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2006-11-06

首都圏の産科救急崩壊 平日でも産科の搬送に困難 東京・神奈川・埼玉・千葉に平日昼間、NICUに空きがなく群馬の産婦を山梨へヘリ搬送@昨年11月

Yosyan先生の新小児科医のつぶやき 実話の裏付け経由。
Yosyan先生の記事に
 関東でも産科救急が崩壊している例を聞いた
としてコメントを挙げられたm先生のblogが、毎日新聞の記事を発見、伝聞の裏取りをされている。
 m's blog
http://anesth.asablo.jp/blog/2006/11/05/
以下に引用する。


ヘリでの長距離搬送 ― 2006年11月05日 23時15分05秒

「新小児科医のつぶやき」 11/01 分 のコメント欄に私は「都内の大学勤務医」という名前で次のような内容を 書き込みました ( 翌日のエントリ に再掲)。


私が知っている医者から直接聞いた話です。

昨年の今頃、緊急帝王切開の妊婦さんが群馬か栃木 (どちらだったかは 残念ながら記憶にありません) からヘリで山梨の県立中央病院に搬送 されるということがありました。たしか平日の午後のことだったと思いま すが、胎児がNICU管理する必要がある帝王切開で、その県の施設が 満床で対応できずに搬送先を探したそうです。関東地方の他の都県、 埼玉・千葉・東京・神奈川などの施設をあちこちコンタクトをとったものの 全て断られ、甲府まで長距離ヘリで搬送されることとなりました。

休日とか時間外ならともかく、平日の昼間に都内や神奈川の施設を 全部断られるとは、とびっくりしたのを覚えています。

検索してみると、毎日新聞の記事になっているのが見つかりました。 当該記事 は既に消えていますが、 googleのキャッシュ に残っていました。


超低出生体重児:双子の女児、群馬の両親と再会 「あかふじ」が命のリレー /山梨

 県立中央病院(甲府市富士見1)で昨年11月に誕生した超低出生 体重児の双子の女児が21日、県の消防防災ヘリ「あかふじ」で両親の 住む群馬県へ搬送された。出生時に設備の整った病院の空きがなく、 母親がヘリで甲府市まで搬送され誕生。すくすくと育ち、5カ月ぶりに 両親が待つ故郷に帰った。県消防防災課によると「あかふじ」は重篤 患者や臓器移植患者を搬送したことはあるが、新生児の搬送は初めて だといい、「命のリレー」の最後を飾る出番に関係者も誇らしげだった。

 昨年11月18日、帝王切開の必要な母親が群馬県からヘリで甲府市に 搬送された。十分に胎内で成長していない超低出生体重児を治療できる NICU(新生児集中治療室)の空きが同県内の病院になかったためで、 搬送先の県立中央病院で生まれた時の体重はそれぞれ756グラムと 554グラムだった。

 約5カ月が経過しそれぞれ1500グラムほどまで増え、両親のいる 群馬県への搬送が決まった。救急車は揺れもある上に4時間ほどかかる ため、ヘリでの搬送が決まった。

 双子は同病院の医師と看護師に付き添われ病院屋上のヘリポートを 午前10時に出発、約35分後に群馬県渋川市に到着し、同11時半ごろ に両親と無事再会を果たした。【沢田勇】

毎日新聞 2006年4月22日

昨年11/18は金曜日で平日、なので嘘を書いたのではないことが 確認できたのはちょっと嬉しい。でも、平日の日中に首都圏の 数多くの病院がどこも対応できない、という奈良の事件も真っ青な 状況が実際にあったことが裏付けられた訳で、非常に複雑な思いです。

