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2006-10-20

「マスコミたらい回し」とは? (その9) 今度は大阪府立母子保健総合医療センター産科部長が「搬送拒否」のいい訳か? 「脳内出血と分かっていれば」と大淀病院を非難

毎日新聞も
 大淀病院の産科医叩きに都合のいい発言
を引っ張ってくるな、と感心するしかない。
今回、亡くなった産婦の搬送を拒否した
 大阪府立母子保健総合医療センターの産科部長

 後出しじゃんけん

 脳内出血と分かっていれば、対応は違った
というコメントを出した。
本当ですか? 出産が進行中の産婦の脳内出血が明かなのに、
 深夜というもっとも人員の薄い時間帯に受け入れてくれる病院が、あの時、国立循環器センター以外に本当にあった
のですか? しかも
 月曜深夜(火曜早朝)という週明けすぐの夜勤時間
だ。週明けには大量の患者がやってくるので、この日の深夜帯から早朝に掛けての病棟のマンパワーはどこの病院も一杯一杯だったのではないかと思われるのだが。
毎日より。


奈良妊婦死亡:搬送先探し、診断不正確で遅れか

 奈良県大淀町立大淀病院で意識不明となった妊婦が搬送先の大阪府内の病院で死亡した問題で、同県立医科大病院(橿原市)から搬送先を探すよう求められた府立母子保健総合医療センター(同府和泉市)が、府内の7病院に受け入れを拒否されていたことがわかった。同センターには、妊婦が子癇(しかん)発作であると伝えられたため、それに対応できる病院を探したと証言している。同センターは「脳内出血と正確に診断されていれば、別の病院に打診し、もっと早く搬送先が見つかったはず」と指摘。大淀病院で「脳内出血」と診断されなかったことが、転送先の決定を遅らせた可能性がさらに強まった。
 この問題では、県立医大病院を含め、少なくとも奈良県内で2カ所、大阪府内で17カ所の計19病院が受け入れを拒否。これまで県立医大病院が大半の病院に打診したとみられていたが、一部を同センターが担っていたことになる。
 同センターの末原則幸・産科部長によると、8月8日午前2時半ごろ、大淀病院の依頼で搬送先を探していた県立医大病院から受け入れ打診の電話があった。「頭痛があり、子癇発作らしい」との内容だったが、脳内出血の可能性を示す症状の説明は一切なかった。同センターは満床だったため、要請を断った
 医大病院から「一緒に探してほしい」と求められたため、府内で受け入れ先を探した。しかし、満床や人手不足などの理由で7病院に拒否され、同4時半ごろになって、国立循環器病センター(同府吹田市)に決まった。妊婦は同6時ごろ到着し緊急手術を受けたが、8日後に死亡した。
 大淀病院は、妊婦を子癇発作と診断した。しかし、専門家によると、子癇発作は、けいれんの後に脳内出血を起こすことがあるが、脳内出血の場合、一般的に頭痛の後に意識がなくなり、けいれんする。妊婦は頭痛を訴えた後に意識不明に陥り、けいれんを起こした。
 大淀病院では内科医が、脳内出血かどうかを診断できるCT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科担当医が受け入れなかったという。
 末原部長は「脳内出血で母親の命が危ないと分かっていれば、産科より救命救急センター、大学病院を中心に搬送依頼した。搬送先が決まるまで待つ時間があるなら、CTを撮る時間もあったのではないか」と指摘している。【根本毅】
毎日新聞 2006年10月20日 15時00分


ポイントは

 15万回に1回の脳内出血を子癇発作と見分けられるだけの産科医が日本の町立規模の公立病院にどれだけいるのか

というところだ。そりゃ、府立母子保健総合医療センターの末原先生なら、周産期の専門家としての声望もあり、経験豊富だから、

 これは脳内出血かもしれない

と診断出来るかも知れませんがね。そこまでの診断力を、大淀病院の産科医に求めるのは、扱った分娩数から考えても酷である。てか

 末原部長の言い分は「なぜ府立母子保健総合医療センターが受けなかったんだ?」という批判をかわすための自己弁護

に見えるわたしは、目が曇っていますか?

