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2006-05-12

赤ちゃんが病気になったら 身近な医療格差

大学教養の同級生から、深刻なメールが届いた。六ヶ月の赤ちゃんが重い病気に罹っているという。緊急手術をしたが、思わしくないらしい。取りあえず、自分の出来る範囲の返事をした。
手元には、今年の年賀状がある。嬉しそうな顔でちいさな弟を抱くおにいちゃんが写っている。抱かれている赤ちゃんは、目がくりくりしていてかわいい。写真で見る限り、そんなに大変な病が、赤ちゃんの身体に潜んでいる様子は見えない。おそらく、それは友人の家族にとっても同じことだっただろう。

少子化で小児科が減っている。休みが取りにくく、医療事故があると裁判になりやすい産科の医師も減っている。子供を産むときには、産む場所を考えなくてはならない時代になった。育てるにも育てにくい時代になった。近所にかかりつけの小児科の先生がいる、という環境は、一部の都市部を除いて確実に失われている。

産科だけあってもダメだ。生まれ落ちたら、赤ちゃんの医療は小児科の守備範囲だ。妊娠22週から生後七日までを周産期という。周産期医療では、難しいあかちゃんを引き受けることになるが、ダイエット妊婦や高齢出産が増えてきた現在、周産期でのトラブルはたぶん増えているのではないかと思う。もちろん、安産で母子ともに健康、というのが一番だ。しかし、お産では、ちょっとしたことで、命に関わる事態に至る。
ちゃんとした周産期医療を受けられるかどうかを産む方が覚悟してるのか、気になってしょうがない。豪華な産院で産むのはいいけど、周産期のケアは大丈夫? 

無事に生まれて、無事に育つ。
近代の産科と小児科の戦いは、そこにあったはずだ。多産多死から少産少死へ。20年ほど前には、近代医療はお産と周産期・一年未満の乳児の病気をほぼうまくコントロールしていたように見えてたけれども、どうやらそれは確たる事実ではなかったようだ。

友人の場合は、近所の小児科から、すぐに総合病院に搬送してもらえた。総合病院には赤ちゃんが罹っている病気の専門医がいた。それでも、なかなか病気の様子がわからなかったらしい。
県庁所在地でこれだから、県内の他の自治体なら、もっと時間が掛かっていたかも知れない。

こうした医療体制すら、取れない地域がある。赤ちゃんの様子がおかしい。しかし、救急搬送先を捜すことすら、ままならないのだ。
昨日のNHK「クローズアップ現代」では、小児科のない兵庫県の自治体の話を取り上げていた。もし、救急搬送しなくてはならない子どもがいたら、隣の県まで搬送しなくてはいけないという。
北海道だと、さらに医療格差はひどい。高校生の頃、道南には専門外来を持つ眼科がなくて、患者さんは「汽車」(実際にはディーゼル車だけど)で札幌まで出てきていた。その後、北海道の人口分布はほぼ札幌に一極集中して、他の地域は人が増えてないようだから、札幌市内とそれ以外の地域の医療格差は、どんどん拡大してるのではないかと思う。もちろん、札幌市内でも「最初にどの病院にかかるか」で、その後の成り行きが変わる。こうした傾向が改善されるといいのだが、なぜか医療情報というのは、このインターネット時代で、却ってわかりにくくなってるような気すらする。

産科も小児科もない、ということは、子どもを安心して産み、育てることが出来ないということだ。
里帰り出産も、場合によっては出来なくなっている。
子どもを育てるにも、いざとなったら、専門医療が受けられる病院が近くにあるかどうかが問題だ。小児科、眼科、耳鼻科、整形外科、皮膚科など、子どもが育つ過程で、お世話になる可能性のある病院はいろいろある。東京に住んでいれば、このあたりはあまり悩まないかも知れないが、いざ地方に出ると、びっくりすることが多い。
子どもの病気は進行が速い。迅速に手を打たなければ、確実に悪くなる病気がある。そうなったときに、
 病院まで往復半日以上
は、子どもも家族もつらい。小児眼科だとよくある光景なんだけどね。
医者の数は増えているが、確実な医療を受けられる環境が減っているのは、やっぱり国の医療政策が根本的に間違ってるんじゃないのか。昨日のクロ現では、
 研修医制度に問題あり
という話だったけど、原因はそれだけではなさそうだ。

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コメント

クロ現見ましたけど、原因は、あれだけじゃないですよね。
最近はずっと産科スレ読んでます。

産科医絶滅史(第10巻) ~私は(他)貝になりたい~
http://society3.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1147338635/

過去ログ共にかなり興味深いことかかれてます。
国は、少子化対策とかいってますけど、
こんなんじゃ、改善は絶対に無理だと思われます。

投稿: KAT | 2006-05-13 08:55

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