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2007-03-30

小児科医の自殺は過労死、東京地裁が労災認定の判決 (その4)民事訴訟は一転して過労死を認めず@3/29東京地裁

行政訴訟では激務による過労死と認められ、厚労省が控訴せず、東京地裁の一審判決が確定した中原先生の裁判だが、同じ東京地裁の民事裁判では、一転、原告敗訴となった。
今後、労働基準法を無視した勤務体制の病院から、医師の逃散が進むことが予想される。
ご遺族は、高裁の判断を仰ぐとおっしゃっているが、高裁で判決が出るまでの間に、日本の小児科・産科・麻酔科・救急の担い手は減り、医療現場は荒廃するだろう。
今回の判決を下した裁判官は、自らの司法判断によって、今後どれだけ日本中に必要な医療を受けられなくなる人々が出るのか、その目でとくと見てほしい。裁判官自身が救急搬送されるような事態になって、初めて実感するかも知れないが。東京の救急はすでに崩壊寸前である。

読売新聞より。


小児科医自殺、損害賠償訴訟は勤務との因果関係認めず

 東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務からうつ病になったためだとして、遺族が病院側に慰謝料など計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。


 湯川浩昭裁判長は「仕事は特に過密だったとはいえず、うつ病を発症させる危険性があったとも認められない」として、請求を棄却した。

 中原さんの自殺を巡っては、遺族が労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の支給を求めた訴訟で、東京地裁が今月14日、「過密勤務などが原因でうつ病にかかり自殺した」と労災を認定し、判決は29日に確定した。二つの訴訟の司法判断が正反対となったことについて、原告代理人は「同じ証拠で、ここまで180度違う判決になる理由が分からない」としている。

 原告側は、中原さんが1999年3月以降、同病院の小児科医師の相次ぐ退職に伴い、宿直回数や心理的負担が増えた結果、うつ病を発症し、同年8月に自殺したと主張していた。

 これに対し、判決は「宿直回数は、他の病院の小児科医と比較して突出して多いとはいえず、過重な業務だったとは認められない」と指摘。仕事とうつ病の関係についても、「健康状態や相続問題など仕事以外にも心理的負担になる問題を抱えていた」と、因果関係を否定した。

(2007年3月29日21時59分 読売新聞)

この判決がこれから死者や重症者を増やすのは間違いない。
過労死を恐れて、最前線から医師が去り、急病やけがで搬送が必要でも搬送先が見つからず、手遅れになって亡くなったり、重大なトラブルを抱える、子どもや大人が出現するだろう。まさに焦眉の急であった、医療従事者の労働環境整備に冷や水を浴びせる、実に罪深い判決である。
裁判官は人を殺さないだろうが、判決が結果的に人を殺すことはある。しかも、今回の判決がもたらすのは
 司法判断による、大量殺人
かもしれないのだ。今でも搬送先が見つからず、手遅れになる気の毒な人々がいる。今回の判決は、その確率を全国的に高めるだろう。

高裁が判断を改めることをつよく願う。

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