手塩皿
富山在住の友人が結婚祝いにくれた染め付けの手塩皿をまた割ってしまった。残り3枚。古い九谷の松竹梅の絵付けの三寸皿で、呉須の色が青菜をおいしくみせてくれる重宝な小皿なのだが、よく使う分、欠かしてしまった。欠かすと、その内割れる。今回も、洗っているときに手から滑り落ちたら、欠けたところから割れた。
三寸皿が3枚というのは、はなはだ勝手が悪いので、Yahoo!オークションで適当なのを探す。こうした生活雑器は、不思議と骨董の方が使いよい。たぶん、長年、日本人の手に合う大きさの食器を、伝えられているとおりに、轆轤を挽き、絵付けをして、窯で焼き続けていたからだろう。うちにあるのは本当に廉い、一枚1000円前後の染め付けの膾皿や手塩皿、2000円程度の色絵の四寸皿や六寸・七寸皿なのだが、何を盛ってもちょうどよい分量に納まる。
二寸五分の手塩皿や五寸の膾皿は呉須の色から言うと幕末から明治初期くらいのものだと思う。今の今まで生き抜いてきた食器のわけで、焼きが堅く、多少乱雑に扱っても欠けたりはしない。欠けても、高価ではないから惜しげなく使える。山水の絵が描いてある膾皿は大量生産品なのだが、一番活躍している。廉いのは一枚300円くらいで手に入れた。シチューを入れたり、煮物を掬ったり、本来の名前通りにお造りを盛ってもいい。多少下手でも、盛りつけが綺麗に見えるところが気に入っている。
魁の文字が赤絵に踊る四寸皿は、麻婆豆腐を取り分けるのに使う。大正から昭和くらいのものかな。確か2枚で3000円しなかったと思う。割に薄手だけれども、大事に使っているせいか、欠けない。染め付けは雑に扱ってるけど、色絵は、少し気をつけている。洗ったら、すぐに拭いて片付ける。
六寸皿は、桃の絵入りが2000円くらいだったら買う。色絵は店頭だと高いけど、Yahoo!オークションだと、時々廉いのが出る。六寸皿は実に便利な大きさで、昔の人はよく考えてるな、と思う。七寸皿はカレーを盛るのにいい。
こうした骨董は、5枚揃いだと高いけど、端物はかなり安く出ていることがある。わたしが買うのはもっぱら端物ばかりだ。
Yahoo!オークションでは、色絵の手塩皿が3枚組で出ていたので、終了直前に入札したら、簡単に落札できた。色絵にしては廉かった。昨日届き、早速洗って仕舞った。呉須が効いているので、これも青菜が映えると思う。
染め付け中心だと食卓が青っぽくなる。一人の時はご飯は朱塗りの椀によそっている。これは朱塗りの湯桶を落札したときにおまけでついてきたものだ。大正の頃のものだと聞いた。結構ぞんざいに扱ってるけれども、今のところ無事だ。家人は塗り椀が嫌いなので、家人と食べるときは、家人が買った現代の備前焼の飯椀にご飯をよそう。
あとはまともな汁椀があるといいのだけれど、気に入ったのがなかなか見つからないので、学生時代から食器棚にある、うんと廉い塗り椀を使っている。合鹿椀が好きだけど、高いからな。
Yahoo!オークションは、最近ほとんど使わなくなったけど、
必要な物が使うべき時に見つかる
のだな、と思う。少なくとも、デパートや大型スーパーの食器売り場で感じる
買いたい物が何もない
という失望は少ない。今時の食器って
デザイン優先で使い勝手が悪い
のが多すぎて、結局、骨董の方が廉くて使いよかったりする。デザイン性が単なる
目立ちたいだけ
なのが、現代食器の欠点だ。奇をてらうのはいいけど、仕舞うに収まりが悪く、料理の盛り映えがしないのでは、食器としての意味がない。その点、何も言わずに山水図の膾皿を焼いていた無名の陶工たちの方が、食器の本来の用途を弁えていたと思う。
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