秋のGWより6月に祝日を(その2) 「秋のGW」の言い出しっぺは公明党
戦前、10月17日の神嘗祭と11月23日の新嘗祭は大祭日だった。明治天皇の誕生日である11月3日は明治節として、祝日だった。
戦後、国民の祝日に残ったのが、新嘗祭だった勤労感謝の日だ。文化の日は明治節とは関係ない、ということになっているが、戦前の明治節と同じ11月3日が祝日として選ばれた。春季皇霊祭・秋季皇霊祭は春分の日・秋分の日に装いを変えた。2月11日の紀元節は建国記念日として名称を現代風にして残り、4月29日の天長節は天皇誕生日、GWの始まりとして長く愛された後、平成になってからは「みどりの日」と称され、今年から「昭和の日」として戦前の「明治節」同様の祝日となった。
戦後に残った戦前と同じ祝日をまとめておく。
1月1日 元日(四方拝)
2月11日 建国記念日(紀元節)
春分の日(春季皇霊祭)
4月29日 昭和の日(天長節)
秋分の日(秋季皇霊祭)
11月3日 文化の日(明治節)
11月23日 勤労感謝の日(新嘗祭)
ところで、大正時代の天長節は本当は8月31日だったが、真夏で各種行事に支障があるということで、大正3年からは二ヶ月後の10月31日に改められた。これは国の都合で本来の誕生日ではない日に祝日が移動した例である。
で。
日本書紀皇極天皇紀の元年(642)十一月に
丁卯(16日)に、天皇新嘗御す。
とあるのが、新嘗祭の期日を誌した最古の記録ということになっている。
とまあ、新嘗祭は非常に起源の古い祭日で、神道と天皇家にとっては重要な祭祀である。それを継承した戦前の時点では、11月23日に定められ、戦後は勤労感謝の日と名を改めて国民の祝日となった経過がある。
靖国参拝推進派のはずの中川幹事長が言い出すとしたら、変だな〜と思っていたのだが、どうやら言い出しっぺは公明党の模様。
共同通信より。
「秋のGW」構想が浮上 与党、参院選公約化も
(略)
ただ、自民党の保守色の強い議員らは、かつて秋の収穫に感謝する「新嘗祭(にいなめさい)」として祝っていた勤労感謝の日を動かすことに早くも反発しており、公約明記を含めて構想が実現に向かうかは困難との見方もある。構想は公明党の参院選公約づくりの過程で浮上。旅行の機会を増やすことで消費拡大を図るとともに、働き過ぎを抑制する狙いもある。
(以下略)
ほお。さすが公明党。
神道に起源する国民の祝日を「秋のGWをつくる」という理由で移動させて、国民の歓心を買い、かつ「神道の影響も弱める」作戦
ですか。なかなか巧妙。
新嘗祭だった11月23日から国民の祝日から移動させるのは、「勤労感謝の日」の意味づけも失うようなもので、乱暴な言い方をすれば、クリスマスを勝手に移動するようなものなのだが、さてどうなりますかね。
ここで踏み絵として踏まれるのは
自民党が公明党にどの程度選挙協力をしてもらっているか
普段靖国参拝や伊勢参宮をしている自民党議員の神道に対する理解度
の二点である。さて、普段、神道を尊重しているような発言をしている、いわゆる「保守派」自民党議員が
公明党の宗教的立場に配慮して、日本書紀以来の新嘗祭から「勤労感謝の日」を移動できるか
どうか、チェックしてみたい。
安倍ちゃんの「美しい国」の中身も問われているので、実に面白い。
政治と宗教の関わりが、ウラから読める事例である。
おまけ。
反神道のいわゆる「政教分離」派は、公明党の
勤労感謝の日と新嘗祭の分離案
には、賛成しないと変だろう。共産党と社民党は、今回の公明党のアイデアには、賛同を示さないとね。
敵(神道)の敵(創価学会)は味方
だ。
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