う〜む。この話は
1.  昨年11月18日金曜日の昼間に超低出生体重児の双子を産む可能性のある産婦のために、群馬県内のNICUを当たったがなく、東京・神奈川・埼玉・千葉など首都圏の該当施設にも空きがなく、結局、山梨の病院までヘリ搬送した
2. 母子ともに無事だったが、超低出生体重児だったため、5ヶ月山梨で入院、1500gまで育った段階で、両親の居所で治療(1500gだとまだ保育器だろうなあ)するために、再び山梨から群馬までヘリ搬送した
3. 11月18日、最初に山梨にヘリ搬送するまでにどのくらい時間が掛かったかが記事にはないが、大淀病院産婦死亡事例と同様、あるいはそれ以上時間が掛かっている可能性がある
4. 首都圏・平日・昼間という最も条件のよい立地でも群馬→山梨のヘリ搬送というギリギリの選択が行われる場合がある
5. 従って、首都圏の産科救急も危機的な状況にあることは明白
という辺りですな。この話が
 ヘリ搬送マンセー一色
になってるのが、毎日新聞医療記事のレベルってことかな。問題にすべきは
1.  なぜ群馬の産婦を山梨まで搬送したか
2.  一体問題が発生してから搬送するまでにどのくらい時間が掛かったか
だ。奈良支局が
 MBSまで巻き込んで、大淀病院産婦死亡事例をあくまで「医療ミス」と言い張る誤報キャンペーンを、張っている
のも、この群馬の記事と同根ですね。
北海道みたいに広くて、医師の分布が偏っているところなら、産婦の周産期医療センターへのヘリ搬送はおかしくない話だが、
 平日真っ昼間、しかも首都圏の群馬で起きた事例
だもんなあ。この母体搬送は
1. 双子なのでNIUCの空きが2床必要だった
というのが、ポイントだが、
2. 多胎妊娠は、不妊治療の場合珍しくない
ので、
3. 2床空いてる施設が、山梨しかなかった
のは、
4. すでに関東では、不妊治療で多胎妊娠をしている産婦の管理が難しい
ことを示している。もちろん、このお母さんが自然妊娠かそうでないのかは不明だが、不妊治療の場合は、受精卵を複数個、子宮に戻すこと多いので、多胎妊娠が増える。(子宮に戻しても、妊娠に至らない例の方が多いけど)
つまり
5. 多額の経費と肉体的苦痛を伴う不妊治療が成功しても、最後に早産で複数床のNIUCが空いている施設が見つからない場合には、赤ちゃんが助からないことになる
というわけなのだ。恐らく、
6. これまでに不妊治療で多胎妊娠して早産、しかしNICUに空きがなく赤ちゃんが死亡した例は、いくつもあったのではないか
と思われる。
群馬の幸運な事例は、実にすばらしいことに、母子ともに助かり、生まれた後も、二人ともすくすく育ったのでニュースになったのだが、そうでない場合は「不妊治療の不運な転帰でしかたがない」と切り捨てられているだろう。
ともあれ、
 首都圏でも、多胎妊娠の場合、早産だと、たとえ平日昼間の出産でもNICUが空いてないことがある
のは、この例が教えてくれた。お産は
 昼間ではなく、夜間急に始まる
ことが多いだろうから、蔭に隠れている
 多胎妊娠のNIUC不足による、搬送の遅れ
は、まだまだあるだろう。

てか、報道機関は、そういう例を取材して
 首都圏の産科救急体制を整備しろ
とキャンペーンを張るのが、筋ではないのか。首都圏で働いているマスコミ人よ、女性であればあなた自身、男性であればあなたたちの妻、娘あるいは親族が、ある日産科救急で同じような目に遭うかも知れないのだぞ。想像力が働かないのか、それとも
 自分が産む訳じゃないorそんなケースになるわけがないから
と高をくくっているのか。知り合いの女性記者は、切迫流産で長期入院を迫られたりしてますがね。報道の現場は簡単に抜けられないから、気がついたときには、かなりしんどいことになっている。
不妊治療による多胎妊娠といえば、産科・小児科の濃厚な治療を受けた報道関係者の家族の例として有名な、
 当時NHK記者だった山下さんちの五つ子が低体重児だった
ことを、忘れてませんかね? あの時は、排卵誘発剤で多胎妊娠となったのを、事前にしっかり準備をしたから成功したが、今の不妊治療では、多胎はせいぜい2-3人で抑えるようにしているはずだ。
 少子化対策で不妊治療にも援助を
とかいうニュースを流すのならば、同時に
 不妊治療による多胎妊娠が、無事出産に至るかどうか、そして育つのかどうか
までを検証するのが、マスコミの仕事じゃないのか。

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コメント

マスコミの方々(毎日新聞の方々)は、
多胎妊娠するような不妊治療しないし、
ハイリスク妊娠しないし、

もしイザ鎌倉の場合にも、
勤務医よりも高収入なので、
その財力と威嚇力を生かして、
空きベッドを作れるのではないでしょうか?

だから、現状を改善する必要はないのです。

投稿: 皮肉ですが、何か? | 2006-11-06 18:30

はじめまして。

こんな記事もありました。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000160610070001

>川崎市の病院で双子のうち1人を出産し、もう1人を約1時間かけて運ばれた都内の病院で産んだ女性もいる。

出生地が違う双子なんて。。。

投稿: GKS | 2006-11-06 19:01

皮肉ですが、何か?さん、GKSさん、コメントありがとうございます。
GKSさんのご紹介下さった記事は凄いですね。神奈川の産科医療はアウトだ、というのは耳にしていましたがここまで酷いとは。
後ほど、新しい記事に反映いたします。ご教示、感謝します。

投稿: iori3 | 2006-11-06 20:16

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