医療崩壊 勤務医残酷物語 「当直」抜きで週48時間労働 当直入れたらいったい・・・
奈良県南部の産科を崩壊させた毎日新聞が報じると
マッチポンプですか
と言われちゃうんだけどね。あれだけ医師を叩いてて、その功績で二つ賞を取ったら、今度は
医師の労働改善キャンペーン
ですか。その前にしなくちゃいけないことがあるんじゃないのか、毎日新聞。
勤務医:7割が週48時間以上労働 病院会調査で明らかに全国で働く勤務医の7割以上は、夜勤当直を除く1週間の勤務時間が、法定の40時間を大幅に超えて48時間以上に達していることが10日、社団法人日本病院会の調査で明らかになった。医療過誤の原因として「過労」と答えた医師も7割に上っている。過労によるうつ病で自殺した小児科医(当時44歳)について先月、東京地裁で労災適用を認める判決が出たが、医療現場で広く同様の過酷な勤務実態があることを裏付ける内容。厚生労働省は医師不足への本格的な対策を迫られている。
調査は昨年7月、全国2535病院を対象に行い、5635人の勤務医から回答を得た。結果は10日夕、厚労省の「地域医療支援中央会議」で報告される。
1週間の勤務時間を聞いたところ、「48〜56時間未満」が26.1%(1469人)で最も多く、▽64時間以上=23.2%(1307人)▽56〜64時間未満=20.8%(1173人)と続く。週48時間以上働いている勤務医は計70.1%に達する一方、法定の「40時間未満」は4.1%(229人)にとどまっている。
「夜間当直をする」と答えたのは71.6%(4034人)。月の夜勤当直回数は、▽3〜4回=40.8%(1645人)▽5回以上=17.1%(688人)で、「2回以内」は41.9%(1692人)だった。また、宿直勤務をした医師の88.7%が、「忙しさと無関係に翌日も通常勤務せざるを得ない」と答えた。勤務時間、当直回数は、年齢や病院の規模による差はなかった。
医療過誤の原因(複数回答可)については、「過剰勤務のために慢性的に疲労している」を挙げた人が71.3%(4015人)を占めた。医師不足の要因(同)についても、「過酷な労働環境」と答えた人が61.0%(3435人)で最も多かった。【坂口裕彦】
毎日新聞 2007年4月10日 15時00分
この統計の恐ろしいところは
当直抜きの勤務時間
ということで、
当直入れたら、いったい勤務医は月何時間労働なんだ
と考えると、恐ろしくなる。
32時間連続勤務なんてザラなのだ。
医師には労組はほとんどないと聞く。病院側の言うがままに、苛酷な労働条件に対する抗議もできずに
人間の命を預かる仕事
をさせられているのだから、まさに
日本の医療は勤務医の自己犠牲の上に成り立っている
のだ。なおかつ
赤字垂れ流しの公立病院勤務
であれば、その悲惨さは想像を絶する。
一昨日、朝日は
医師確保へ苦心の高給 自治体病院2倍の差 政投銀調べ 2007年04月08日03時15分自治体病院に勤める医師の給与は都道府県によって2倍の開きがあることが、日本政策投資銀行の調べでわかった。北海道や東北を中心に医師不足が深刻な地域ほど給与は高い傾向があり、自治体が「高給」で医師をつなぎとめている実態が浮きぼりになった。
(略)全国でもっとも給与が高かった病院は、北海道北部の幌延町立病院(6科36床)の4586万円。町内唯一の病院で、ただ1人の常勤医である院長が日中の勤務に加え、平日は毎晩当直についているという。同病院は「町の財政は厳しいが、地域の医療を守るためにはこの待遇もやむをえない」と説明する。
(以下略)
と報じた。
上記記事では
幌延町立病院の一人院長(医長というはおろか、常勤医は一人だけ)の年収が日本一高い
と報じているが、一人院長は
尾鷲に一人医長として赴任したものの、議会で年俸5000万円を問題にされ、やめざるを得なかった、1年365日中2日しか休めず、病院内に事実上軟禁状態にあった産科医の先生
より、低い給与で
毎日当直
という苛酷な勤務をこなしているのだ。
単なる目先だけの金額
で、幌延の一人院長の労働を推し量るのは、ミスリードだ。
この幌延の院長先生は和歌山県立医大のご出身だそうだ。てことは、幌延町立病院は
道立医大である札医にも、道内国立医学部である北大にも旭医にも見捨てられた病院
なのか。
メディアはこれまでの
医療費抑制の敵は医師という報道
を、まず反省してほしい。かつ
すべての医師は高給取りで、医療過誤があっても隠すという偏向報道
もやめていただきたい。
日本は医師不足
なのだ。
不足しているのは、小児科・産科だけではない。
内科も外科も人手不足
なのだ。外科医不足は
癌手術の待ち時間が長くなった
ことからも推測されるが、
癌かどうかを診断する内科医
も少なくなっているのだ。つまりは
癌であることを判定するのにも検査待ちになってる可能性が高い
ってことだ。
切る時機を逸して亡くなる
だけでなく
癌か否かの診断も遅れている
ということは
早期発見・早期手術は今後できなくなる
ことを意味する。
苛酷な勤務医の労働環境に目をつぶり、医療過誤の裏にある
過労・睡眠不足・人手不足
を報じず、一方的に
医師が悪い
と報道してきた結果が、今の惨憺たる医療現場を招いたことを、メディアは真摯に反省してほしい。メディア関係者やその家族が重病を疑って病院の戸を叩こうとしても、診察してくれる病院がその時あるかどうか。
いま20-40代のメディア関係者は、心しておいた方がいいだろう。
高度な医療を誰もが安価で受けられる、世界でも随一だった日本の医療システム崩壊の招いた元凶の一つは、メディアである。
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コメント
全く同意。「当直抜きで」48時間と言うところに悪意がほの見える。
これだけ崩壊させておいて、「医療クライシス」なんてやってるのを見ると「マッチポンプ」という言葉が浮かびます。
まあ、やたらに敵を作るより、「昨日の敵は今日の友」というように取り込めないかと考えるけれど、この報道と言い、「タミフル」バッシング連載開始と言い、やはりエブリデイ新聞の本質は変わらずと言うことですか。
投稿: 山口(産婦人科) | 2007-04-11 15:52