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2007-04-20

食在広州 毒在偽塩

先日
 広東省で工業塩混じりの毒塩が広く販売されていることが発覚
というニュースが日本でも紹介された。
かなり長いけど、引用する。
日経ビジネスオンラインより。


中国で「ニセモノの塩」が氾濫
長期間摂取で中毒 懸念される健康被害に打つ手なし
2007年3月23日 金曜日
北村 豊

 昨年来、広東省では低価格の偽物の食塩(以下「偽塩」)が食品市場に氾濫している。食塩を扱う商店の90%以上で偽塩を販売しており、本物の食塩を買い求めるのが難しい状況にある。広州市の新聞「新快報」によれば、2007年2月10日から同紙の記者が広州市の6つの区に10カ所ある食料品市場で食塩を扱う商店90軒を調査したところ、この内82軒が偽塩を販売していたと言う。

 広東省政府は2007年1月1日から、省内各地で販売される小口包装(プラスチック袋)の食塩にはコード番号を記載した偽物防止ステッカーを張り付けることを義務づけている。「ステッカーが無いもの、ステッカーはあっても関係当局でコード番号が登録されていないと確認されたものは偽塩である」と注意を呼びかけている。それでも、偽塩の氾濫は一向に収まる気配がない。

 「食塩にまで偽物があるのか」と思われるかもしれないが、偽塩の正体は製塩工場の廃液からつくった不純な塩や、通常「工業塩」と呼ばれる化学工業原料の「亜硝酸塩」である。

「ニセの塩」長期間摂取すると中毒に

 亜硝酸塩は、白色不透明な結晶体で食塩に酷似し、水に溶けやすく、0.2〜0.3グラムの摂取で中毒を起こし、3グラムで死に至る。偽塩は生産過程が不衛生で重金属などの有毒な化学物質が含まれていることもあり、これを長期間にわたって摂取すると慢性中毒をもたらし、甚だしい場合は癌になる可能性が高い。

 2005年に中国塩業総公司の総経理が語ったところでは、中国の塩の生産量は世界第2位で世界全体の生産量の18%を占め、2004年の塩の生産量は4300万トン、その内訳は海塩が約60%、岩塩が約30%、湖塩が約10%であるという。その世界第2位の塩生産国で「偽塩」が市場に流通する理由は、ひとえにその価格にあり、金儲け以外の何物でもない。

 中国における食塩の市場卸売価格は1トン当たり2000元(約3万2000円)程だが、亜硝酸塩の工場出荷価格は230元(約3700円)であり、約9倍の価格差があり、亜硝酸塩を食塩と偽って販売すれば、ぼろ儲けが可能となる。金が稼げるなら、他人が中毒になろうが、癌になろうが、気にしない。社会主義市場経済の中国では、拝金主義の権化みたいな輩が跋扈している。このような人命に関わる健康被害をものともせず、偽塩を販売するような連中は「下の下」の悪党に過ぎない。こうした連中が販売する偽塩が市場の90%を占めるとなると由々しく事態と言わざるを得ない。
(中略)

 2006年10月、貴州省余慶県龍渓鎮の診療所に急病の子供3人が担ぎ込まれた。その内の1人は人事不省で危篤状態にあったが、その後も急病患者は増え続け、1時間の間に50人以上に達した。急を聞いて駆けつけた余慶県人民医院の王華平副院長は、患者の病状に軽重はあるものの、症状が類似していることから、亜硝酸塩中毒によるものと判断した。最終的に患者17人が亜硝酸塩中毒と判定され、症状の重かった子供は懸命の救命治療のかいもなく死亡したが、残りの16人は命に別状なく回復することができた。

 その後の調査によれば、急病患者のほとんどが3時間前に何軒かのビーフン(米粉)店でビーフンを食べていたことが判明した。そこで、患者の食べたビーフンと嘔吐物を検査したところ、1軒のビーフン店はビーフンから、また他3軒のビーフン店はお茶の中から、それぞれ亜硝酸塩が検出された。(註:この地方ではお茶に塩を入れて飲む習慣がある)

