トリノ五輪 浅田真央のいない五輪
サーシャ・コーエン一位、イリーナ・スルツカヤ二位と来て、荒川静香が大健闘で三位の女子フィギュアショートプ ログラム。この三人が頭抜けた得点で、少し置いて四位村主章枝だ。トリノ五輪の公式サイトより。
Ladies' Short Program
Rank/Name/NOC Code/Total Segment Score
1/COHEN Sasha /USA /66.73 /Q
2 /SLUTSKAYA Irina / RUS /66.70 /Q
3 /ARAKAWA Shizuka / JPN /66.02/Q
4 /SUGURI Fumie /JPN /61.75 /Q
5 /MEISSNER Kimmie /USA /59.40 /Q
6 /GEDEVANISHVILI Elene /GEO /57.90 /Q
7 /HUGHES Emily /USA /57.08 /Q
8 /ANDO Miki /JPN /56.00 /Q
八位以内に日本選手が三人入ってるのは結構だが、実はあまり見ていて楽しくなかった。それは
ジャンプの質
のせいだと気づいた。
今回、年齢制限にひっかかって五輪に出られなかった浅田真央だが、やはり彼女のジャンプはすばらしい。五輪を目標に、コーエンも、スルツカヤも荒川も調整してきているし、ショートプログラムのジャンプも無難にこなした。荒川は、最初の三回転-三回転を三回転-二回転に変更して、転倒のリスクを回避した。それでも66点出ているのだが、何かが足りない。何かとは
ジャンプの切れ
だ。
浅田真央の演技は、
ジャンプ以外は子ども
と言われるけれども、そのジャンプが素晴らしい。高さでは伊藤みどりが今でもトップクラスだろう。でも、浅田真央は
あたかも重力が存在しないように、軽々と飛ぶ
のが、目を瞠らせるのだ。そして、浅田真央の持つ幸福のオーラは、見る人をみな微笑ませる。
浅田真央のいないリンクは、年嵩のスケーターが争う場に変わった。今見ている競技がなんだか古くさく見えるのは、ジャンプの質を変え、フィギュアの演技の画期を築きそうな天才スケーターの滑りをすでに目にしてしまったからだ。メダルを争っているスケーター達は、熟練した滑り手だろうけれども、「時分の花」浅田真央の光の前にはくすんで見える。なんと言っても浅田真央は、いま三位までに入っている三人全員に勝っているのだ。グランプリシリーズ北京大会では荒川に(優勝はスルツカヤ、浅田は二位)、フランス大会ではコーエンと荒川に(優勝)、日本で開かれたグランプリファイナルでは北京大会の雪辱を果たして女王スルツカヤに(優勝)、浅田真央は勝った。
五輪は真の女王を決める場所ではない、と開幕前から言われてきたけれども、今日のショートプログラムを見ると、浅田真央のいない大会はやはりつまらない。
五輪狂想曲をよそに、浅田真央は四回転ジャンプの習得と、ステップなど基礎技術のブラッシュアップに励んでいるだろう。ジャンプ以外の技術を磨き、ジャンプもいま以上になったら。浅田真央は歴史に名を残すスケーターになるだろう。魅力的な少女には誘惑が多いが故に、その道は容易ではないだろうけれども。
安藤美姫は、最初のコンビネーションジャンプを失敗、スパイラルでも壁に激突しそうになった。いまの採点基準では、ショートプログラムでは、確実な演技を求められる。要求基準を満たせないと、厳しく減点される。
安藤美姫が現段階で八位ということは、フリーでは四回転をやるのか。確実にこなせるとは思えないし、もし、四回転を回転不足で失敗して転倒すると、男子の高橋選手のように、三回転の着地失敗とカウントされて、その部分は0点になる危険もある。
高橋選手のフリーの得点構成については、 いつもながらtac3gさんの以下の記事が詳しい。
資料室ノート 2006-02-18 観戦レポ:五輪・男子(1)/高橋大輔
http://d.hatena.ne.jp/tac3g/20060218
なお、フリー演技で、ジャンプがどういう場合に得点にならないかについても、tac3gさんが的確かつ明快に解説している。
資料室ノート 2006-02-20 FSでのジャンプの制限に関するまとめ
http://d.hatena.ne.jp/tac3g/20060220
「たくさんジャンプを飛んだのに、得点が伸びない」場合は、上記の制限にひっかかって、ゼロカウントされていることが多い。演技中にとっさにジャンプの種類を変えると、往々にしてこの制限のために、みすみす得点を失うことがある。今回の五輪では男子の高橋選手がそうだった。
なお、トヨタ入社(かつ中京大入学)が決まっている安藤美姫に、
トヨタのニュースリリース 2005/11/09 トヨタ自動車がフィギュアスケートの安藤美姫選手の来春の入社を内定
http://www.toyota.co.jp/jp/news/05/Nov/nt05_1108.html
トヨタは、谷亮子の五輪出場時と同様に、大応援団を組織しているという。
続き。
安藤美姫の「ジュニア時代に飛んだ四回転は、現在の審査基準では四回転にならない」という指摘がある。【フィギュア】安藤美姫の自己採点は61点…「順位ではなく4回転を跳びにきた」★2スレッドより。
54 :名無しさん@6周年:2006/02/22(水) 18:09:04 ID:lDLBQJoM0 ところで、安藤は本当に4回転飛べるの? 雑誌が言うには どうみても3.75回転で、 飛んだとしても 点が伸びないって話だけど。82 :名無しさん@6周年:2006/02/22(水) 18:24:56 ID:FFe8dGaf0
>54
TVで実際の映像使って説明があったけど、左足でジャンプして、
3回転半後に右足で着氷して半回転で4回転。
左足が着氷するまでで計算すれば4回転。
実質、氷から離れてる間は3.5回転。厳しく見ると3.5回転って、その番組では言ってたけど。
厳しく判定されて、飛べても、3.5回転じゃ、申請したプログラムの
申請と違うから、減点対象になるんじゃないの?どうなんだろう?詳しい人教えて下さい。
504 :名無しさん@6周年:2006/02/22(水) 20:16:18 ID:fYpvrZL30
>>54さんは、読み間違いです。
今の基準では、最低3.75回転必要なのですが、
安藤さんが昔飛んだ四回転は実質3.5回転なのです。
当時は、三回転ジャンプも同様の甘い基準で認定されていたので
「安藤さんは過去に四回転に成功したことがある」というのは事実であり否定しませんが
現在の基準に適う四回転を飛んだことは、一度もありません。
回転不足だということは本人も自覚しています。
だから、基準が変更されて以降、一度も認定されてないどころか、トライすることさえ避けてきました。
今回はやけくそでトライするようですが、成功することはありえません。
>>82
安藤さんの能力でベストのジャンプをしても、4Sのダウングレード(回転不足)と判定されます。
あるいは転倒。 この場合は3S扱い(更に転倒の減点)
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