試金石としての「純情きらり」
最初に断っておくが、わたしは、宮崎あおいは好きだ。
毎朝、宮崎あおいを見ることができる
純情きらり
は、津島佑子原作『火の山ー山猿記』をドラマ化したものだ。問題は
津島佑子の父は太宰治で、津島佑子の姉園子の夫は、旧橋本派を引き継いだ津島雄二議員
だということだ。現役の有力自民党議員の妻(というか津島議員が婿入りしているわけだけれども)の実家が朝ドラの舞台になる、なんてことは、今までなかったのではないか。
昨日、
こんなに朝ドラが露骨に政治利用された例はないんじゃないか
と知り合いに話をしたら、総スカンを食らった。彼らは全員40代、独身男性で、「純情きらり」のファンだ。所謂「筋金入りのオタク」である彼らが、こんなに簡単に、
メディアにやられる
とは思わなかったので、驚いた。いや〜、高年齢オタクの弱点は
好きなものについては、判断を中止する
ということなのだな、たぶん。普段、あれだけ、政治関係のことや社会問題に嗅覚鋭く、意見を戦わせる友人達が、「純情きらり」の魅力の前には総崩れの体なのだ。一つには
独身で子どもを持っていない
というのが、大きな要因だろう。子どもという、コントロール不能な、オタク生活を維持するには、敵になる可能性のある存在と今まで暮らしてきてないのだから、
好きでも、ダメなことはある。
イヤでも、自分が出来てないことでも、子どもを躾けなくてはならない。(躾は時間と忍耐が必要だ。しかも自分の思った成果が必ず得られるわけではない)
のろく、不器用で、無秩序な子どもの動きを見守り、励ましたり、しかったりして、良いところを伸ばし、悪いところを矯める。
子どものために、いろんな事を諦める。(経済的にも、肉体的にも)
という子育ての論理は、まったく身についていない。てか、子育てによって親は社会化されると思うんだけど、その過程をまるまる失っている分、長い独身生活は、さまざまな面で今後も、個人にも、社会全体にも大きな影響を及ぼすだろう。
たとえば、徴兵制が布かれる、なんて議論が将来起こった場合、高齢の独身者は、すでに自分が徴兵される気遣いはなく、かつ、自分の子どもが兵隊に取られるわけではないので、かなりあっさりと賛成する可能性は高いとわたしは見ている。兵隊に行くのは、「所詮他人の子」だからだ。人間は、自らの経験が乏しく、想像力が及ばない範囲のことについては、かなり冷淡な行動が取れるのではないか、と危惧している。
話を戻す。
もちろん、「純情きらり」という作品は結構で、DVDが出たら買おうと思っているのだが、それがなぜ今の時期にわざわざ放映されるのか、わたしはちょっと疑いの目で見てしまう。ある人に言わせれば
そんなひねくれた考えは陰謀史観に支配されている
そうだが、NHKが半年も続く朝ドラを
無邪気に、津島佑子の原作を選んだ
というのは、NHKの体質から見ると、かなりあり得ない。あれほど、
ワンカットワンカットに神経を磨り減らし、どこからもクレームの付かないように番組を作り上げる
公共放送の職員達が、
津島雄二議員に直接つながる人物が登場するドラマ
を、
新人ではなく、すでに演技に定評のある宮崎あおいを主演に抜擢
して、それなりの数字を獲れるように作っているのは、間違いないことだからだ。
もし、
NHKが「たまたま津島派領袖の妻の実家に連なる連続ドラマ」をつくった
のだったら、これまた凄い話だけどね。
ま、相当な知恵者が、ドラマ部なのか、それとももう一段上なのかにいるのは確かだと見てるのだけれども、これって、NHK職員を買いかぶりすぎているのかしら。
ポスト小泉を見据えて、森派ではなく、津島派のご機嫌をうかがう当たり、最初から練られた戦略だとしたら、これを考えついた職員は、百戦錬磨の元エビちゃん派じゃないか、と思っている。表向きは
長期低落傾向にある朝の連続ドラマのてこ入れ
って話だったけど、どうして、そんな単純な話じゃないだろう。
今回の友人達の反応を見て思ったのは
21世紀の成熟したオタク達でも、実は簡単に情報操作される可能性があるのだな
ということだ。子どもの頃からテレビなどのメディアを浴びるように生活してきて、メディアリテラシーはばっちりだ、と自負している世代にあっても、弱点はある。
かつて、なぜナチスが大衆宣伝が可能だったのかが、よく分からなかったんだけども、実は
人間は、よく知ってると思いこんでいるものに、足元を掬われる可能性がある
んだな。テレビの作り手の側の事情をちょっとでも知っていると
所詮、享受者に過ぎない立場は、非常に脆い
ことに気づかされる。作り手は、受け手が思っているよりは、遙かにしたたかだ。
宮崎あおいが、21世紀の李香蘭になる可能性がないことを願うけれども、大衆プロパガンダは、こうした
無邪気で、誰にでも好かれるキャラクター
を利用して、密やかに行われるのだろうな。もっとも、宮崎あおいは、フライデーにBFとの交際を暴露されてしまった。
フライデー 8/4号 【独占スクープ】NHK朝ドラ【『純情きらり』】ヒロインの「ヒミツの愛」宮﨑あおい「イケメン俳優【高岡蒼甫】と同棲☆生活」撮った!
映画で見せる透明感あふれる演技。少女と大人の危ういバランス。
同世代の女優の中で、宮﨑あおいの存在は抜きん出ているといえよう。
が、そんな彼女にもやっぱりカレ氏はいた。それも同棲相手が……。
1台の車に名義を連ねる二人の、ヒミツの愛の姿を見てみよう。
今後は、これまでの売りだった
純情で清純な乙女
という看板を、外さざるを得なくなるだろう。しかし、誰しも大人になる。一皮剥けて成熟し始めた宮崎あおいは、よりすばらしい女優になれるかもしれない。
しかし、講談社はなんだって、今の時期、こんな報道をしたのかね。宮崎あおいを叩いてほしい勢力が、どこかにいるのかしら。
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コメント
その宮崎あおいさんですが、彼女こんな事言っちゃってます。
http://vista.xii.jp/img/vi5381343204.jpg
これは彼氏の影響ですかね。いや、もっと前の発言かな。
そして、彼氏もたんなるイケメンではなくとんだ反日俳優でございやす。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/03/12/20060312000040.html
投稿: 名無し | 2006-07-25 21:51