 この事件を重視した塩管理部門並びに公安警察は、これらビーフン店の食塩購入先から遡って調査を行い、遂に「工業塩」を「食塩」と偽って販売した卸元である曹敏を逮捕した。曹敏を追及した結果、曹敏は四川省の「天渠塩化有限公司」から亜硝酸塩を購入したことを自供したので、捜査員は速やかに天渠塩化有限公司へ出向いて調査を行い、以下の事実を確認した。

曹敏は重慶市に実在する「高盛化工有限公司」向けと偽って247トンの亜硝酸塩を買い付けた。
曹敏は買い付けた亜硝酸塩を、皮革工場向けに60トン、食品工場向けに130トン、残り(57トン)を食塩の小売市場へ販売した。
曹敏が「天渠塩化有限公司」と契約した数量は5000トンであり、もし犯罪の摘発が遅れていたら、亜硝酸塩は継続的に販売され、被害はもっと大きくなっていた。
曹敏の「天渠塩化有限公司」からの買い入れ価格は1トン当たり230元、これに重慶市までの輸送費を加えた原価の合計は320元で、これを客先ごとに異なる価格で販売しており、最高価格は1トン当たり1400元であった。

亜硝酸塩だけではないニセの塩

 偽塩の種類は亜硝酸塩だけに限ったわけではない。

 2004年下半期に重慶市では正規の小口包装を模倣した「偽塩」が大量に市場へ出回り、市の塩管理部門に対する消費者からの告発が増大した。

 これを受けた重慶市塩管理部門は市内の小売市場を調査し、食塩として販売されていた「偽塩」77トンを押収した。食塩と偽塩との判別のポイントはヨードが含有されているか否かである。ヨード検査で簡単に偽塩を見分けることはできるのだが、外見上はプラスチック製の小口包装もその内容物も判別は不可能、というのが実態であった。

 日々数を増す消費者の告発と市場に流入する偽塩量の増大に業を煮やした塩管理部門は、公安警察と協力する形で偽塩専従の合同捜査チームを発足させ、偽塩流通の根源を突き止めるべく捜査を開始した。
 捜査開始から数カ月後のある日、捜査員が偽塩の出現が比較的多い江北区石馬河の農貿市場(=農産物を主体とする自由市場)付近の廃品回収センターで袋詰めの「海水晶」を大量に発見した。「海水晶」は塩化ナトリウムを主成分に、マグネシウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの微量元素を加えた塩製品で、主として魚、蝦、蟹、藻などの海生動植物の養殖に使われるが、食用には適さない。海産物市場ならば海水晶があっても不思議ではないが、農貿市場に大量の海水晶があるということは不合理である。海水晶を重慶市へ搬入するには塩管理部門に届け出る必要があり、2004年下半期の記録を調べると2330トンが搬入されていた。しかし、重慶市における海水晶の需要はせいぜい1カ月で45トン以下であることから、2000トン近い海水晶が用途不明のまま消失してしまった計算になる。
(中略)

棺桶工場の前には海水晶を運んできたトラックのほかに2台のワゴン車が止まっているだけ。捜査員たちが望遠鏡とビデオ撮影をしながら工場を観察し続けていると、棺桶工場から男女2人が包装された物を持って現れ、ワゴン車に乗り込み走り出すのが目撃された。捜査員たちは早速この車を追跡したところ、ワゴン車は璧山県の農貿市場に到着し、白色のプラスチック包装の品物を2軒の小売店に卸して立ち去った。捜査員たちは直ちに2軒の小売店に立入調査を実施。品物は偽塩であることが判明した。

 動かぬ証拠を確認した捜査員たちは棺桶工場に踏み込み捜索を敢行した。この結果、偽塩製造団は、棺桶を製造していた工場を借り受けて、海水晶を小口包装(プラスチック袋)にすることで「偽塩」を製造していたことが判明した。現場からは小口包装された偽塩が5トン、小口包装用のプラスチック袋が3万枚ほど押収された。

