« 手紙かメールか | トップページ | 故・米山俊直先生の蔵書、奈良県立図書情報館に寄贈される »

2006-10-01

研究会 奈良盆地の開発史(第一回)葛城地域の古代について@奈良女子大 10/1 13:00-17:00→感想あり

昨年、2月26日に橿考研が現説を開いた
 極楽寺ヒビキ遺跡
http://www.kashikoken.jp/from-site/2004/hibiki/hibiki.html
 極楽寺ヒビキ遺跡の大形建物について
http://www.kashikoken.jp/from-site/2005/hibiki-2/hibiki-2.html
に関する研究報告が、今日奈良女子大である。

研究会 奈良盆地の開発史 [第1回]  2006年10月1日(日) 13:00〜17:00 
  於:奈良女子大学大学院F棟5階会議室 →構内建物配置図
 ・葛城の王都—南郷遺跡群と極楽寺ヒビキ遺跡
   坂靖(奈良県立橿原考古学研究所)
 ・古代の葛城—文献史料から (コメント)
   舘野和己(奈良女子大学)
   司会:宮路淳子(奈良女子大学)
*内容は研究者対象ですが、参加制限は設けませんのでご自由にご参加ください。
*参加申込不要、無料です。
*連絡先: 奈良女子大学COE研究室 coe-kodai@cc.nara-wu.ac.jp


◎研究会開催にあたって


 本プログラムでは、奈良県立橿原考古学研究所のご協力を得て、研究会「奈良盆地の開発史」を立ち上げました。本研究会は、奈良盆地における開発の歴史を明らかにし、都市/都城の成立過程およびその要因を解明することを目的とします。その第1回である今回は、橿原考古学研究所の坂靖氏よりご報告を賜り、古代国家の形成に深く関わった葛城地域に所在する遺跡群の構造から古代王権の動向をさぐります。多数のご参加をお待ち申し上げます。


奈良女子大学21世紀COEプログラム

「古代日本形成の特質解明の研究教育拠点」

研究拠点リーダー 舘野和己

第1研究グループリーダー 宮路淳子


奈良女子大のF棟はホントは南門から入ると近いのだが、今日は日曜日で南門は閉まってるそうだ。正門から入って一番奥まで行くことになる。

昨年2月26日の現説は、こんな感じだった。
 2005-02-26 極楽寺ヒビキ遺跡・二光寺廃寺遺跡現説@2/26 奈良県立橿原考古学研究所主催 橿考研はいつも通りケチ
http://d.hatena.ne.jp/iori3/20050226/p3
天候が悪かった上に、仕切が滅茶苦茶な現説で、わたしの行った現説ワースト3に堂々ランクイン中。

続き。
今日は理学部でも外部公開講座があったようで、南門が開いていた。ラッキー。
橿考研のヒトもここを御覧になっているそうなので、それを前提に以下の話をする。

ご本人には悪いのだが、坂さんの発表は
 講義になれてないヒトの発表
で、ちょっと辛かった。研究所勤務のヒトにありがちな発表で、論旨の組み立てがはっきりしない。時間配分がそもそもできてなかった。
それにしても
 しゃべりすぎて疲れました
というのは、ちょっとなあ。聞いてるヒトはもっと疲れてるかも。冗談にしても、通じない局面なのだが。もし、体調がお悪いのであれば、最初にその旨断ってから話し始めるのが礼儀だと思う。てか、普通はそうするのではないのか。
仲間内でしか話をしない生活が長くなると、研究者であっても、他人の前で話すということがどういうことか分からなくなるのだろうか。聴衆は自分よりは分かってないのだから、相手が知らないことを前提に話し始めなければならないのだが。ある意味、典型的な考古学研究者の発表だった。発掘担当者としては、優れている方なのだろうけど、発掘成果を公開講座で解説する方法には、まだ不足する部分があると思う。
そのギャップを乗り越えられない考古学研究者は多いし、現説なんて、80%は考古学者の自己満足で終わっている。語注をつけるという行為が難しい現説でこそ、分かるように話す訓練が出来るのだが、むざむざその機会を捨てている現場担当者があまりにも多い。それ故に、いつまで経っても、「オタクの学問」から抜けられないのだが、何を勘違いしているのか、そのことがエライと思ってるヒトもいる始末だ。

古代史は
 思いこみの仮説で成り立っている
と他の文献資料や考古資料の多い時代を専攻しているヒトに悪口を言われるのだが、確かに考古学的資料と乏しい文献資料だけで推論するのは、かなり危ない。発表者に直接聞くべきだったけど、ちゃんと
 作業仮説です
という断りを入れないと、駄目なんじゃないのか、と思いつつ聞いていた。補助線はいくらでも引ける。
以下は坂さんのことではなくて、一般論だが、現場を掘った人間が一番エライと思いこむのは、人類学者が、一ヶ月くらいフィールドに出て、モノグラフさえ書けば俺は専門家、って勘違いするのと似ていると思う。

面白かったのは、相馬先生の
 ここは開析扇状地だから、水利は工夫次第で得られる
という指摘。さすがは自然地理学の専門家である。
 開析扇状地
http://agua.jpn.org/science/term_s.html
今回の発表で取り上げられた、葛城氏の根拠地のあたりの扇状地は、奈良ではただ一つの開析扇状地だそうだ。

|

« 手紙かメールか | トップページ | 故・米山俊直先生の蔵書、奈良県立図書情報館に寄贈される »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 研究会 奈良盆地の開発史(第一回)葛城地域の古代について@奈良女子大 10/1 13:00-17:00→感想あり:

« 手紙かメールか | トップページ | 故・米山俊直先生の蔵書、奈良県立図書情報館に寄贈される »