子癇発作から脳内出血という経過をたどることだってあるのだ。少なくとも、大淀病院では出来うる限りの努力を尽くしたのではないか。それをも「誤診」と決めつけるなら、奈良県内から産科医はいなくなるだろう。
15万回に1回の極めて稀な症例に思い至らなかったことを、なぜ
 毎日新聞と末原部長は叩く
のか、真意を問いたい。
ひょっとして
 この事例の背後には、毎日新聞の経営に関わる「圧力」など、純粋な報道とは別な要件がある
のではないか、とわたしなどは疑ってしまうのだが。
ともかくも、この記事で、大淀病院の産科医を追い詰め、
 奈良県南部の産科絶滅を計ろうとしている毎日新聞大阪科学環境部の根本毅記者
の名前は、記憶に留めておきたい。今後、奈良県南部で
 高リスク産婦の母子死亡の事例
が起きた場合、その原因を作った一人は、この記者だからだ。自分の書いた記事で
 ヒトが死ぬ可能性がある
ということを、根本記者は肝に銘じているのだろうな。

続き。末原部長の発言について、
 高度医療のできる設備の整った病院にいると、公立病院の設備がどんな状態か理解できないのでは
という指摘がある。奈良・大淀病院 警察が捜査へ ★3スレッドより。


567 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:47:34 ID:ozSM7+Z40
高度医療の出来る施設の先生方って、
そうでないけど救急を受けざるを得ないレベルの病院のことって、殆ど御存知ないのよね。
さんざんガイシュツだけど、
CTとるのに寝ぼけた技師を呼び出して、機械あっためて、
撮れた写真はイマイチで、とか、考えられない
と思う。
彼らの施設では放射線技師も当直やってて、機械は常時stand by状態が当たり前だから。

彼らの常識から言えば、そうだろうけど現実問題として、CTをとる暇があったら転送した方がよい
どちらを優先するか迷わざるを得ない場面も結構多いのが、場末の救急医療現場なんだよね。


ニュース見てるとそんなところが救急やっていいのかなんて話も出てくるけど、
そこが辞めたら、救急患者はより遠くへ行かざるを得ない。そして救急センターはパンク状態。

その施設ごとに、同じ疾患に対する対応レベルが違ってもそれは現在の医療制度のもとではしょうがないこと。
ワンサイドで良いの悪いの言われても、現場じゃどうすることも出来ない。
今回、テレビなどで、CT撮れば発言をしている医師は場末の医療の経験がない
逆に言えばエリート医師かも。しかし、エリートゆえに無知だと思わざるを得ない。

古い医療機器で救急やっているところでも夫々のレベルで受けられる救急はある。
それを超える医療が必要なものは転送しかない
全ての救急施設で99.9%同等の医療を行うためには医療費が今の100倍ぐらいないと不可能だろう。


たとえはわるいが
 金持ちが貧乏人に「こんなコトも出来ないのか」と罵っている
のと一緒ですね、末原先生。

くわえて、亡くなられた奥様の出血部位は脳幹部だという話がある。それが本当なら、たとえCTで出血部位が確認できても残念ながら、手の施しようのない部位だ。かつ
 もし、出産途中の脳出血を起こしてる産婦の搬送依頼が来たら、より受け入れられる病院は限られるだろう
という。
産科医絶滅史第19巻〜うかつに産科医にならぬ方が〜スレッドより。


732 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:43:08 ID:n9Z0BWm+0
>>730
脳出血がわかっていたら、正直もっと受け入れ先が少なかった気がするのは俺だけか?

