奈良県、ユネスコに無届けのまま世界遺産ゾーン内での「平城遷都1300年記念事業」プロジェクトを進行中 ユネスコに喧嘩売る気?
先ほど、miskijさんからコメントを頂いたので知ったのだが、なんと奈良県は
世界遺産である平城宮跡で「平城遷都1300年記念事業」を開催するのに、ユネスコに事前許可を得てない
ことが判明した。どうなってるの?
というのは、このプロジェクトは、どう考えても
平城宮跡で開催するのを前提としている
からだ。
実施基本計画 全体概要
http://1300.jp/gaiyou/img2/04.pdfp.11より。
平城京跡会場本記念事業のコンセプトとテーマを表現する、もっとも中心的な舞台として、平城宮跡内にエリア型の特別会場を計画し、平城宮跡会場と呼称する。この平城宮跡会場では、博物館と博覧会が融合した「新しい体験価値」創成の場、半日〜1日の時間消費が可能な場として計画する。
もし、ユネスコにダメって言われたら、イベント自体が成り立たなくなるだろう。
で、一応
事前調査
をしているところというのは、報道されていた。
平城宮跡における、土質調査の実施について
http://1300.jp/release/180719tishitsu1.html
要するに
パビリオン建てるから、建てても大丈夫か、調べますね
という調査だ。世界遺産って
本当に下に何が埋まってるかわからず、しかもその埋蔵文化財こそが平城宮跡の世界遺産としての価値を高めてるのに、そんなことにおかまいなく、土質調査でOKさえ出れば、後で問題が起きようがなにしようが、イベント会場に出来る
ものだったんですね。知らなかった。
もちろん、平城宮跡にボーリングを入れる際には、文化庁の許可は得てるわけで、今回のイベントには文化庁も荷担している。高松塚の石室を解体することを決めて、こんどは平城宮跡にパビリオン建てますか。いや〜、
文化財って行政が好き勝手に出来るステキなアイテム
だったんですね。で、これで、後から
見通しが甘く、平城宮跡の貴重な1300年前の歴史的文化遺産の一部が永遠に失われたことについては、深く反省し、今後このようなことの起きないよう、留意する。
とか、坊主懺悔したりしないでしょうね? え、文化庁の課長クラスは3年で交代するから、2010年には、自分はたぶん担当官じゃないので、関係ない? 大学教員として国立大学に転出してる予定?
ともかくも、
手順におかしなところがある
という疑念を持たれているのだから
1. ユネスコに届けを出す時期はいつか
2. もし、平城宮跡での会場建設を許可されなかった場合の代案はどこか
3. 平城宮跡に会場が建設できなかった場合、それを前提にした説明で資金を提供してくれた企業にはどう対応するのか
の3点については、きちんと説明して欲しい。
どうして、
道路建設で破壊される可能性がある
問題すら棚上げにして、なるべく
国民に「世界遺産」でなにをしてるか、説明
することなく、奈良県と文化庁は自分たちが
保護と管理
に責任を負っている
平城宮跡を破壊する可能性のある道路やパビリオンの建設を計画したり、その行為を黙認する
のか。
いったん破壊されてしまえば、人類の文化遺産は永遠に失われる
ということを、高松塚古墳で学んだのではなかったのか。
では、先日開かれた
第30回世界遺産委員会リトアニア会議にオブザーバ参加した「高速道路から世界遺産・世界遺産平城京を守る会」の小井修一事務局長の報告
を読んでみよう。
第30回世界遺産委員会(リトアニア・ビリニュス)に オブザーバー参加して
7月8日〜16日、リトアニア・ビリニュスで開かれた、第30回世界遺産委員会への要請団一行(小井修一団長)23名のうち、一行から3名のオブザーバーが参加し、所期の目的を果たし、15日帰国しました。当初の目的であった世界遺産センター、アジア・太平洋部長、ジョバンニ・ボカルディ氏と、会議中の7月9日、午後3時30分から会場のホテルリトバで約40分間、会談しました。
冒頭に、小井修一団長(高速道路から世界遺産・平城京を守る会事務局長)から、英文の「平城遷都1300年記念事業のイベントの会場計画中止と、高速道路建設の計画中止の勧告と現地調査の実施を要請する文書」(世界遺産センター長、フランチェスコ・バンダリン氏宛)を渡し、趣旨を説明しました。これに対し、ボカルディ氏は次のように述べました。(要旨)
○ 平城遷都1300年記念事業について
1. 「世界遺産ゾーンの中でイベントを行うときは世界遺産委員会へ申請が必要である。まだ手続きが日本から行われていない。」
2. 「出された資料はアドバイザー機関で精査され、世界遺産委員会としてOKかどうか決定する。」
3.「まず討議できるように客観的な資料が必要である。客観的な資料を皆さんからも送ってほしい。」
な、なんですと〜?
