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2006-10-18

「マスコミたらい回し」とは? (その5) 大淀病院の産婦死亡、その前日から「天理よろづ相談所病院」は救急受け入れ中止という不運

8/17に河合隼雄文化庁長官が自宅で倒れ、
 天理よろづ相談所病院 憩の家
に搬送されたので、てっきり
 天理よろづ相談所病院は救急搬送を受け入れている
と思いこんでいたら、なんと
 8/7から救急搬送受け入れ中止
になっている。

天理よろづ相談所病院のサイトより。


改修工事のため救急外来を一時閉鎖いたします。

期間:平成18年8月7日より年末まで
期間中ご不便をおかけしますがご了承のほどお願いいたします。


う〜ん、そうすると
 河合隼雄長官を受け入れたのは、かかりつけの病院だったからか、それとも「貴人」だからか
ってあたりですか。

実は、今回の
 大淀病院で脳出血を起こし、搬送先19箇所に断られて、吹田市の国立循環器センターに搬送された事例

 天理よろづ相談所病院が緊急搬送受け入れを中止した8/7の翌日に起きた
ことだったのだ。もし、天理よろづ相談所病院が受け入れ可能だったらとは思うが、よろづにはNICUないみたいだからなあ。
 誠に不運というしかない事例
なのだ。

天理よろづ相談所病院は、天理教の病院だが、系列から言うと
 京大系
で、奈良県内では一番まともな病院である。ここに断られると、難しい症例は、県外に行くしかない。

続き。
今回の事態を受けて、
 奈良県産婦人科医会は県内の他の診療科へも協力を要請することにした
というニュースが、いまNHKの奈良ローカルニュースで流れた。(10/18 20:46)

Img_00055


今回のような
 脳内出血
を含む難しい五つの状態になった産婦を
 NICUのある県立医大病院と県立奈良病院
 高度医療が可能な近畿大学付属病院と天理よろづ相談所病院
で迅速に受け入れて貰うようにし、
 産科のベッドが空いてない場合は、他の診療科にも入院を依頼する
という。
遅きに失した感はあるが、少しでも奈良県の医療環境が改善すれば、と思う。
(追記 10/18 23:20)NHKより。


ほかの診療科にも協力要請へ

奈良県大淀町の病院で出産中に意識不明になった妊婦が、ほかの病院に受け入れを次々に断られたすえに脳内出血で死亡したことを受けて、奈良県医師会の産婦人科医会は緊急の治療が必要な妊婦は、常に県内で処置できるよう産婦人科以外の診療科にも協力を求めることなどを決めました。

今回の問題を受けて奈良県内の産婦人科の医師で作る、奈良県医師会の産婦人科医会は緊急の治療が必要な妊婦を常に県内で処置できるようにするための対応策を決めました。
この中では、妊婦に大量の出血や脳内出血など5つの重大な症状が見られた場合には妊婦専用の緊急治療の設備がある▼奈良県立医科大学附属病院と▼県立奈良病院、それに高度な医療を行う設備がある▼近畿大学奈良病院と▼天理よろづ病院の4つの病院のいずれかに受け入れを要請するとしています。
さらに、これらの病院で産婦人科のベッドがいっぱいの場合は、これらの病院のほかの診療科にベッドの提供や治療への協力を求めることも決めました。
奈良県産婦人科医会の平岡克忠理事は「今回のようなことが2度と起きないように県内の病院で素速く対処する体制をつくりしたい」と話しています。

2006年10月18日 21時23分更新

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コメント

奈良の医療環境の先細りぶりには、うーん、、、

報道を点検して気づいたのは予定日を過ぎた41週に、月曜入院というところ。
最近は月・火出産が人為的に増えているそうです。(昔は曜日・時間帯に関係なく出産していた)

投稿: miskij | 2006-10-18 20:09

miskijさん、コメントありがとうございます。
大淀病院ですが、常勤産科医は一人です。そうすると、土日出産は、アルバイト医師の手当てが付かなければ難しいでしょうね。尾鷲の「一人産科医 363日院内拘束」の例もありますが、一人医長で出来ることは限られています。特に今回のような手術を伴うお産となると、まずは麻酔医を呼ばないといけませんが、常勤の麻酔医がいないのですよ、大淀病院は。
41週なら、まだ過産期とは言い難いので、産科医の判断が悪いとも言い切れません。
最も無難なのは「微弱陣痛なので、午後五時くらいに帝王切開」だったろうと思いますが、麻酔医が当日いたのかいないのか、そこが明暗を分けてると思います。急な手術予定を入れられないのであれば、翌日に帝王切開とか、そういうスケジュールだったのではと思いますが、こればかりは類推なので。

投稿: iori3 | 2006-10-18 20:21

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