733 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:44:49 ID:T39tzZ2T0
>>732
正直、受け入れ先は一緒だったと思う。
母子センターが受けていたとは思えない。

734 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:45:35 ID:3BjR1Qt40
>>732
国循も、受けてから脳出血分かり、ひっくり返るほどビックリしたらしいね。

737 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:52:16 ID:WMJaafwi0
>>732
子癇なら産科単独での対応がまず最初(せいぜい救急・麻酔まで)
脳出血が明らかになってれば脳外の緊急手術OKレベルが必要
当然だが受け入れ先は減ることはあっても増えることは無い


さらにこんな指摘も。
奈良・大淀病院 警察が捜査へ ★3スレッドより。

470 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:01:22 ID:lOGDP/d60
この記事だと、あたかも搬送先が早くに見つかりさえしていれば、
脳内出血の患者を救急車で、奈良吉野の山奥の病院から救急車で2時間かけて
大阪の救急病院まで搬送すれば、いかにも 助かっていたと受けとめかねない内容だなあ
脳内出血の患者を、救急車で2時間もかけて搬送してる時点で、患者の救命率は1%もないつーの。

494 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:17:11 ID:qKX7/15S0
 脳出血起こしてしまったら、緊急に手術しても結果は
あまり変わらないのではないか?
転送準備中に降圧しているのなら、刑事上は問題にするのは
おかしい。

525 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:29:29 ID:u2BHX4Vy0
子癇だろうが、脳内出血だろうが、分娩時にCT室に運ぶのは勇気がいるぞ。
CT撮って、出血が不明で、子宮口全開になった日ニャア、、なぜ動かした?って
追求されるし、結局 
    
       「結果」がすべてなのか??

まして、一人医長だろ。 県立医大から拒否された日にゃあ、、、、。絶望のどん底。
拒否しまくった病院は、自分たちの立場を守るために、「診断」のことを追求する
だろうが、、、。なぜ、拒否したのかはだれが追求するのか。

548 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:39:43 ID:X7JjSryI0
産科医の判断は問題なしと産科医会はいってる。
県内に搬送先がなかったのは残念だがこれも仕方ない。
2時間半で行き先がきまったのはむしろ早い。
脳幹出血だから最初から助からないし手術適応もない。

558 :卵の名無しさん :2006/10/20(金) 16:43:08 ID:2Baa6hMw0
患者の年齢は単発で脳出血が好発する年齢でもないしね

分娩進行中の頭痛・痙攣・意識障害、、、、、
当時の状況下で産科当直医が上記症状で「子癇」の可能性を疑ったのはミスとは言えないな
「マグネシューム剤投与下で暗室安静、不用意に動かすな」の指示はその診断ならミスな処置とは思えんのだが
不運にも脳出血まで併発してしまっていたんだろうけど、その時点で予後は絶望的。
百歩譲ってCT施行していたにせよ、そこからまた高次機能病院紹介で延々と断られ・・
結果は同じになっていただろうね〜


奥様に生きていて欲しかったというご遺族の心痛はよく理解できるのだが、こうした難しい症例は、本当に不運と申し上げるしかない。

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コメント

あるブログに、このようなコメントが

No.56 一見さんさんのコメント | 2006年10月18日 08:07 | (Top)
今、みのもんたの番組を見ていたら、末原則幸という方(肩書きは忘れましたが、いまググったら「大阪府立母子保健総合医療センター産科」とありました)が「CTスキャンを取っていればなんとかなったかも」という趣旨のコメントをしていました。業界内で後ろから撃ってくる人もいるのですか?(^^;

投稿: こ | 2006-10-20 21:19

通りすがりのものですが、末原さんというかたのために一言。新聞取材やテレビインタビューの場合、取材される側は無力です。取材側が自分のほしいコメントをあの手この手で引き出して、気に入らない部分は切り捨ててて報道します。同じこの方が朝日新聞の紙面では以下のようになっています。
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大阪府大阪府立母子保健総合医療センターの末原則幸・産科部長は「母体に脳出血がある場合、NICU、脳外科、麻酔科、ICU、産科の五つがそろった病院でないと受け入れが難しい。そんな病院は大阪にも5、6カ所しかない」と指摘。その上で、「常勤の産科医が7、8人いて、夜勤も複数で担当でき、母体の異常に対応できる診療科もある病院を、医療圏ごとに作らないと、今回のようなケースは救えないだろう」と話した。
2006.10.18 朝日大阪朝刊(どうするお産)医師不足、深まる危機 重体妊婦19病院拒否、死亡
http://www.asahi.com/special/obstetrician/OSK200610180004.html
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投稿: miya | 2007-06-19 16:50

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