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2007-03-05

Nスペ 歌麿 紫の謎@3/4 21:00-21:50 NHK総合

浮世絵が題材のNスペということは
 NHKエデュケーショナル制作だとアウトだな
と思ったら、案の定エデュケの制作で、
 おいしいものをまずく料理する編集の典型
でがっかりした。
 NHKスペシャル 歌麿 紫の謎
http://www.nhk.or.jp/special/onair/070304.html
 NHKエデュケーショナル
http://www.nhk-ed.co.jp/

エデュケは、NHK本体からの出向と自前の採用でスタッフを形成しているが、最近の本体からの出向組は片道切符で、本体に戻してもらえない、という話を聞いている。そのせいなのか、非常に士気の低い番組で、エデュケのダメっぷりを晒している。

話の軸は三つ。
1. ボストン美術館秘蔵のスポルディングコレクションで、高精細のデジタルアーカイブを作成中。これまで褪色していて、確認できなかった、鮮やかな本来の色彩を目の当たりにする
2. 本来の色彩による作品(ただし木版。肉筆ではない)を見直すと、これまで色が飛んでしまってわからなかった「歌麿の紫」が全面的に出てきた
3. 「歌麿の紫」は「藍+紅(呉藍)」の「二藍」ではなく、「青花+紅」による紫で、青花を使うと発色は鮮やかだが、褪色が早期に進んだ

なんか変なのは2〜3の検証部分。まず
 木版の浮世絵は褪色した作品で評価を余儀なくされている
というのは常識なので、
 保存状態のよい作品が発見されると、それまでの作品観は変化する
といっても、そもそも
 「原作とは違う色」という保留付きで作品論があるのが浮世絵
なので、そのあたりを知っていると、実に気味の悪い編集になっている。てか、浮世絵論やるひとはエクスキューズとして
 現在残っている作品では、発表当時の色彩はわからないが
と必ず一言添えるはずなので、
 浮世絵のプロの作品観が変わる
としたら、変じゃないの? 油絵の洗浄とはちょっと事情が違うだろう。
編集の方向が
 新たな発見
に向いちゃってるから、そういうことになる。むしろ
 歌麿の豊かな色彩の再発見
くらいにしておけば、更に話がふくらんだものを。なんだか
 NHKが初めて公開します
みたいな、意味のないPDやCPの功名心が、せっかくの上質の素材を台無しにしている。
それと、
 二藍じゃなくて、青花+紅の紫
を選択したのは
 本当に歌麿
なのか? 木版浮世絵は
 絵師
 彫師
 摺師
の分業によって成立している。歌麿はあくまで絵師であって、木版画としての製品は
 絵師の肉筆のタッチを創意工夫によって版画に反映させようとする彫師の彫刻刀の冴え

 摺り切れないほど細い線を彫られても、忠実に紙の上に摺り出す摺師の意地
とがせめぎ合う職人技の世界だ。果たして
 絵師に摺り色の指定権があったのかどうか
は、わからない。確かに
 摺られた作品は青花+紅
だけど、浮世絵は版元あっての作品。普通は版元指定だと思うけどどうなのか? 番組ではあたかも
 歌麿が青花+紅の色指定をした
ことになってるけどね〜。今でも
 印刷物の色指定は編集者の仕事
なんですが、そこまで歌麿が容喙できたのか? 謎。どうも
 歌麿の作品
という言葉の解釈を間違ってるように思うんですが。

で、
 歌麿の紫の検証
も、せっかく
 団十郎に「助六の鉢巻き」の「江戸紫」
について語らせながら、全然実証的でない。団十郎が
 江戸時代は芝居小屋が暗かった
と言ってるのだから、江戸時代の芝居小屋といえば、讃岐の金比羅さんに現存する
 旧金比羅大芝居
にでも行って
 江戸時代の照明下で「江戸紫」の効果を再現する
くらいはできたはず。まったく説得力がなく、つまらなかった。

本当に
 歌麿の紫を再現したい
とは思ってない編集で、話になりませんね。

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