パソコンは「家電」か Apple iBook/PowerbookG4のバッテリーリコールに関して
一昨日のエントリー
わが家のMacが燃えました! 韓国LG製バッテリーが発火・(その2)・(その3)
にたくさんの人が来て下さった。どうもありがとうございました。
前にも言ったけれども、わたしはマカーだ。もう10年以上Macを使っている。Macの前はEPSONの98互換機を使っていた。Macに移行したのは、ATOKが使えるようになったからで、そもそも物書きに使うためにパソコンを買ったのだから、快適な日本語変換環境がなければ、MacだろうがPCだろうが使いたいとは思わなかった。ビル・ゲイツは嫌いだけど、どうしても一太郎文書でファイルを添付してくるおじさんがいるのと、一部Windowsじゃないと動かない大事なソフトと文書があるので、PCも併用している。悔しいことに、PC用のATOKの方が、バージョンアップが速くて、デキがいい。この差は、MacのシェアがPCを逆転しない限り、たぶんずっと埋まらないだろう。
今よりも、パソコンがお馬鹿で使いにくい時代から使っているから、パソコンが家電のように、よほどのことがなければ、きちんと動いてくれるモノだ、という信仰はない。火を噴くかも知れないし、煙くらいはでてもしょうがないと思っている。
しかし、家の洗濯機が火を噴いたら、すぐに修理を呼ぶだろう。その時、
この洗濯機はリコールが掛かっていまして
と修理に告げられて、まるでリコールが掛かっていたのを知らなかったのが悪い、と言われたら、ぶち切れるだろうと思う。そもそも、家電の場合は、リコールが掛かってる機種なら、向こうから喜んで交換してくれるはずだ。
一昨日の火を噴いたiBookの話は、その後の続報がないから、果たしてどういうことだったのか、いまだに定かではない。知人はわたしのエントリーを読んで
風説の流布に当たる
と批判した。しかし、
一部のバッテリーに発火に危険があり、リコールが出ていた
のだし、iBookもその対象になっているのは事実だ。
知人は
すぐに2ちゃんねるに書き込むのが変だ
と思っているようだ。2ちゃんねるがあまり好きじゃない人なので、その点はかなりバイアスがかかっているだろう。
確かに、新・Mac板に
家のマシンが火を噴いた
というスレッドを立てるのは、
釣りでしかない
と思う人もいるだろうし
なぜわざわざ2ちゃんねるなぞに聞くのだ
と感じる人もいるだろう。わたしは、98互換機を使っている時代から
困ったときはネットで尋ねる
という癖が付いているので、一昨日の主婦1さんの行動が、変わっているとか、常識はずれだとは思わなかった。むしろ、
G4を使っているダンナが、これなら初心者でも使えるだろうと買ってきたiBookを、家電の一種だと思って使っていた主婦で、ネットに馴染んでいる
のであれば、おかしくないと思っている。たぶん
家の洗濯機が火を噴いた、どうしよう
というようなつもりで、スレッドを立てたんじゃないかな。ところが、家電を扱う掲示板ではなく
Mac愛好者が集う新・Mac板
だったものだから、話がちょっとややこしくなったんじゃないかな。
今回の事例が不幸にして本当だったとしても(もし、1さんが書いていた身体的・精神的被害が軽いモノであれば幸いである)、あるいは一部が疑うように「釣り」だったとしても
AppleがPowerbookG4とiBookの一部の機種で、電源のリコールを出している
という事実が伝わっただけでも、世の中の役には少しは立っているのじゃないかと思う。実際、
自分や家族の機種が対象かも知れないのに、リコールが掛かっていたのを知らなかった
という人達が何人もいた。そういう人達は、型番を確かめて、もし、該当する機種だったら、昨日あたり、すぐにAppleのサポートに電話しているだろう。
問題は
膝の上で使う可能性のあるPowerbookG4やiBookの電源が火を噴くかも知れないことを、実際に使ってる人が知らなかった
ことだ。もし、これが身近でつかう家電、たとえば
電動歯ブラシとか、電気剃刀の類
だったとすれば、メーカは大きな広告を出すし、テレビや新聞のニュースでも取り上げられるだろう。ところが、
非常に国内でシェアの小さいコンピュータの更にごく一部の機種が対象
であるために、告知が行き渡っていない。これが10年前のパソコンユーザなら、注意おさおさ怠りなく、メーカから送られてくるメールや告知の郵便に確実に目を通し、すぐにも取り替えに行くだろう。
しかし、いまやパソコンは
幼稚園へ上がる前の幼児から100歳のお年寄りまで
が使う、「家電のようなモノ」になっている。最近パソコンを使うようになった人達は、
家電が火を噴く
というのは、よほどの椿事だと信じているわけで、まさか
賢いパソコンが火を噴くかも知れない
とは、あまり考えない。メーカからのメールや郵便も、大量にやってくるDMに紛れて、読まれなかったりするし、家族に買って貰ったパソコンであれば、いよいよ「管理は家族」で、事情を知らないわけだ。
だが、今回の話があぶり出したのは、Appleは、10年前の
アクティブで有能なユーザがAppleユーザ
という認識で
家電のようなパソコン
を売ろうとしてるじゃないのか、ということだ。スタイリッシュなパソコンは大いに結構。だが、もし
