文化庁の担当官の目は節穴か 九月に黴を見落とし、高松塚古墳の女子像の顔に黒黴のしみが拡がる
致命的な見落としだ。彩色壁画についた黒黴は、見つけ次第除去しなければいけないが、一度ついた黒黴による汚れは二度と落とせない。
日本で二つしかない終末期の壁画古墳である高松塚の壁画を、文化庁の杜撰な管理体制がまた、汚損した。しかも、今回見つかった汚れの一つは顔の上。九月の段階で汚れが出始めていたのに、見落としたのである。
産経=共同より。
「飛鳥美人」の顔に黒い染み 肩にも、急がれる対策国宝壁画を修復・保存するため、石室解体が決まった奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末—8世紀初め)で、「飛鳥美人」と称される西壁の女性像の顔に黒い染みができていることが9日、文化庁などの調査で分かった。
高松塚壁画は劣化が明らかになり、数カ所にカビが見つかっているが、顔など中心部に汚れを確認したのは初めて。肩にも染みがあった。カビの可能性が高く、あらためて修復・保存の緊急性が裏付けられた形だ。
奈良市で開かれた「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」(座長・渡辺明義元文化財研究所理事長)で報告した。
文化庁によると、2日の定期点検で撮影した写真を精査。目元にほくろのような黒い染みがあると気付いた。過去の写真も調べ、昨年9月ごろ既にあったと分かった。
同じ女性像の肩に縦2センチ、横3センチの黒い染みがあるのも判明した。2004年に発行した写真集で、わずかに黒ずんでいたが、さらに濃くなり拡大したらしい
高松塚はカビ対策の緊急処置として冷却パイプを設置。昨年9月から、石室内部の温度を下げている。一時は壁画上に大量発生したゲル状の細菌やカビがほとんどなくなり、全体的に落ち着いた状況になっているという。(共同)
(02/09 20:18)
要するに
顔のしみ→昨年九月にすでに発生し始める
肩のしみ→2004年発行の写真集で確認できる
というわけで、
目視できた黴の徴候をことごとく文化庁の専門官が見落とした
のである。アホですか。
7/11から始まった
石室の冷却用パイプ設置工事
http://72.14.207.104/search?q=cache:OodYHsYwZgkJ:www.sanspo.com/sokuho/0711sokuho021.html+高松塚 冷却パイプ&hl=ja
9/2から始まった
石室のパイプによる冷却
http://www.sanin-chuo.co.jp/newspack/modules/news/article.php?storyid=249983015
は、こうした
黴繁殖の促進要素になりうる
可能性をはらんでいたわけだが、その間、文化庁は壁画の状態をチェックしてなかったってことですね。何をやっていたんだか。
少しでも古墳に外力が加わる工事
は、石室内の環境を大きく変える可能性があった。てか
結果が出なければ動けない悪しき官僚主義
が、文化財保護を優先することなく、目の前の
「石室の温度を下げる工事」の方を優先
したってことにならないのか。
予算は付いた、年度内に執行する
ってスケジュールにしか目が向かず、
守るべき壁画がどうなっていってるのか
ということをチェックできてなかったのではないか。それには
古代壁画を専門とする専門官がゼロに近い現在の文化庁の状況
が大きく与っていると思われる。漏れ聞くところでは、前任の林温・現慶應大学教授の後任は、少なくとも古代絵画の専門家ではないようだ。
文化財保護に金をけちる国家
は、来るべき少子高齢化による人口減少がはっきりしている現在、
世界の中で衰退していく国家
に違いないだろう。少子化の進む日本が、今後世界に誇り、残せるものの一つは間違いなく
文化財
なのだが、目先の利益を追って、
金にはならないが、かけがえのない文化財
を失うのは、
緩慢な国家の自殺
にほかならない。
追記。(2/10 15:00)今回の黴繁殖は7/11から夏期の高温多湿な時期に行われた冷却パイプ設置工事が何らかの引き金になった可能性が高いのではないか。わざわざ黴が繁殖しやすい時期にこうした工事を「緊急」に行った文化庁の「見識」が問われる。
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