展示法は、あまり
 親切な展示
ではない。見てきたのは上述の特別展以外に
 本館 国宝室の長谷川等伯 松林図
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=1750
や、
 日本美術の流れ
や、平成館の平常展→Map
 日本の考古
だったんだけど、
 「日本美術の流れ」と「日本の考古」の考古学的文物の展示法
がどうも今一だ。
 よく言えば網羅的、悪く言えば「自前のブツでやりすぎで、説明に必要な模造品が欠けている部分」あり
だ。てか
 あ〜、東博がこれを持ってるから、近畿のいろんな博物館の古代の展示に足りない部分があるんだな
というのもわかった。形象埴輪は、
 最近、続々と近畿から出土している資料のフォローがない
ので、
 東国からばかり、形象埴輪が出ているみたい
に見えるし。良くも悪くも
 教科書的展示
であって、面白くない。そりゃ、
 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
http://www.kashikoken.jp/museum/index.html

 大阪府立近つ飛鳥博物館みたいにしろ
http://www.mediajoy.com/chikatsu/index_j.html
とは言わないが、もっと
 時代の流れがわかりやすい展示法
というのはあるはず。ただ形式順に並べてるんなら
 19世紀の博物学的展示
と大差ないだろう。
せめて
 南京博物院
http://www.njmuseum.com/zh/index.htm
あたりに行って、
 見せる展示
というのを勉強して欲しい。ブツは持ってるんだからな〜、東博。あとは、東博が文物を所有してるがために全体像がわからない
 日本古代の技術伝播の流れと進歩
を、バーチャル博物館というか
 メタ展示博物館構想
でも立ち上げて、是非やって欲しい。館蔵品とそうでないものを総合的に扱うことによって
 〜世紀の〜地方の状況
が見えるように出来るはずだ。てか
 自前の館蔵品だけで成り立つ展示
って、今の時代にはつまらなすぎるし、全体像を見失ってしまうんじゃないの? それとも東博は、
 近畿は京博と奈良博、九州は九博に任せることにして、以後は東海以北の「ローカル博物館」に成り下がる
つもりなのか? どうも考古の展示を見ている限りでは
 東京帝室博物館
時代の意識から抜けきってないように見えるんだけど。
 

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