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2006-05-02

高松塚古墳黴問題 奈良県選出民主党前川清成参議院議員の質問主意書とその答弁書

先日、高松塚古墳の黴問題について、4/28付けでこんな記事が出た。朝日より。


高松塚古墳、カビの原因は崩落止め工事

2006年04月28日23時03分
 カビなどが原因で国宝壁画が劣化した奈良県明日香村の高松塚古墳で01年2月、崩落止め工事の建設作業員が防護服を着けずに作業していた問題で、政府は28日、この工事がきっかけでカビが大量発生したという見解を示した。前川清成参院議員(民主)の質問主意書に答えた。

 閣議決定した答弁書では、工事のカビ対策が不十分で、この直後に古墳内でカビが大量発生したとし、石室内のカビ発生にもつながったと回答。しかし、防護服については「マニュアルでは(石室内の)壁画修理の際の用具としている」とし、工事の際には石室内に立ち入っていないと説明している。

前川清成議員は、奈良県選出。で、4/28付けニュースに出てくる質問主意書と答弁書は前川議員の公式サイトでまだ公開されていないが、3/8日付の質問主意書と答弁書があった。
質問主意書   高松塚古墳壁画保存等について  平成18年3月8日提出
河合隼雄文化庁長官が、何故、高松塚古墳壁画写真集序文で「三十年を経ても変わらず保存されている」発言をしているかという質問への答弁がなかなか凄い。一読驚嘆。
徹頭徹尾、文化庁は「黴の発生は最初からあったし、ちゃんと公表していた」と言い抜けているあたりも素晴らしい。
官僚がいかに責任を逃れるために作文するかの見本としては、貴重だ。
ま、他の省庁の官僚諸氏から見れば、「まだまだ」なのかも知れませんが。
(追記 14:13 前川清成議員の公式サイトにある「国会議事録」という質問主意書などを掲載したコーナーは最終更新が3/30になっていて、それ以降の質問主意書と答弁書はまだ載ってない。毎日覗いてるんだけど、更新はGW明けかなあ〜。ちなみに、奈良新聞には
 奈良県選出 国会議員 週間報告
http://www.nara-shimbun.com/special/weekly_report/index.shtml
というコーナーがあるが、基本的に金帰火来で東京に帰った後に、地元でなにをやってたかが出るので、日程を確認する時に使えるくらいかな。「書いてないこと」をチェックする方が重要かも。)

おまけ。
河合隼雄長官の序文を書いた人は、昨年の大地舜氏の取材によればこの人。

「誰が国宝・高松塚古墳壁画を殺したのか?高松塚古墳石室解体にみる文化庁の体質」 大地舜 10月3日


成功した文化庁の自爆テロ
 河合隼雄文化庁長官は逃げ腰だった。
 高松塚古墳に関するインタビューを申し込んでも、応じてくれない。理由は、行政業務はすべて次長以下がしきっているからだという(注1)。
 河合長官のこの逃げ腰は、見事なまでに文化庁の体質を象徴している。そう、大義(国宝を守る)よりも小義(身を守る)を優先するのだ。
 二〇〇四年に出版された『国宝 高松塚古墳壁画』の序文で、河合長官は「幸い、三〇年を経ても壁画は大きな損傷あるいは褪色もなく保存されております」と書いている。だが二〇〇五年六月に、損傷と褪色の激しい壁画は石室(墓室)を解体して修理されることに決定された。
 これはいったいどういうことだ?
 一年〜二年で、壁画が褪色したのか? あるいは損傷を受けたのか?
 調べてみると高松塚壁画発見二五周年の一九九七年年三月に、文化庁の林温文化財主任調査官(当時)は「これまでのところ異常はない。現在の保存方法でいいと思う」と新聞記者に語っている(注2)。
 三〇周年の時にも、文化庁は「異常なし」と報告している。
 さらに調べてみると、文化庁は過去三〇年以上に渡って「壁画に褪色や損傷がみられる」とは一度も国民に報告をしていない。
 ところが、二〇〇四年に出版された『国宝 高松塚古墳壁画』には、壁画の損傷・褪色が鮮明に現れている。
(略)

