「マスコミたらい回し」とは? (その57) 朝日新聞のいうように「医師は偏在」してるのか
朝日新聞が
医師の数を都道府県の面積で割った「医師密度」地図
を掲げて
こんなに医師は偏在してますよ
と言い張ってたのは昨日のお話。
「マスコミたらい回し」とは? (その56) 朝日新聞、「医師密度」と「人口密度」の相関は無視
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/05/56_4dd9.html
識者であるsanta先生にお伺いを立てたら、
医師調査から厚労省がつくった二次医療圈ごとの人口10万人あたりの勤務医数
という資料を見ると
地域ごとに偏在なんてことにはならない
と教えてくださった。
件の資料は、厚労省のサイトからダウンロードできる。
平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査 二次医療圏別人口10万人当たり従事医師数
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0719-4d.pdf
昨日の地図
http://www.asahi.com/politics/update/0510/images/TKY200705090364.jpg
では、医師の数は
北海道・青森・秋田・岩手・福島は30人未満/100キロ平米
山形は30-60人/100キロ平米未満
宮城は60-100人/100キロ平米未満
という
どう見ても人口密度と相関しまくっている変な数値を元に「医師数の地域格差の現状」
とか言ってたわけだが、今日は
厚労省の「平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査 二次医療圏別人口10万人当たり従事医師数」
から、
北海道・東北六県の二次医療圏別人口10万人当たり従事医師数の表
をコピーしてみる。
(クリックすると拡大します)
見ていただくと分かるのだけれども
人口十万人当たり医師の数が100人未満になる二次医療圈
とは、
北海道・宗谷と根室、青森・西北五地域、宮城・黒川と登米、福島(7地域)・南会津
だけである。
santa先生のお話では
人口10万未満の地域も無理矢理10万人を基準に医師数を出しているので、そこは医師数が多く見えるけど、実際問題として二次医療圈に10万人未満しか人口のいない地域では、医療ができることは限られる
とのことなので、人口10万人未満なのに、人口10万人当たり100人以上の医師数をたたき出した地域名も記しておく。
北海道(21地域)では南檜山・北渡島檜山・北空知・日高・上川北部・富良野・留萌・遠紋の8医療圈
青森(6地域)では下北地域
岩手(9地域)では気仙・釜石・久慈・二戸
宮城(10地域)では栗原・気仙沼
秋田(8地域)では鷹栖と阿仁・湯沢と雄勝
山形(4地域)では最上
となる。
なんか朝日の地図と違わない?
全然
朝日の地図のように、綺麗に偏在
なんてしてないじゃん。地域の中で医師数が少ないところはあるが、
人口10万人を超えて10万人当たりの医師数が100人未満の地域
というのは、
青森・西北五地域
だけなのだ。他は人口が少なく、二次医療圈に10万人も人口がいない地域なのである。二次医療圈を適正に維持できる人口を厚労省は10万人と見積もっているわけだから、それより少ない場合は、医療サービスは、10万人以上いる地域より縮小したものにならざるを得ないだろう。
というか、
厚労省の平成16年の人口と医師数の相関を示した統計資料
がすでにあるというのに、あの地図はなんだよ、朝日新聞。
牽強付会
って、ああいう
都道府県ごとの「医師密度」地図
のことを言うのでは?
何でもかんでも
図示すれば、読者をだませる
と、踏んでいましたね。
ついでに言うなら
東京・埼玉・千葉・神奈川の二次医療圈間の格差
についてはどう考えているのだろうな、朝日新聞。下に表を貼っておくが
首都圏でも医療崩壊進行中
なのが、よくわかる。
(クリックすると拡大します)
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