危険がある部品のリコール
を出したなら、周知徹底を心がけて欲しい。どうも、今回の
電源リコール
については、Appleの企業努力が足りない、と感じるのだ。そもそも、サポートのページからリンクされている
電源リコールを告げるAppleのページ
バッテリー交換プログラム iBook G4 および PowerBook G4
https://depot.info.apple.com/batteryexchange/index.html
には、日本語訳が付いてない。これでは、
英語がわからない日本人には伝わらない
ってことじゃないのか。日本語訳は
ニュースリリースの2005年5月23日 アップル、iBookとPowerBookのバッテリーの自主回収について
http://www.apple.com/jp/news/2005/may/23battery.html
の方には出ているが、こんな古いニュースリリースをパソコン初心者がたどって読むとは考えにくい。
このあたりの不親切さは、Appleの信用を落とすだけだろう。本当に、Appleが
誰にでも簡単に使えるパソコン
を自負しているのなら、こういうところをこそ、是非、改善して貰いたいモノだ。
マニアではない、普通の人達が情報を得やすいサイト
であることは、今後のシェア拡大のためにも、強く望まれることだ。Appleのサイトって、昔からだけど
とっても情報がたぐりにくい
んだよね。
おまけ。リコールの出ている電源についてのニュースリリース。
アップル、iBookとPowerBookのバッテリーの自主回収について2005年5月20日、アップルは以下の製品の自主回収を発表しました。
これらの製品をお使いのお客様は、アップルから別途ご案内した場合を除き、ただちに使用を中止していただくようお願い致します。製品名:iBook G4およびPowerBook G4コンピュータ用のリチャージャブルバッテリー
該当台数:約225,000台(全世界)
コンピュータ製造会社:アップルコンピュータ(米国カリフォルニア州クパティーノ)
バッテリー製造会社:LG Chem Ltd.(韓国)
危険性:内部ショートによりバッテリーセルが過熱し、発火する可能性
事故/被害:アップルはこれまでにバッテリーの過熱に関する報告を全世界で6件受けています。この中には米国内での報告が2件含まれています。
説明:自主回収の対象となるリチウムイオンバッテリーは以下のコンピュータに使用されています。12インチiBook G4、12インチPowerBook G4および15インチ
PowerBook G4。対象となるバッテリーは、モデルナンバーがA1061、A1078または A1079で、シリアルナンバーがHQ441からHQ507または3X446から3X510で始まります。該当するコンピュータをお使いのお客様は、バッテリーを取り外して、底のラベルに記載されているモデルナンバーとシリアルナンバーを確認してください。上記以外のPowerBookまたはiBookのバッテリーは今回の自主回収の対象ではありません。12インチiBook G4
バッテリーモデルナンバー:A1061
シリアルナンバー:HQ441からHQ507まで12インチPowerBook G4
バッテリーモデルナンバー:A1079
シリアルナンバー:3X446から3X510まで15インチPowerBook G4
バッテリーモデルナンバー:A1078
シリアルナンバー:3X446から3X509まで販売ルート:該当するバッテリーを搭載したコンピュータは、全米および各国のアップル製品取扱販売店、カタログ通信販売店、アップルのオンラインストアおよび直営店を通じて2004年10月から2005年5月にかけて販売されました。バッテリーのみの販売も行われました。
組み立て地:台湾および中国対応策:該当するバッテリーをお持ちのお客様はすぐに使用を中止し、アップルのウェブサイト www.apple.com/jp/support/batteryexchange/ においてお使いのバッテリーのシリアルナンバーと照合し、該当する場合は交換をお申し込み下さい。無料でバッテリーを交換させていただきます。iBook またはPowerBook から回収対象のバッテリーを取り外した後、交換用のバッテリーが到着するまでの間は、ACアダプタを差し込んでコンピュータをお使い下さい。
4個以上のバッテリーを交換する必要がある場合や、ご質問のある場合には AppleCareサービス&サポートライン(0070-800-27753-1)までお電話でご連絡下さい(平日:午前9時から午後7時まで、土日祝日:午前9時から午後5時まで)。
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コメント
MacOSのソフトウェアアップデートで機種ID・シリアル・デバイス情報も一緒に渡して、ハードウェアリコール情報も一緒に受け取って欲しいですね。プライバシー上の問題があれば、ぜひ解決して実現して欲しい。AppleとMacintoshとMacOSの仲なら、それができると思います。
投稿: 0020 | 2006-04-11 11:25