 毎年のように現場で壁画を見ている文化財調査官が、壁画の褪色に気づかなかったとは思えない。
 そこで当時の美術学芸課(注3)の文化財主任調査官であった林温慶応大学教授にその辺りの事情を聞いてみた。
———当然、褪色には気づいていたと思いますが、いつから気づいていたのですか?
林:二五周年の時です。NHKと新聞社の取材があって、ガラス戸越しにTVカメラで撮影したのですが、そのとき「問題ありませんか?」と記者の方に聞かれたんです。私自身はどうも見えにくいな、と感じ、同僚の小林君(考古担当)と「なんか暗くなっている感じだね」と話していました。でも、記者の質問に対しては「問題ありません」と答えました。個人的には問題無いと言い切れないものがあり、当然、そのことを課長にも言いました。その頃から、現状を公表する方法を考えていたんです。
———それで写真集の出版を企画されたのですね?
林:そうです。壁画が一般公開できないなら、何らかの形で公開しないといけないことは、当時の課長も理解していました。
———記者たちに「問題があるとは」言えなかったのですか?
林:私も組織の人間ですから個人の意見は言えません。うっかり言うと、文化庁の公式見解だと受け取られます。公務員になるときに言われたのは、「君が学問をやるのは構わない。しかし仕事でやっている部分は、個人の意見を出してはいけない」ということでした。それに一九八七年に文化庁から『国宝 高松塚古墳壁画—修理と保存—』という本がでています。この本の写真と比べると、二五周年の頃の壁画の絵もそれほど変わっていません。白地が黒ずんでいるかな・・・という程度の認識です。
———三〇周年だった二〇〇二年にも「問題はありません」と記者に答えていますよね。
林:あれはつらかった・・・。読売新聞の記者が訪ねてきて「本も出るそうですが、大きな問題はないですか?」と聞かれたんです。これは二〇〇一年に大発生していたカビについての質問ではなく、明らかに壁画についての質問でした。当時、カビのことはすでに報道されていたのです。そこで「大きな問題はないと思います」と答えたのですが、気持ちとは別でした。記者が帰った後、当時の課長に泣き言を言ったのですが、「しょうがないよ」と言われてしまいました。
———写真集を出すのはまずい、という話は出ませんでしたか?
林:出ましたよ。でも当時の湯山賢一課長も、東京文化財研究所の渡辺明義所長も出すことに「うん」と言ってくれました。彼らだって苦しかったんだと思います。現状を知らせなければ、というみんなの思いがあったと思います。
———文化庁長官の序文を作文されたそうですが、絵が消えているという認識はなかったのですか?
林:それは考えかたです。多くの重要文化財の保存にかかわってきましたが、ほとんどの文化財は人で言うと八〇歳とか九〇歳の老齢です。保護するということは老化を遅らせるだけで、若返らすわけではありません。高松塚の場合は、発見当初から崩壊寸前でした。それを修理保存関係者の努力で必死に何とか食い止めたのです。私の前任者たちには壁画が消滅するのを防いだ、という達成感と自負があります。たしかに線は薄れていますが他は残っています。マイナスの面だけを見ないで、客観的に見て欲しいと思います。
(以下略)

林温慶應大学教授に関しては、過去にこんな記事を書いた。
 2005/9/27 高松塚古墳壁画退色問題 誰がウソをついたか
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2005/09/post_ec6e.html
 2005/9/9 高松塚古墳壁画、白虎画像に黒黴 完全除去は不可能
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2005/09/post_5404.html
 2005/7/5 NHK クローズアップ現代 飛鳥美人は救えるか? 7/5 19:30-19:57
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2005/07/nhk75_19301957_1069.html
 2005/7/4 明日のクローズアップ現代に高松塚古墳壁画の黴を見落としていた林温氏が登場!
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2005/07/post_25c1.html
結局、文化庁の関係者は誰も責任を取らないんだろうな。ちなみに林温氏は、壁画担当としては最近の担当官だったわけで、過去にはまだたくさんの「担当官」が存在する。

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