盗作疑惑 芸術選奨受賞画家の行方(その20) 国画会は知っていた 2002年の東郷青児賞受賞時からすでに噂に
和田義彦氏が所属している(まだ退会したかどうか不明)国画会の入会基準は結構厳しい。
Q6: 国画会の会員にはどのようにすればなれるのですか?A: 先ず一般出品からスタートし、連続5回以上の入選、または10回の入選,あるいは受賞して 会友となります。さらに、受賞や経験を重ね作品審査の上絵画部会員全員の投票により準会員となります。(準会員はその後、無鑑査となり落選することはなくなります。)次に、準会員を対象に絵画部会員による作品審査、投票を経て、人柄なども考慮した上で会員推挙とその承認を得て会員となります。
つまり
入選連続五回or入選十回で会友→会員の審査・投票で準会員(ここで無鑑査に)→会員の審査・投票で会員
という三段階を経て、ようやく「国画会会員」を名乗れるというわけだ。で、突っ込みどころは赤で示した通り
人柄なども考慮
ってところか? まあ、和田義彦氏は、
魅力的に映る人柄
なのだろうね。そうでなければ、あれだけ大量のタニマチを惹きつけることは出来ない。
で、実は
スーギ氏の作品を「模写」したと覚しい作品が「東郷青児賞」を取っちゃった
ワケなのだが、この件について、どうやら
国画会内部では、「アレはマズイだろ」という話になっていた
というのである。やれやれ。
まずは、「東郷青児賞」の疑惑について。5/31付けの産経より。
絵画盗作疑惑 東郷青児美術館大賞の作品でも酷似自作「交差点のバー」の横に立つアルベルト・スギ氏=ローマ市内のアトリエ(共同)
http://www.sankei.co.jp/news/060531/sha089-1.jpg
≪スギ氏に同様の構図の作品≫
今春の芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した洋画家、和田義彦氏(66)が、イタリア人画家のアルベルト・スギ氏(77)の絵に酷似した作品を多数発表している問題で、和田氏が平成14年に「安田火災(現損保ジャパン)東郷青児美術館大賞」を受けた作品も、スギ氏に同様の構図の作品があることが31日、分かった。スギ氏の画集やホームページには載っていない作品で、類似作品の数はさらに増える可能性がある。
問題の作品は、和田氏が13年に個展で発表した「想」。「深い内面性と象徴性を感じさせる代表作」と評価され、翌年の大賞に選ばれた。ところが、スギ氏は構図などがよく似た自作「交差点のバー」をアトリエに所蔵しており、1998〜99年に制作したとしている。サイズは「想」より小さい。酒場の風景とみられ、テーブルや柱、人物の配置や姿勢、瓶やグラスなどの小道具もほぼ同じ。
和田氏の「想」は、芸術選奨の主な受賞理由となった平成17年の巡回展「ドラマとポエジーの画家 和田義彦展」にも出品された。
文化庁が多数の酷似作品について調査を進めているが、和田氏は「盗作ではない」とし、スギ氏は「自分の作品の模写だ」と主張するなど言い分は対立している。
(05/31 17:00)
拾いものの比較画像。産経の記事では正面から絵を撮ってないので、補正してくれたヒトがいる。
で、国画会関係者とか国画会会員の教え子がこんな書き込みをしている。和田義彦盗作疑惑スレッドより。
37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/05/31(水) 22:44:27
国画会の内部では、「和田の作品はヤバイよ」と以前から噂だった。
アルベルト・スギの画集は日本では手に入らないので、イタリアから取り寄せて、
和田の図録と見比べていた、まさにそのタイミングでマスコミに出てしまった。
「あれは盗作と言われても弁解の余地なし」
と、国画会所属の東京芸大出身の先生が話してくれた。56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2006/06/02(金) 11:50:37
