産科崩壊 一人産科医体制で起き勝ちなこと
尾鷲市の
一人産科医
が、休日と賃金をめぐって決裂、とうとう辞めるという。
中日新聞より。
三重・尾鷲市、産科医との交渉決裂 10月から再び不在に三重県尾鷲市は31日、この日で1年の契約が切れる同市の尾鷲総合病院の産婦人科医の男性との契約延長交渉が決裂したと発表した。市は5520万円の現行報酬の減額を提示し、男性医師(55)は報酬の現状維持に加え「休みは年末の2日間だけだった」として休日の補償などを訴えたが、溝は埋まらなかった。
市側は契約更新に当たって、報酬を4800万円とするよう要求。伊藤允久市長は記者会見で「30日の協議で現行の維持まで譲歩した。しかし休日の補償など条件面で折り合わなかった。医師も心身ともに疲れたと言っている」と説明した。
今後については「医師から9月に出産予定の患者については責任を持つと言われている」と明かしたが、「後任の候補は現段階では見つかっておらず、10月以降は休診の可能性が高い。今後は三重大に掛け合うなど医師確保に全力を尽くす」とした。
同病院は三重大医学部から産婦人科医の派遣を打ち切られ、昨年9月に男性医師と独自に契約を結んだ。しかし、給与面などほかの医師との格差や出産数の減少を根拠に減額を要求する市と、超多忙な勤務実態から現行額の維持と月1回の週末休みを求める医師との間で交渉が難航していた。
これまで大きな事故もなく、出産を一人で捌いていた産科医に対し、
落ち度はないが、一割給料を削る 休日もこれ以上やらない
という市の態度は
数百万円ケチったせいで尾鷲市の妊婦の危険性を増した
と批判されてもしょうがないだろう。だって、もしあなたが
君はよくやってくれた。しかし給料は一割削るし、待遇は前のままだ
といわれたら、会社に見切りをつけて、転職を考えるでしょう?
この医師が、なにか問題を起こしていたというのなら、給与の減額はあるだろうが、年休わずか二日という、労働基準法に大きく違反するような勤務条件でこき使っておいて、
給与が高すぎるから削る
では、これまでたった一人で尽力していた医師にしてみれば
信頼を踏みにじる行為
だろう。ちょっと計算ができる人間が市役所にいたなら
医師にかかる給与
医師がいないことで、起こる損失
とをきちんと評価できたはずだ。もし、医師の給与をさげたいのなら
勤務時間数を減らす代わりに、一人か二人アルバイトの医師を週末に入れる
ことで、給与の総額は変えないくらいにしておけば、
変則的な二人体制
で、尾鷲市の産科は運営できたはずだ。どう考えても
過労で起きる可能性のある医療過誤については口を拭い、医師のタコ部屋労働を強いている
ようにしか見えない。
実際に、ある公立病院で一人産科医体制が崩壊したときの話。【医療】三重・尾鷲市、産科医との交渉決裂 10月から再び不在に 「休みは年末の2日間だけ。心身ともに疲れた」スレッドより。
260 :名無しさん@6周年:2006/09/01(金) 08:05:15 ID:flRerQer0
俺が勤める公立病院でも産科のDrが一人だけになった時期があって
あんときは怖かった
近隣にもう他の産科がないもんだから全ての妊産婦が集中
毎日2例以上、時間を選ばず出産、何例かはカイザー
初めの1ヶ月は「忙しい」のグチ
平均睡眠が1時間になって半年で、コメデが話し掛けても
「覚えられないから連絡事項は全て紙で書いて」と言い出し
患者の名前の取り違い、オペ対象者の取り違いが頻発
別人のカルテ使ったり
外来の真っ最中に突っ伏していびきかきだしたり
家と病院の間の2kmの通勤路で17回の交通事故したり
そしてやっぱり医療事故
病院からは現状を訴えていたのに、市長が出てきて一言
「責任感が足りない!2000万もの高給を出しているのに
寝る時間もあるのにこれは一体どういうことなのか!」
Drは責任感あるからこそ1時間の睡眠でも診療止めなかったけど
これでトドメが入って退職
産科が潰れた後、みんな「人手ないからしょうがないんだよねテヘっ」
そして今、周辺の妊婦さんは全て高速で片道2時間向こうの
産科へ流れています
人間は疲労が極限まで蓄積すると、まともなことはできなくなる。
尾鷲市の場合も
医者は人間
という事実を忘れ去り
見た目の「経済的効率」
を求めたための愚策だ。
しかも、こんな
毒電波
をトバしている市議がいるらしい。
伊勢新聞より。
産科医と契約できず 市立病院産婦人科10月から再び休止 尾鷲市【尾鷲】尾鷲市の伊藤允久市長は三十一日の会見で、尾鷲総合病院に迎えた産婦人科医師との交渉決裂の原因が報酬額の折り合いではなく、医師の高額報酬への攻撃、中傷が原因との見解を示した。五嶋博道病院長も「報酬の条件もあるが、気持ちが切れた方が大きい」と認めている。
伊藤市長によると、七月中旬から八月中旬までの二年目の更新交渉で、「最長で来年三月まで残る、と医師から言われていた」といい、同市長が八月二十一日、市議会に交渉経過を説明し、二十五日に再度開いた市議会委員会で交わされた、一部市議の「三千万円出せば大学病院の助教授が飛んでくるのに、四千八百万円は高過ぎる」「津で開業したころのうわさもいろいろ聞こえてくるのに」などの意見を知った医師が「残る気持ちをなくした」という。伊藤市長はこれまで「医師は非常に責任感が強く、交渉が不調に終わっても、三カ月は残ってくれる」と繰り返していたが、八月三十日夜の交渉で、医師は市議会での議論を引き合いに出し「気持ちが続かない。九月中の出産予定者までは引き受ける」と期間短縮を申し出た上「事故があったら大変だから」と語ったという。
ほお。そこまで言いますか、一部市議のセンセイとやら。是非
年収3000万円でどこぞの助教授を今すぐ赴任
させていただきたいものです。それこそが
市民に選出された市議のやるべきこと
でしょう。
どうしても公立病院の産科を維持したいなら、まずは医療関係者に厚くしないと、誰も来てくれない。このように
簡単に契約を覆す自治体の公立病院産科
には、今後、医師はますます寄りつかなくなり、産科の閉鎖が相次ぐだろう。医療事故を防ぐためにも
産科医は最低でも常勤二人体制(プラス夜間・休日のアルバイト医師)
でないと、危ない。
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