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2006-09-20

「北朝鮮へ行ってきました」 延辺朝鮮族自治州から北朝鮮へ親族訪問

延辺朝鮮族自治州で耳にした話。

わたしは延辺朝鮮族自治州に住む朝鮮族です。
1997年に、北朝鮮に行ってきました。
その年の秋、北朝鮮に住んでいる親戚から
 食料が足りない、着る物が欲しい
という手紙が届きました。日付を見ると、親戚が手紙を書いてからわが家に届くまでに二ヶ月半も掛かっています。
ああ、早く行ってあげないと、大変なことになっているのではないか。
わたしたちはすぐに軽トラックの荷台一杯に、食料や着る物などを積んで、翌日、北朝鮮の親族の元に向かいました。
パスポート? 必要ありません。延辺朝鮮族自治州に住んでいる朝鮮族は、「朝鮮族である」と明記されている中国の居留証を見せれば、ビザなし、パスポートなしで北朝鮮に行くことが出来ます。これは朝鮮族だけに許された特権なのです。
なんとか住所を手がかりに、親戚を捜し当てました。親戚の元に着いたときには、荷台に山のように積んであった荷物は半分なくなっていました。荷物を隠さずに北朝鮮内を走ったので、途中途中で、見た人が盗んでいったのです。親戚も食料や衣料品がなくて困ってますが、国の中の他の人も同じなのです。
その後、毎年親族訪問に出かけますが、このことがあって以来、運んでいる物が何かわからないように隠して運ぶことにしています。

手紙が着くのに二ヶ月半掛かりましたが、それでは間に合わないと思われるかも知れません。
実は、親戚の近所の人達も同じような手紙を書き、北朝鮮国外にいる親戚に物資を送ってもらっています。同じ町内の誰かがそうして海外から助けて貰うと、近所の人達に、貰った物を分けてあげます。その次に物資を送ってもらった人は、同じように近所の人達に分けてあげます。そうやってお互いに助け合って暮らしています。だから、手紙が着くのに時間が掛かっていても、その間、親戚は近所の誰かに助けて貰っているわけです。トラック一杯に多すぎると思われるかもしれない荷物を積んでいくのは、親戚と近所の人達全員のためなのです。

ここ、延辺では、北朝鮮の女性は大変人気があります。昔から朝鮮では
 女は北、男は南
と言っています。北朝鮮の女性が人気なのは
 美人でよく働く
からです。北朝鮮では女性は、子どもの頃から朝から晩まで働いています。何でも出来ますし、骨惜しみをしません。料理を作らせればうまいし、キムチはおいしくつけます。畑仕事、家畜の世話、何でもします。働くことを苦にしません。
延辺は田舎ですから、若い男には嫁がなかなか見つかりません。もし、脱北してきた若い女性がいれば、大歓迎です。息子の嫁になってくれるかも知れないじゃないですか。

一方、北朝鮮の男性は、人気がありません。
 女は北、男は南
という理由からだけではありません。2001年だったか、北朝鮮の特殊工作員が中国に入り、5人を殺して逃げました。5人は5人とも、心臓をナイフで一突きして殺されていました。凄い腕です。
この事件があってから、延辺の人達は、脱北者に対する態度が変わりました。
それまでは、夜中の一時、二時になっていても、玄関を叩いて
 北から来ました。お腹が空いています。何か食べるものをください。
という人があれば、どんな人だろうとも、まず入れてあげて、新しく火を起こしてご飯を炊いて、おかずもたくさん作ってあげて、大事にもてなしていました。
この事件があってからは、どんなにドアを叩かれても
 夜が明けるまで待っててください
といって、明るくなるまで外で待ってもらうようになりました。零下何十度にもなる冬でもです。
みんな、怖がっているのです。脱北者に殺されたり、ひどいことをされたりするのではないか、とびくびくしているのです。なにもかにも2001年の事件が原因です。

そんなことがあったので、最近は脱北者の取り締まりが厳しくなりました。以前は、もし、脱北者がここで朝鮮族の警官に出会えば、見逃してくれました。漢族や滿洲族の警官に会えば捕まってしまいますが。
警官が脱北者がいないかと探しに来ても、みんなでかくまってあげていました。
今は、そう簡単にはいきませんし、なかなかかくまってあげることもできません。

北朝鮮は最近景気がよくなったように見えます。以前は、アパートの窓にはガラスがありませんでした。物資不足で、代わりにビニールが貼ってありました。冬いくら寒くても、ガラスがなかったのです。
いまはガラスが入っています。余裕が出てきたのだと思います。

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