 現場で逮捕された犯人たちが使っていた食塩は本物の食塩であった。捜査員が犯人の1人に「お前たちは自分たちの塩は使わないのか」と尋ねると、「外で買った食塩の方が良さそうだから、俺たちの塩は使わない」と答えたという。

 こうして、海水晶を原料とする偽塩製造団は逮捕され、事件は決着したが、捜査の開始から約2年間の歳月を要した。偽塩事件はこれにとどまらず、重慶市だけでも各地で多発しており、2004年捜査開始から2006年末までに押収された偽塩は500トンを上回っている。

 広州市の食品市場では、プラスチック包装の偽塩の1斤(=500グラム)が1元(16円)であるのに対して本物の食塩は1.3元(21円)。日本円ならたったの5円の違いだが、お金に厳しい中国の庶民が少しでも安いものを買おうとするのは、当たり前でよく理解できる。

 一方、小売店にしても食塩は政府指定価格で儲けは薄いが、偽塩ならば食塩の倍の利益となるので、食塩を隠してでも偽塩を販売したくなろうというもの。

安物買いの銭失い

 中国のことわざに「一銭一貨」(=1銭の物は1銭の価値しかない)というのがあり、安い物に良い物はないということを意味している。これは、日本ならさしずめ「安物買いの銭失い」とでもいうことになろうか。そうではあっても少しでも安いものを求めようという消費者心理に上乗りして欺くだけでなく、健康被害を来し、最悪は死までもたらす偽塩を食塩と偽って流通させるとはもっての外だろう。

 偽塩事件は最近始まったものではなく、中国政府は従来から取り締まりを継続しているが、依然として中国各地に偽塩製造団が暗躍しているのが実情である。「泥棒にも三分の道理」というが、犯罪にも人倫があることを、こうした不心得者たちに理解させるのはどうすればよいのか。拝金主義に凝り固まった亡者たちを善導することは至難である。儒教の発祥の地である中国に儒教教育を復活させ、人倫の道を教えることが必要なのかもしれない。

(北村豊=住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト)

この「偽塩」問題について、産経の福島記者が、鋭く突っ込んでいる。
 民以何食為天 食の安全学2 2007/04/20 03:23
 http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/155178
これも一部引用する。


 ■広東省の密造・ニセ塩の状況を地元報道からみてみよう。

 ■新快報(3月14日付) (中略)
 ■これらニセ塩のおろし価格は政府が制定する価格を大きく下回り、このため、大量のニセ塩が工場、学校、ホテル、レストランに流入している。

 ■3月2日、記者がレストラン・オーナーと身分をいつわって、広州市天河区の市場に潜入取材した。塩売り場の女主人に、「塩1袋いくら?」ときくと、彼女は「1袋1元」という。食塩の包装は非常に精巧で、ニセ防止ラベルはついているが、番号をチェックすると登録されていない。
「これニセモノじゃないの?」ときくと、女主人は不機嫌そうに「正規の塩がほしいなら、こちらを買いなさい。1袋3元よ」とカウンターのしたから別の袋をだしてきた。さらに「今は、多くのひとが正規の塩を買わないわよ。ニセ塩だって食べれば同じ、それに安い」と言う。このあと、記者は9店舗、同様の取材をし、7つの塩袋を買った。それにはラベルがついていたが、全部番号は登録されておらず、ニセ塩だった。(中略)

■ある大学食堂に材料を下ろす店の主人はいう。「正規塩の利潤は非常に低い。一袋の塩で多くて0・1元。これがニセ塩なら0・5元の利潤だ。ニセ塩一袋売れば、正規塩3袋売るよりもうけはまだ多い。だから、多くのひとは安いのを買うのさ」
(後略 引用おわり)

■こういった報道があいついだ。もっとも、密造塩、ニセ塩のすべてが、省塩業当局の宣伝するように、重金属汚染されていたり、亜硝酸塩がふくまれていたりするかはわからない。成分データーは公表されていない。これは、政府の正規塩キャンペーンの一環でもあることは承知しておいた方がよいだろう。

