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2006-04-12

文化庁、2002年に高松塚古墳壁画を損傷 黴除去時に

失敗は誰にでもある。
それが取り返しのつかない失敗だったとき、どう処置するかで、その後の評価は変わってくる。

まだ第一報しか入ってないのだが、
 2002年に黴の生えた高松塚古墳壁画を修復した際、壁画本体を損傷した
と、今日午前、文化庁が発表した。この事実は、4年以上経過した今まで、隠蔽されていたことになる。
共同より。


高松塚の極彩色壁画を損傷 文化庁がカビの除去中 [ 04月12日 10時40分 ]
共同通信

 奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末−8世紀初め)で2002年、石室で作業した文化庁の修復担当者が、極彩色の壁画(国宝)を傷つけていたことが12日、分かった。
 文化庁は関係者だけで修復、これまで事実関係を公表していなかった。
 同日午前に記者会見し説明。損傷事故の調査会を設置する考えを明らかにしたが、文化庁は高松塚の壁画劣化についても、長く明らかにしておらず、姿勢があらためて問われそうだ。
 文化庁によると、壁画の損傷は02年1月28日。石室でカビの除去作業をしていた担当者が誤って室内灯を倒し、西側の壁に当たって男子群像の衣服の一部、約1センチ四方がはがれ落ちた。同時に空気清浄機も倒れ、西壁の絵がない部分に長さ8センチの傷をつけた。


当時の文部科学大臣は遠山敦子氏だが、大臣の耳にまでこの
 国宝壁画損傷
という事実は伝わっていなかったのではないか。
国宝損傷という動かし難い事実をなぜ今まで隠蔽したのか、理解に苦しむ。2002年1月28日といえば、その約一週間前に大臣会見が開かれ、発見されたキトラ古墳の獸頭人身十二支像について、つぎのようなやりとりがあったばかりだった。

2002/01/22
平成14年1月22日大臣会見の概要

14.1.22
10:35〜10:47
文部科学省記者会見室

記者)
奈良県明日香村のキトラ古墳で十二支像の一部と見られる古代の壁画が発見されたという話がありますが、御見解はありますか。
大臣)
キトラ古墳は日本の宝の1つでございますけれども、また新しい事実が発見されたことで、日本の文化の深さと言いますか、キトラ古墳に秘められたいろいろな古代人の想いを感じることができます。どのように解釈されるかは専門家の研究を待って言うべきことでありますけれども、このような事実が次々に明らかにされていること自体は日本にとって、考古学についての興味が出るだけではなくて、古墳全体の意義が深まるわけでして、大変すばらしいことではないかと思います。非常に古い古墳がきちんと保存され、活用されて、その時代の文化の質が明らかになることは大変興味深いことだと思います。


しかし、実際には、この後すぐには、キトラ古墳の発掘・保存のための予算はつかず、本格的な再調査は2004年1月になるまで始まらなかった。高松塚古墳壁画は黴でどんどん劣化し、キトラ古墳壁画にも黴が生えて、「高松塚古墳石室解体・キトラ古墳壁画全面剥離」という現在の状況に至ったのである。
 2003年の状況 高松塚・キトラ古墳で黴
http://d.hatena.ne.jp/iori3/20030919/p1
なお、上記エントリー中の
 高松塚の植生の功罪
については謎。後の調査で、竹は無罪だったが、木の方は墳丘にがっちり根を張っていた。この木の根がどうなってるかは、墳丘を壊さないとわからなかったのだ。

続き。FNNの昼のニュースで文化庁の会見を流す。
 「隠したわけではないのですが」
と担当官が説明していたが、誰がどう考えても
 隠蔽
でしょう。

更に続き。要するに
 NHKが抜いた
のだな、このニュース。
Nhk1
Nhk2
Nhk3
Nhk4

高松塚壁画の損傷を公表せず(動画あり)

問題の箇所
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/04/12/20060412000015003.jpg

奈良県明日香村の高松塚古墳で4年前、石室内で作業をしていた担当者が誤って国宝の壁画に傷をつけたにもかかわらず、文化庁は事実を公表せず、関係者だけで補修をしていたことがわかりました。
高松塚古墳は、国宝に指定された極彩色の壁画で知られていますが、カビが相次いで発生して壁画の劣化が進んでいるため、石室を解体して壁画を修復することになっています。文化庁の内部資料によりますと、壁画が傷つけられたのは平成14年1月のことです。文化庁の担当者が石室に入ってカビの除去作業をしていた際に、中に置いていた室内灯に誤って触れ、室内灯が男子群像の描かれた西壁に当たって衣服の一部がおよそ1センチ四方、はく落しました。また、この日は床に置いていた空気清浄機も誤って倒し、西壁の壁画が描かれていない部分に、長さ8センチほどの傷をつけてしまいました。文化庁はこれらの事実を公表せずに関係者だけで補修し、おととし公開した写真では、傷はほとんど見えなくなっています。高松塚古墳をめぐっては、壁画が劣化している実態について積極的に公表してこなかったとして、文化庁の対応を批判する意見がありますが、国宝の壁画を傷つける重大なミスを公表しなかった文化庁の姿勢に対し、あらためて批判が集まりそうです。これについて文化庁は「傷つけてしまった原因は何か、その後の対応にどのような問題があったのか、調査を進めたい」と話しています。

04/12 04:28


おお、NHKの文化部GJ!
しかし、平成14年1月18日以降、文科大臣は替われども、文化庁長官はずっと河合隼雄先生なんだよな〜。キトラ・高松塚の問題発覚と河合長官在任時とがぴったり重なるのはお気の毒というかなんというか。
河合先生は奈良県内に自宅があるんだけど、キトラにしても高松塚にしても、お願いだからこれ以上、損傷をひどくしないようにしてほしいなあ。ま、長官に直接責任がある訳じゃないけど、上長としての責任はあった、ってことなんで。

続き。文化庁が今年2/9に開いた
 国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会(第5回)
で配布された
 資料2 国宝高松塚古墳壁画保存管理の経緯(平成18年2月3日まで)
http://www.bunka.go.jp/1hogo/pdf/takamatuduka_kentoukai5-2.pdf
に記された2002年1月28日の作業内容報告。


1月27日~29日 点検。石槨内にはカビ確認されず。微生物調査。石槨内床面清掃、消毒。

この時点でも隠蔽されてる訳ね。

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