女性産婦人科医は産科を辞める率が高い
台所の腐海となっている新聞のスクラップ整理をしているとき、NHKにチャンネルを回したら国会中継だった。ちょうど民主党の議員が
少子化と小児科・産科の減少
について、柳沢厚労相と安倍ちゃんに質問しているところだった。広野允士議員か小川勝也議員の質問だったと思う。NHKのニュースにその答弁内容だけ取り上げてあるので、引用しておく。
首相 農相は職務遂行で職責を(略)
さらに、安倍総理大臣は「不足している産科・小児科の医師を確保するためには、この分野に多くいる女性医師の支援が必要だ。女性医師の再就職を支援するため、『女性医師バンク』を設立するなど総合的に取り組みたい」と述べました。
と、相変わらず
医師バンクを作れば、医師が勝手に集まってくる
というおめでたい答弁を繰り返していた。てかさ、安倍ちゃんの答弁を書いてあげてる厚労省の官僚はアホですか?
高校の同級生に1人女性産婦人科医師がいるが、彼女は
お産は扱わない、不妊・性感染症・更年期などのレディースクリニックを札幌市内で開業
している。彼女も子どもがいるのだが、とっくにお産の立ち会いは止めている。女性医師による女性のためのクリニックとして、結構流行っているようで、ご同慶の至りである。長いこと医局にいた後に開業したのらしい。
彼女はガリ勉タイプではなく、そもそも医学部に進んだのを意外に思ったくらいだった。高校時代はバレー部で活躍していた。かなり体力はある方だと思う。
そんな現役女性産婦人科医でも、お産は扱ってないのだ。
なぜ女医さんたちはお産の現場に戻ってこないのか。
ちょうど、読売新聞が日本産科婦人科学会が女性産婦人科医に行ったアンケートの結果を記事にしている。
産婦人科志望の女性医師、10年後は半数が現場離れる産婦人科を志望して10年目前後の女性医師の約半数が、出産の現場から離れているという実態が19日、日本産科婦人科学会が全国の大学病院産婦人科教室を対象に行った調査で明らかになった。
女性医師本人の出産・育児などを機に、厳しい産科の現場から離れる場合が多いと見られ、調査した東京都立府中病院産婦人科の桑江千鶴子部長は「産科の充実のためには、増え続ける女性医師が継続的に就労できるよう、院内保育所を作るといった環境整備が急務だ」と訴えている。調査は、産婦人科を志望して2〜16年目を迎えた医師の就労状況を把握するため、昨年12月から今年2月にかけて、全国105の大学病院産婦人科教室を対象に行われた。
その結果、産婦人科を志望した女性医師のうち、2年目の医師の92・2%が出産を扱っていた。しかし、その後は出産を扱う割合が徐々に低下し、9〜13年目にかけては50%前後にまで下がっていた。最低は11年目の45・6%だった。一方、男性医師は4〜16年目まで、ほぼ8割が出産を扱っていた。
また自分に子供がいない女性医師は75・3%が出産を扱っていたのに対し、子供が1人いる場合には49・3%、2人では41・4%、3人以上では34・6%と、子供が増えるに連れ、出産現場で活躍する女性医師の割合が低下していた。
(2007年3月19日20時45分 読売新聞)
そりゃあ、男性産科医でも過労死する現場で、子どもを抱えた母親である女性産科医が逃散しないわけがない。子どもを選ぶか、仕事を選ぶかといえば、結論は一つしかないだろう。
安倍ちゃんの答弁は
名前を書いてくれれば、人数は揃う
という幻想の産物であって、
少子化でも、女性医師は子どもは放っておいて、現場に戻れ
と言っているのと一緒である。日本産婦人科学会の調査の示すとおり
安心して子どもを預けて働ける環境
がなければ、女性産婦人科医はお産の現場には戻ってこないだろう。働く環境をよほど厚く整えない限り、子どものいる女性産婦人科医が、夜間〜早朝のお産には、ほぼ戻ってこないだろうというのは、誰にでも想像がつく。
安倍ちゃんの言ってることは
逃げ道をふさいで、たこ殴りに殴ってる
ようなもので、普通の神経を持った人間ならば、そんなところには行かないのである。
ま
医師バンクは絵に描いた餅に終わる
悪寒。
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