てっきり、ユネスコの許可を得てるのかと思った。
てか、奈良県
世界遺産に登録されたら、あとは何してもいい、素晴らしい「観光資源」
って勘違いしてないか?
日本ユネスコ協会連盟の世界遺産のサイトから。
よくある質問Q5: 世界遺産リストに登録されるとどうなりますか。
A5: 世界遺産条約では、条約締結国の保護・保存、国際的な援助への義務や、教育活動の強化が明記されています。したがって、世界遺産リストに登録されると、保有国と国際社会にはその世界遺産を保護する義務と責任が生じます。大切なのは、世界遺産リストに登録されることがゴールではなく、そこからが保護・保全のためのスタートでもあるということです。(そして世界遺産を守り伝えていくことは、地球に生きる私たち一人ひとりの責任です。 世界遺産条約の意義や理念を正しく理解しながら、一人ひとりがどう関わるべきかを考えていくことが大切です。 )
お〜い、奈良県
世界遺産は「金儲けの道具」
としか考えてないんじゃないの? 平城宮跡に高速道路通すって頑張ってるし。要するに
平城宮跡は世界遺産登録を抹消されてもイイ
ってことですか? 保護・改修に努めるんじゃなくて
破壊に努めてる
としか思えないんですけど。
で、謎なのは
日本がユネスコに無届けで「平城遷都1300年記念事業」を行っている
ということについて
どこのメディアも報じてない
点だ。
わたしは疑り深いので
「平城遷都1300年記念事業」で一儲けしたいのはメディアも一緒じゃないのか?
と思ってるんだが。 すくなくとも
世界遺産
なんて番組をやってるNHK、NHK奈良は
「平城遷都1300年記念事業」については、奈良ローカルの「ならナビ」では数回にわたって取り上げている
けれども
ユネスコに無届けだ
という話は、一度も聞いた覚えがないんですが。わたしの勘違いであることを祈りたいですね。それとも
土質調査が評価されてから、ユネスコに届けるだろうから大丈夫
ってスタンス? ま、今のNHK奈良の姿勢を見る限り
「平城遷都1300年記念事業」はNHKは全面バックアップ体制
なんですけど。
ということは、資金集めに動いてる奈良県はもちろんのこと、その手伝いをさせられている千田稔国際日本文化研究センター教授(奈良県立図書情報館長)も、この件については、グルですか? 人文地理学者で、古代史に関して、読売新聞なんかにコメントを寄せてる千田先生、大丈夫ですか? それともユネスコに無届けなのは知らないとか、ユネスコの許可なんて簡単にもらえるから、行け行けゴーゴーなんですか? 遺跡保存に関して、こんなことで大丈夫なんですか? もし、この事業で、平城宮跡の文化遺産が破壊されたのが確認されたら、事業に関わった歴史学者としてどういうコメントを出すのですか? 「予測不能だった」というのは無しでお願いします。
なんか、ものすごく胡散臭いんですが。
奈良県って、ほんとこういう
金にまつわる事業に関してはダーティーな自治体
だ。要するに
土建国家時代の発想から抜けきれない
のである。いまだに、年度末になると、治水効果が不明な河川改修やってるもん。
とある政治家は
そのうち「建設族」になりたい
と仰っていたのだが、建設省自体がなくなってしまった。ま、いまでも
謎の道路建設
は県内のあちこちで行われている。そのうち、その先生が予算を引っ張ってきた道路が何本あるのかは知らないけど。
そもそも
「平城遷都1300年記念事業」
自体が、相当怪しげなプロジェクトだ。
これを監視しようと始められたばかりのmiskijさんのblogに注目していきたい。
平城遷都1300年記念事業に関するCSR
http://1300.blog51.fc2.com/
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コメント
早速の記事作成、ありがとうございます。
やっと毎日が地域版でちらっとだけ紹介してくれました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/nara/news/20060821ddlk29040260000c.html
読売の地域版はあまり日持ち(?)しないのですが、配慮してくれたのかどうか、まだ残って(?)ます。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news006.htm
NHKも不思議といえば不思議…。
投稿: 横田 | 2006-08-23 01:10
掲示板で聞いてみたら、メディアが報道しない理由を推測していただきました。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/travel/67/1150484298/l50
投稿: 横田(miskij) | 2006-08-24 23:32