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2006-10-04

ノイズとメカニズム

科研の旅費が振り込まれない。
各自結構な額を負担してるのだが、11月頭に振り込まれるらしい。旅費を立て替えてから二ヶ月以上放置されるわけで、家計にずしりとのしかかっている。財布がいくつもあるので平気だ、という一番年若いヒトは幸いなるかなで、他のメンバーは、子どもを育てていたり、いろんな事情を抱えている。
旅費の立て替えのトラブルはこれが初めてではない。この国立大学の事務というのは、こんないい加減な事務処理を続けていても、誰にもとがめられず、クビにもならないらしい。
「小さな政府」を目指して、国立大学法人の職員をリストラするなら、まず、こうした無能な事務職員からクビを切って欲しいモノだ。文科省は、こうした無能な事務の存在を放置してるか、知らないか、目をつぶってるかだ。民間では使い物にならない速度で、常に事務処理をするのが、この大学の持ち味らしい。
事務処理に関しては、いま困っている旅費申請だけでなく、他の部署でも相当問題のある大学なのだが、なぜか文科省はその点はチェックしてないようだ。よくこれで高等教育機関だと喧伝できるな、と感心するような事例が散見される。卒業生に聞いても、
 元からこんなんですよ
というので、相当長期間にわたって、「事務が働かなくていい大学」なのだろう。なおかつ
 大学改革
で、事務職員が教員よりえらくなったと勘違いしている、とも聞いた。より
 事務の働かなくていい、天国のような国立大学
になったのだろう。割を食ってるのは教員と学生で、こうした事務の無能さが、大学の本来業務である
 教育と研究
にいかに悪影響を及ぼしているか、たぶん、事務職員には想像の及ばないことなのだろう。

以前、11ヶ月だけ国家公務員だったとき、一人の有能な事務職員にほとんどの会計事務が集中して、とうとうその人は入院してしまったことがある。同じ部内の人間は、見て見ぬふりをしていた。結局、事務が滞っている部署に、一人ボトルネックを解消する人材が現れると、他の人間がそれに追随するのではなく、あらゆる流量がその部分に集中するのだ。ボトルネックを形成している大多数の無能な事務職員は、仕事の速度が変わらない。で、働いても、働かなくても同じ給料なのだから、国立大学事務はやめられない仕事になるわけである。

そんなショックな話を聞かされた後に、科研の調査で一緒だった廢鐵なメンバー氏に
 変態!
と痛罵を浴びてしまった。要するに
 コンピュータと周辺機器のファンの音に耐えられるかどうか
という話で、
 うちのベッドの横のテレビはパソコンだから、ファンは年中回ってる
と言ったら
 そんな変態なヒトは別! ふつうの人はファンの音なんて嫌いです!
と人間性を激しく疑われてしまったのである。言い返したいことは山ほどあるが、ばかばかしいので、やめておいた。

たぶん、廢鐵なメンバー氏に「変態」と言われてショックな理由は
 廢鐵なのにメカを愛してないのか?
と思ったからだ。
あらゆるメカニズムは、ノイズを含む。ノイズのないメカがあれば、それは理想だろうけど、全体としてみる場合、絶対にどこかにノイズは生じる。
コンピュータと周辺機器を冷やすためにファンがついているわけだけど、
 ファンの音が平気って、それは間違った方向に慣らされてるだけなんです!
という廢鐵なメンバー氏の主張はわからないでもない。寝室にマシンが置かれ、かつ火を落とさない生活になってから、たぶん10年以上経つ。最初の頃は、ファンの音が辛かった。ただ、ファンの音とマシンを寝室に置く利便性とを天秤に掛けると、ファンの音の方が我慢できたのである。メカと倶に生活をすることを選べば、ノイズは必ずついてくる。メカを愛するというのは、ノイズも含めて愛すると言うことだ。

