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2007-03-16

周産期医療の担い手が足りない NICUの後方病床で赤ちゃんが哺乳瓶を「一人飲み」が多発 原因は看護師数に関する法令などがないため@明日3/17 NHK総合「おはよう日本」で放映予定

生まれた赤ちゃんが、うんと体重が軽かったり、なにかトラブルがあったとき、運ばれるのは
 NICU(新生児特定集中治療室)
だ。保育器のついた小さいベッドでさまざまな治療を行いながら、赤ちゃんの命を守る現場である。
赤ちゃんが、危険な状態を脱したら、次に
 後方病床
と呼ばれる、やはり特別なケアが必要な赤ちゃんが集まっている病床に移される。24時間管理で、生まれてきた小さな命を救うのが、新生児集中治療管理部門だ。
この後方病床(NICUと合わせて広義のNICUともいう)で赤ちゃんの命を支える看護師さんの数が実は
 保育園の保育士さんより低い密度になっている病院がある
と聞いたら、あなたは信じられるだろうか。実は
 後方病床で働く看護師さんの数は法令などで定まっていない
のだ。現在
 病院の裁量で、後方病床の看護師さんの数が決められている状態
で、十分な人数を配置できる病院がある一方、看護師さんを手配できない病院では、
 たくさんの赤ちゃんを一人の看護師さんが見る状態
が続いている。病院の間で、その差は何倍にもなるというのだ。
 1人の看護師さんが平均で9-10人の後方病床にいる重症の赤ちゃんを見ている
というショッキングな事実が、調査で分かった。

調査したのは、青森の新生児集中治療管理部門に勤めている高校の同期生、網塚医師だ。全国のNICUの後方病床をもつ医療機関に調査を依頼、その結果を、明日、博多で開かれる日本SIDS(乳幼児突然死症候群)学会で取り上げる。
網塚医師の調査が明らかにしたのは
 後方病床における看護師不足の深刻な状況
だ。特別なニュースがなければ、
 明日のNHK総合「おはよう日本」
で、取り上げられるという。

網塚医師の調査では
 後方病床を担当する看護師が不足していて手が足りず、抱いて授乳することができないので、哺乳瓶を何かで支持して赤ちゃんの口にくわえさせる「一人飲み」
が、多くの施設で行われているという。
詳しくは、明日のNHK「おはよう日本」で見ていただきたい。

現在、日本の周産期医療では
 NICUの絶対数が足りない
ということに注目が集まっているが
 NICUがあっても、そこで十分な看護を尽くせるだけの看護師さんが絶対的に不足している
状況が広がっていることにショックを受けた。世間一般の議論は
 NICUさえあれば、大丈夫
だという方向なのだが、実際は、
 後方病床の看護師さんの数が法令などで決められていない
ために
 病院の裁量に任されていて、病院によっては人員を厚く配置できない
というのだ。
そのために、手が足りない後方病床では
 赤ちゃんに「一人飲み」をさせざるを得ない、厳しい状況
にあるのだ。

保育園では、児童福祉法によって、
 保育士一人あたり乳児はおおむね三人
と決められている。原則として健康な子どもが通う保育園よりも、遙かにケアが必要な重症児が入院している後方病床に関しては
 看護師一人あたりの担当する乳児の数は決まっていない
のが現状だ。
網塚医師は
 重症児を扱う後方病床では厚く人員を配置するよう法令などの整備が必要だ
と訴えている。

わたしの知る範囲で、
 家庭で一人飲みをさせていた実例
は、
 第1子出産の1年後に双子出産
という家庭で
 80歳のおばあちゃんが、赤ちゃんを抱くのが大変なので、座布団の端に哺乳瓶を載せてやって、3人の赤ちゃんに授乳した
という例だけだ。
いかに周産期医療の現場で、必要な看護師さんの数を国が無視しているかが、このことからも分かる。
法令などできちんと人数を決めて、常に十分な人数が揃ってさえいれば、
 一人飲み
などという、誤嚥などの危険を伴う可能性のある授乳は行われるはずがないのである。やむなく「一人飲み」を行っている後方病床でも、みんな
 しっかりと赤ちゃんを抱いて、授乳したい
筈なのだ。
法律が尻抜けで
 保育園児よりも、重症児が顧みられていない
ために、こうした矛盾が起きているのだ。

政治的判断で、いくらNICUや後方病床を増床したところで、肝心の
 医療の担い手の数が足りない
のであれば、周産期医療は十分に機能しない。
箱だけつくって、それでおしまい、では、ダメなのだ。
少子化が進み、不妊治療などで多胎妊娠が増えている現在、NICUの必要性はますます高まっている。そうした状況において、
 法令などを整備して、NICUと後方病床に看護師さんを厚く配置
しなければ、意味がない。
見落とされている
 後方病床で看護師数が法令などで定められていない事実が引き起こす矛盾
を、網塚医師の調査が、明らかにしてくれた。

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