地表採取の「目」
海外調査では、発掘は許可されてないほうが圧倒的に多いが
地表採取
については、文句を言われたりはしない。要するに
地面に落ちてる物の向きを変える
ということで、実際に持って帰ったりはしない。大体、地面に落ちてる遺物といえば
瓦・磚といった建築部材や陶磁器の欠片
である。
日本の現場だと
できるだけ発掘して遺物を取り上げて、整理する
のだが、中国だと
瓦は完形じゃなければほったらかし
である。北魏洛陽城の調査に行ったときは、現地の研究員のヒトに
ああ? 磚とか瓦の欠片なら、拾って構いませんよ
と言われたので、少し拾って帰ってきた。現在は畑になっている地面の上に、ちょっと目をこらせば、磚やら瓦やらが大量に落ちている。ただし、持って帰るにしても、重いのが欠点である。
こういう時に
目の利くヒト
というのは必ずいる。中央アジアの調査では
菅谷文則先生
がぬきんでていた。遺跡近くの土の上に転がっていた
絵付けされた陶磁器の破片
をめざとく見つけて
ペンダントになりますよ、娘さんにどうぞ
と、相馬先生にあげていた。
今回の調査では、それほど大した物は地面に転がってなかったのだが、
瓦各種と磚
は大量にあった。中でも目敏かったのがT助手で、
あ、(軒)丸瓦!
これ、軒平瓦やん、こんなんちょっと欠けただけのを捨ててくんか?もったいない
と、次々と草むらや地面から、落ちている瓦や磚を拾い集めてくれた。さすがに三年間現場で鍛えただけのことはある。集めた瓦や磚は、写真を撮って、現物はその場に置いてきた。
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