どんな美女であっても、常に美しくはいられないように、どんなメカにも欠点はあるし、壊れていく。釈尊がコーサラ国の王子であった頃、夜中に、起きている間は美しく着飾って、エレガントだった、周りに侍る美女達が、あられもなく、みっともない姿でいるのを目撃して、色欲を去ったという話は有名だが、それで美女を嫌いになるか、それともそのノイズも含めて愛せるのかが、人間の度量の分かれ目である。釈尊のように、悟りを開いて、迷える衆生を済度するという超人的な偉業を達成するためには、色欲はもっとも避けられるべきであるが、凡人はそうは行かないだろう。どこかで折り合う必要がある。

もう一つ、たぶん廢鐵なメンバー氏とわたしの決定的な違いは、可聴域のレンジである。
健康な彼は、眼鏡を掛けてはいるが、車の運転が出来る程度に、視力はある。恐らく、聴力の助けを借りて、視覚を補うような必要はない。
弱視だと、耳は目の機能をかなり補う。廢鐵なメンバー氏が聞き落としている音も、かなり拾って生きているはずだ。そうした、大量の音情報を処理する生活では、
 ファンの音
は、大事な情報の一つなのだ。無意識のうちに、家の中の家電や電子機器のチェックをしているが、それは耳で行っている。ノイズで通電を知らせる機器に関しては、音がするかしないかで判断している。
確かにファンの音はないほうがいいのかも知れないが、ファンレスHUBに気づかず、うっかり触って火傷するよりは、わたしは音のするHUBの方がありがたい。
音の好悪は人それぞれだし、音の重要性も人によって異なる。どうしても好きではない音と暮らさなければならなくなっても、人間は慣れることが出来る。静穏性は、ノイズだらけの生活には必要だが、ノイズをすべて遮断するような生活は、どこかで破綻する。ま、廢鐵なメンバー氏には、まだ子どもがいない。子どもという激しいノイズ発生源とどう暮らしていくかは、研究者人生の一つの課題だ。その時、彼がどう対処していくか、ちょっと興味があるな。学習能力は高い男故、何事もなくクリアしていくだろうけれども。

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コメント

まあ、鐵にもいろいろあるわけでして……。
私は昔から、メカ系鐵でも現場系鐵(=乗り鐵、撮り鐵、盗り鐵^H^H^H)でもなくて、
関連書籍を読んだり人の撮った写真を鑑賞してるだけで満足、という文系鐵ですので。
中高生の頃は乗り鐵・収集鐵・模型鐵の真似事などもしてみましたが、
近年はもっぱらWebを眺めているだけで十分、という堕落振りです。
=デスクトップ系鐵?

投稿: 廢鐵 | 2006-10-04 20:12

廢鐵さん、コメントありがとうございます。
しかし、その若さでその枯れっぷり、淋しいな〜。
メカへの愛は、わたしの方が深そうですな。共通一次が終わるまでは理系だったのでね。

近い将来、お子さんが出来て、ある程度の年齢になったら、是非、一緒に鉄道に乗ってください。(っていつの話になるんだか)普通の子どもなら、電車は好きなはず。
わたしは、いまでも電車(or列車)に乗ると、鐵でもないのに、鐵ちゃんポジションへ行きます。

投稿: iori3 | 2006-10-04 21:17

旅費については、大学の事務のせい限定ではなく、監督官庁も同じみたいですよ。聞いた話ですが、省庁再編の直後に「航空機で出張した際に羽田までのモノレール代金を出張旅費で認めるかどうか」について、旧Mと旧Kで1年間揉めて、その間精算が止まったと聞きますし、私の出向中も常時数十万円は無利子で国に貸し付けていましたから。

投稿: roi_danton | 2006-10-04 21:31

roi_dantonさん、コメントありがとうございます。
blogをいつも拝読しています。
しかし、モノレール代で一年間揉めたというのは、さもありなん、ですね。
科研旅費は、仮払いしてくれる機関もあるのですが、ここはダメでした。科研はたくさん貰っているらしい機関なのですがね。

投稿: iori3 | 2006-10-05 00:20

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