京大の卒業祝いの落雁、研究林間伐材で作った祝い箸へ
卒業式でもらうものは、
卒業証書と記念品
だけれども、京大の場合は記念品は
大きな紅白落雁
だった。さすがに京都だけあって、有名な菓子司のもので、餡入りだったような記憶がある。この手の落雁は
形だけでおいしくない
のが相場だが、この落雁はまあまあだった。箱の裏に菓子司の名前が入ってるから、おいしくなかったら、どこから文句が出るかわからないのが京都だ。京大には、華族の末裔とか華道・茶道などの家元の関係者とか有力寺院の子弟とかが在学・在職しているので、菓子司にとっては地雷だらけだ。
で、この落雁が、
下宿生が多い京大生にとっては巨大すぎる落雁
なのである。切り分けて食べてちょうどいいくらいの大きさなのだ。家族が卒業式に来ていればいいが、そんな学生ばかりじゃないし、すぐに就職などで京都を離れる人にとっては悩みの種で、卒業式の後に研究室に行くと、
俺、食べられないから、みんなで食べて
と、落雁の箱が置いてあったりするのだった。おいしいお茶でもあれば、餡入り落雁は悪くないのだが、貧乏な学生ばかりの研究室だから、そんな贅沢も言えない。
で、卒業式に出ないで後から卒業証書を取りに行っても、余ってたら落雁をくれたんじゃなかったっけ。ものすごく遅れて取りに行っても、落雁をもらって、絶句していた先輩がいたような気がする。
文学部の場合は、建て直される前は、卒業式の後に
名誉教授室で学部長から直々に卒業証書授与
以文会の入会記念ティーパーティ
があったけど、最近どうしてるか知らない。名誉教授室という古き良き帝国大学時代の遺物は、講座の増加があったせいだったか、前世紀になくなり、英語英文学かどこかの研究室に化けたような記憶がある。その旧館もとっくにない。
何かあれば
紅白の薯蕷饅頭
を配るのは京都のしきたりだが、国立大学にも受け継がれていて、創設の歴史が浅かった、博士課程の大学院でも、何か研究所の祝い事があれば、紅白饅頭をもらった。これもやはり名のある菓子司のものだった。腰高の薯蕷饅頭はおいしい。
恩師の退官記念パーティで頂いた引き菓子は、
末富に特別に作らせた美しい金団
で、茶道サークルの顧問を務められていた先生にふさわしいお菓子だった。
このように
祝い事とお菓子は切っても切れない京都
だったのだが、尾池総長が
しきたりよりも環境問題が大事
と、
落雁をやめて、研究林の間伐材から祝い箸を作って贈る
ことにしたという。
朝日より。
卒業記念の祝い箸、研究林の間伐材で 京大総長が考案
2007年03月17日祝い箸を持つ尾池和夫・京都大総長
http://www.asahi.com/kansai/news/image/OSK200703170051.jpg京都大は、26日に卒業する学部生約3千人への記念品に、研究林のスギ間伐材で作った祝い箸(ばし)を贈る。従来の落雁(らくがん)(干菓子)に代え、尾池和夫総長(地震学)が発案した。
「京都大学」の焼き印入りで長さ50センチ。耐震建築に間伐材を再利用する研究からヒントを得た。割り箸の案も出たが「捨てて焼かれると炭酸ガスを出す」とやめた。
伐採から約半年かけて作り、経費は約230万円。尾池総長は願う。「箸にも棒にもかからないではなく、世界の橋渡しをするような人物になってほしい」
まあ、最近の学生諸君は、落雁でもないだろうからなあ。
ただ、落雁を納めていた菓子司とどういう風に話をつけたのかが気になるな。なんせ、京都だし。
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