■ここで、密造塩とは何か、ということをちょっと解説したい。密造塩とは政府が認可した以外の不法に作られた塩だ。誰がつくるか、というと一般に農民。広東の沿海地区は土壌が汚染によって極度にアルカリ化し、長年、農産物ができない状況がつづいている。つまり農民は農業でいきていけない。では元手なしに簡単に製造できるものは何か?それが塩なのだ。塩は海水が原料、あと黒いビニールシートとかあれば、晒塩という方法で、だれでも簡単にできる。広東の田舎にドライブにいったりしたら、密造塩(私晒塩)をつくっている風景に出会うこともある。
(略)
■だがしかし、ちょっとまて。そりゃ工業も発達していないのどかな海辺の村なら、密造塩も問題ないだろう。しかし、密造塩をつくる地域は、ぺんぺん草も生えないほど土壌汚染がひどい土地。その沿岸からくみ取った、魚も住まぬような工業廃水で汚染されまくりの海水を原料にした塩に、カドミウムだのヒ素だの水銀だの重金属が混じらないわけがあろうか?

海水から作った「天日塩」だとしても、元になる海水が行くところまで行ってしまった
 汚染済み海水
だとすると、恐ろしい。いくら一連の報道が
 前漢・桓寛 の『塩鉄論』以来の政府の「密造塩」対策キャンペーン
だとしてもである。
しかし
 食の本場 広州
なんて、喜んで広東省にグルメ旅行を企てても
 実はなにが入ってるかわからない「偽塩」で調理されている
としたら、あとは推して知るべしだなあ。東莞あたりには日本企業がたくさんあるけど、日常食べている外食にも、もれなく偽塩が入ってることだろう。工場や会社の食堂の食塩は偽塩じゃないの?
学食の食塩が偽塩なら、学生達はアウトじゃん。長期間にわたって摂取するのがいけないんだけど、どうなるよ。

水質汚濁がシャレにならないところまで行って、天気予報には
 川では魚を釣ってはいけない
と警報が出ている南京に行ったとき、レストランのおねえさんたちはやたらに
 川魚料理
を薦めた。名物料理で単価が高いからなのだが、
 どんな水に住んでいたかわからない川魚
には、もれなく汚染物質がついてくる。そうでなくても、中国の川魚って泥臭いからな。

かつて南京で『隨園食単』を誌した袁枚も、水質汚染や偽塩には、墓の下で慨嘆しているのではあるまいか。
安全で安心な中国料理は、大陸じゃない場所で頼むのが良さそうだ。ヘタにグルメを気取っていると、足下を掬われかねない。

で、一つ疑問なんだけど
 日本に食品を輸出している中国の食品加工工場で使われているのは、「本物の食塩」なのか
どうか。工場だと使う食塩の量は半端ではない。現場がサヤを抜くために、精巧に偽装された「偽塩」を使ったとしても、日本人マネージャーは見抜けるかどうか。二重伝票で、うまく作られた「偽塩」を仕入れたとしても、食塩を分析しない限り、本物かどうかは見分けがつかない。
いっぺん、日本側で、日本に入ってきた中国産食品の
 分析
をきっちりやってみないとね。それで分かるようだったら、すでに終わってるとは思うのだが。

ま、日本国内にいる分には
 中国産の食品を利用しないように気をつける
くらいだな。簡単に言うと
 スーパーやコンビニの総菜や弁当、外食をできるだけ避ける
ことだろう。中国産の安い食材で、日本の外食・中食産業は成り立っているのだから。

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コメント

海は汚染されきっています
【万物相】「死海」と化した渤海湾
http://www.chosunonline.com/article/20070325000007

油に関してもあやしいです
え!中国では下水溝から食用油が作られる?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20061214/115674/

中国産は既に選択肢から外して、外食をしないようにしてても
北朝鮮のアサリみたいな例もあるので信用しきれないのが現実
国もJASで取り締まってくれないのだろうか…

投稿: sakimi | 2007-04-21 00:47

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