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2006-11-06

首都圏の産科救急崩壊 (その2) 神奈川で高リスク出産は賭け

前の記事に、GKSさんがコメントで、朝日新聞神奈川版の記事をご教示くださった。ありがとうございます。

10/7付けのこんな記事だ。


急患妊婦1割県外へ

2006年10月07日


NICUでは、24時間態勢で看護師らが赤ちゃんの容体を見守る。左にあるのが保育器=5日、横浜市南区の横浜市大センター病院で
http://mytown.asahi.com/kanagawa/k_img_render.php?k_id=15000160610070001&o_id=1550&type=kiji

http://mytown.asahi.com/kanagawa/k_img_render.php?k_id=15000160610070001&o_id=1551&type=kiji

  救急治療が必要とされ、新生児集中治療室(NICU)が備わった病院に運ばれた県内の妊婦のうち、約1割が県外の病院に搬送されていることがわかった。低出生体重児が増えているため、県内に約130床あるNICUが常に満杯状態に近く、空きがないからだ。都内だけでなく、千葉や静岡の病院まで運ばれることも多く、なかには8時間以上かかって搬送先にたどりついた事例も報告されている。

(赤木桃子、大貫聡子)

  今年7月、千葉県鴨川市の亀田総合病院に、神奈川県内の病院から電話が入った。「切迫早産の妊婦で、おなかが張っている。都内の病院に電話したが、受け入れ先が見つからない」

  救急車で亀田総合病院に妊婦が到着したのは約2時間半後。この病院では05年4月から今年9月までに、神奈川県から母体搬送の依頼が35件もあった。実際に受け入れることができたのは12件。うち8件は消防のヘリで運ばれた。双子の切迫早産の妊婦が3人も搬送された日もある。

  亀田総合病院の周産期母子医療センター長の鈴木真医師は「受け入れてもらえなければ浜松や愛知まで行くしかない、と泣きつかれることもある」と話す。

  川崎市の病院で双子のうち1人を出産し、もう1人を約1時間かけて運ばれた都内の病院で産んだ女性もいる。

  県医療課が把握している県内のNICUは130床ある。県の周産期救急医療システムでは、生まれてくる赤ちゃんをNICUに入れる必要に迫られた緊急時には、県内に八つある基幹病院が24時間態勢で受け入れることになっている。自分の病院で受け入れられない場合は、転送先の病院をあっせんする責任を負う仕組みだ。

  県の周産期医療協議会が昨年、各基幹病院に実施した調査では、県内であった約1千件の搬送のうち、約100件は県外の病院に搬送された。行き先は東京が約8割を占め、残りは千葉と静岡がそれぞれ約1割だった。

  県医療課の担当者は「すぐに搬送できないことで、患者の容体に影響があったという報告は現時点では聞いていない」と話す。ただ、こうした県外搬送は首都圏では神奈川が顕著なようだ。都内の病院の担当者に「いったい神奈川はどうなっているのか」と批判された県内の医師もいる。患者数と比べ、施設が足りないためとみられる。

  搬送先の病院を探すのには相当な時間がとられるため、ほかの病院へのあっせんをやめることを検討中の基幹病院もある。横須賀市の横須賀共済病院は9月、県産科婦人科医会に「あっせん業務を続けることは物理的に難しい」と申し入れた。常勤医は4人。加藤良樹産婦人科部長は「当直医1人の夜間に帝王切開手術を抱えているときに、救急の電話が入っても応じることは不可能」と話す。

  県も救急医療システムの見直しに乗り出しているが、設置に多額の費用がかかるNICUの数をすぐに増やすことは難しく、手だてがまだ見つからない状況だ。

  横浜市南区の横浜市大センター病院母子医療センターにはNICUのベッドが6床あるが、いつもいっぱいだ。重篤な病気を持った赤ちゃんのほかに、誕生が37週未満や、体重1800グラム未満の赤ちゃんが入る。

  母子医療センターの関和男医師は「そうした赤ちゃんは熱をつくる力が弱いので保温をする。息ができないときに苦しいと感じる呼吸中枢もできていないので、呼吸を補助する機械をつける必要がある」と話す。

  1千グラム以上の赤ちゃんであれば本来の出産予定日までの入院が必要となり、1千グラム未満の赤ちゃんだと、予定日プラス2週間程度の入院が必要になる。

  満床になる背景には、医療の進歩により、赤ちゃん1人の入院期間が長くなっていることがあるという。80年代、生まれたときの体重が1千グラム未満の赤ちゃんの生存率は約50%だったが、いまは90%前後になった。

