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2006-11-21

『医心方』を読む

『医心方』というと、すぐ
 房内

 エッチ方面
にばかり関心が行く人が多いのだが、元々は真面目な医学書だ。房内は一部だけで、残りはさまざまな医学的知識を当時の書物から集大成したのが、『医心方』の真価である。『医心方』が引用してくれた御陰で、散逸してしまった古代の医学書の一部を知ることが出来るのだ。
今研究班で読んでるのは、
 鍼灸のツボ
の部分。武田さんの主張は
 元は灸のツボだったモノが、馬王堆から出てきた文書から、鍼に一気に転換させられたのがわかる
ということなのだが、ちゃんと実証的に読んでる人がいない、とのこと。確かわが家に
 馬王堆の医学書
があったはずなんだけど? もいっぺん、ちゃんと読んでみようかな。

今日読んだところの謎は
1. 『新雕孫真人千金方』の方が古い、といわれてるのだが、なぜかかなり後世の手が入っている部分が多いと思われている『備急千金要方』と、今日読んだ部分は相似性が高い。『医心方』も何度か手が入っているだろうから、その時『備急千金要方』に合わせて本文校訂されている?
2. 『新雕孫真人千金方』と『備急千金要方』は同じ書物とは思えないほど、篇目が入れ替わってるのだが、今日やったところはほぼ同じ
3. 『鍼灸甲乙経』と『千金方』では、今日のテクストでは、『千金方』に近いのだが、『鍼灸甲乙経』の割注のある部分が大量に脱落していて、かつ『千金方』の割注が本文に取り入れられたりしている
4. 『千金方』は忌諱して「泉」に直されている「淵」がなぜか『医心方』では「淵」
ってあたりかな〜。訳分かりません。
一体、何を見て書いた、丹波康頼。

おまけ。真柳さん、ありがとう!今度飲みましょう!
  宋改を経ない『千金方』の古版本二種 解説 真柳 誠・小曽戸 洋
http://www.hum.ibaraki.ac.jp/mayanagi/paper04/shiryoukan/me115.html

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コメント

正攻法ならば,本文校訂による「同一異文」を使ってのTextkritik
でしゅね。本国(中国)でのものが無ければ,自分たちでやる。
科研費なんだし。

おまけ:丹波康頼の「康頼」を単語登録する際に,「健康信頼」と入れて2字消しました。安倍晴明と同時代人だったのね。

投稿: 宇三九斎 | 2006-11-22 12:18

宇三九斎先生、コメントありがとうございます。
実用書というのは、すぐに手が入ってしまうので、普通のテキストクリティックの手法ではうまくいかないようです。ちなみに
 飛鳥〜奈良〜平安時代の日本の資料
を見るときに
 備急千金要方
を使ってはいけない、というのは、科学史では常識だそうです。宋代に大幅に改訂されてるからです。木簡読むときにも使えない、ってことでございます。
決め手は
 類書などに引かれている部分との突き合わせ
で、現在『輯佚資料集成』などから佚書の引用と見比べたり、新たに医学書などの引用を拾ったりしている模様。

投稿: iori3 | 2006-11-22 14:29

もうちょっと前の時代なら,「弘法大師将来目録」との突き合わせかな。あと薬師如来関係の寺の目録(得意技でしょ)。
もっとも,康頼自身が渡来人の子孫ならば,唐の滅亡のときに逃げ出して,携えてきた「家蔵書」からの抜粋の可能性もあるわけで,ここまでくると,お手上げだね。

投稿: 宇三九斎 | 2006-11-22 15:35

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