出品者です。けど特にシンパシー持ってません。芸術の「学校」みたいに
思ってます。
2ちゃんにある無知でアサッテの会への中傷には腹立つけどね。>>37
なんたって、4年前損保の賞貰ったときから国画で噂になってたらしいよ。
あれはヤバイって。じゃあなんでその時に調査しなかったのよ。セクハラ疑惑も含めて、前から
問題児だったんじゃないのかね。
…どこの団体もそうだろうと思うけど、そう簡単に首を切れない事情っての
はあるんだろうが、損保ジャパン大賞を前に会のメンツが優先してしまった、
と思われても仕方ない。80周年どころじゃないだろ。なんか手元に記念誌
とか来たけどさw。
これは団体展だけでなく、日本の美術全体を揺るがす重大問題だよ。
(絵描きの端くれとしては、これでウミがでて、少しは風通しよくなるかな、
と期待していたりする)
「ばれなきゃイイや、会員が賞取れば、国画会としてもイイ宣伝だし」ってことかな〜。
しかし、各地のカルチャーセンターなどで
油絵・デッサン 講師(国画会所属)
というヒトがたくさんいるわけですが、今頃、頭痛いんだろうなあ。ま、ついてる生徒さんたちは善良な素人さん達だろうから、センセイを疑うなんてことはしないけどね。
この問題を、あまり新聞社が追求しないのは、
各社がそれぞれカルチャースクールを運営していて、そこからの実入りが大きく、講師をお願いしている洋画関係者に火の粉が掛かると大変
というソロバン勘定が先に立っているというのも理由の一つだ。たぶん、どの新聞社のカルチャースクールにも
国画会会員のセンセイ
は複数いるはずだ。なんせ、カルチャースクール絵画って、
素人絵描きさんからお金を巻き上げるための、大事なシステムの一角
だからね。
国画会ではないが、母がある団体展の会員だ。彼女は60歳になって、腱鞘炎がひどくなったので、それまでやっていたお花の先生を辞めて、絵を始めた。それから20年。この数年は、団体展の常連となり、毎年の団体展図録に作品が掲載されている。入選する度に、いくつかの画商から電話が掛かってきて、
先生の作品をお預かりしたいのですが
とか
先生の作品をカタログに掲載して、皆様にご紹介したいのですが
と言ってくるのだが、画商はタダで預かったり、カタログに掲載してくれるワケじゃない。母はその都度
わたしは主婦で、素人ですから
と言って断っている。去年の入選作は今までで一番いい出来だったから、電話の本数も多かったけど、横で見ていて
おお、こうやって素人絵描きから金を巻き上げるのか
と感心した。
わたしもあの絵は好きだ。その内額装して、家に飾ろう。100号以上あるから、普通の民家であるわが家では、壁一面になるけど。
公募団体展というのは
高級カルチャーセンターの胴元
みたいなもので
その団体に所属する先生について絵の勉強をする
そこそこの腕になると「何々展」に出品しないか、と先生から声が掛かる
作品を何点か(母の場合は毎回100号くらいの油彩を3点くらい)出品
審査には、先生が参加していて、弟子の作品をプッシュ、他の審査員がイイ作品だと認めれば、入選
というのが、母の「趣味の絵描き」生活から見えてくるパターンだ。もちろん、先生は
出品作の元になる写真選び(自分で撮った写真を一枚いくらで売りつけることもある)
出品作の制作過程での助言
などはしてくれる。入選を繰り返し、ある程度の段階になると、「カルチャーセンターでついてた先生」からは離れるようだ。母の場合も、たまたま近所の絵画教室でついた先生の団体に出品してるだけで、最初からその団体に興味があったわけではないらしい。ま、入選すれば別に先生にお礼を包むし、ある意味
日本の家元制度の悪いところを引き継いでいる
のが
現在のカルチャースクール絵画とそこから新たな「出品者」を募っている「団体展」
だと思って間違いない。で、善良な素人絵描き達に君臨するのが
芸大・美大出の正会員の先生達
というわけである。
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