  「母体搬送があっても、双子であれば、県内にNICUが1床しか空いてないから診れない、ということもある。数が全然足りていない」と関医師は言う。

  最近は2500グラム未満で生まれる赤ちゃんが増えている。04年に低出生体重児が生まれた割合は県内で約9%に達した。急患妊婦の県外の病院への搬送増加には、そうした背景もあると医療関係者は指摘している。

ああああ。前から
 産科崩壊の神奈川
とは言われてきたが、ここまで酷いとは。1割県外搬送というと
 なあんだ、たいしたことない
と思われるかも知れないが、搬送件数100件件数に直すと
 県外搬送4割の奈良県は平成16年で207件中77件
なので、
 奈良県の県外搬送数より多い
のである。人口が違うから当たり前と言えば当たり前だが、
 県外搬送については、割合よりも件数で説明して欲しい
ぞ。はっきり言って
 この件数は、首都圏とは思えない件数
である。

この間、
 看護師が内診
とかという廉で横浜市内の民間病院を
 摘発
してたけど、そんな悠長なことしてる暇はないのじゃないか、神奈川県。
GKSさんのご指摘通り
 双子の出生地が川崎と都内
ってのも凄い。出生地が違うのも凄いが
 間を空けて、なんとか無事に生まれた
事実が、まず凄い。事故がなかったのは幸いだったが、何かあってもしょうがないくらい、難しいお産である。

低体重児については、母親にも責任があるぞ。
この頃は
 妊婦のダイエット願望の高まり
で、
 低体重児が多い
と指摘されていたが、結局
 お腹の中で育たないということは、脳など大事な部分も育たないで外に出てきている
ということを、医師や保健師、助産師はしっかり妊婦さんたちに指導して欲しい。
 胎児がもっともよく育つ環境は母胎内
という事実を、どうして
 産後、すぐ格好いいママになりたい
というくだらない理由で、
 ひょっとしたら自分の子どもの将来的な能力をダメにするかも知れないダイエットで潰すのか
わたしには理解できない。ダイエットママが、その内
 うちの子がこんなに出来が悪いのは、低体重で生まれたときの保育器での管理が悪かった、病院の責任
とか訴訟を起こしそうで恐ろしいぞ。切迫早産などやむを得ない理由で、低体重で生まれてしまうのはともかく、
 過剰なダイエットで、お腹の子どもを栄養失調状態にした母親
って、
 児童虐待ならぬ、胎児虐待
だと思うのだが。

首都圏に人口が再集中しているといわれる現在だが
 神奈川でこれなら、次は都内になる
のは、間違いなかろう。人口の集中に比例して産科医が増え、夜間受け付けてくれる三次産科救急病院が増える、なんてことはあり得ないからだ。
人口の集中は、特に
 必要とされているが、訴訟率の高い診療科での医師数の人口比での減少
を招く。つまりは
 産科・小児科・外科・救急
が、どんどん減っているわけで、首都圏の
 救急医療崩壊
は、かなりの所まで来ていると思う。ただ、首都圏の実情を暴くと
 みんな恐くてしょうがない
ので、マスコミは見ないふりをしている、というのが本当のところではないか。
たとえば、災害などで停電した六本木タワーの上層階で、大けがをしたり、急に産気づいても、誰も助けられない状況なのではないか。停電していなくても、高層マンションへの救急アクセスは確保されているのか。そんなことはなにも考えずに、
 都会の消費生活を煽るマスコミ
は、ヘリポートのない、都内の高層建築で、大量の傷病者が発生した時のことを、一度、シミュレートしてみて欲しいモノだ。

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コメント

「マスコミたらいまわし」の件を読ませて頂きました。
 知人に医師が居ますので、勤務の、時間だけでも相当に超過しているらしいことは知っておりましたが、ここまで酷い報道であるとはここを拝見するまで知りませんでした。
 私の周りでもこの件は「たらいまわしなんてひどい」など、さも、お医者さんが一方的に悪いように話されております(というか、そうテレビで言ってたよ、とくるわけですが……)。
 ここの文章を拝見する限り、大淀医院でなければ「もう駄目です」となり、ニュースにもならなかったのではないかと思います。18もの医療機関に必死で連絡を取り、子供さんを生かした結果が悪者呼ばわりでは……
 周りに若いお母さんが多い立場ですので、ほんとに少しずつですが、こういうことも知らせてゆきたいと思います。これからも勉強させて頂きたく、御礼かたがた書き込ませて頂きます。有難うございます。

投稿: Kataho | 2006-11-07 22:38

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「天漢日乗」様の11/06 で紹介されている 朝日新聞神奈川版10/07の記事より: 川崎市の病院で双子のうち1人を出産し、もう1人を約1時間かけて 運ばれた都内の病院で産んだ女性も [続きを読む]

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