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2007-06-15

那波利貞『唐代社会文化史研究』創文社1974

東城書店より。送料込みで5680円。
古典的名著だが、手元にはなかった。1974年当時で7000円の書物がそれより安い値段で買えてしまう。
いいのか悪いのか。

何が起きているかというと
 古典学の崩壊
が起きているのだ。すでに
 衰退
という段階は通り過ぎた。

数年前に、
 公立図書館の除籍本
として、古本屋から
 ジョセフ・ニーダム『中国の科学と文明』の既刊分
をかなり安い値段で購った。すでに公立図書館では
 古典的名著を置くスペースがない
のだ。
ニーダムの『中国の科学と文明』が図書館の棚から消え、市中の古本屋に出回るような国に日本はなってしまった。

その頃から
 一時は古本価格が高騰して、入手困難だった人文系の専門書の価格が低落
した。これは
 高い古本を買ってまで、研究する人たちが減った
からだ。わたしのように、収入のかなりの部分を書籍につぎ込んでも、本屋の借金が減らないという書痴は別として、
 研究費がもらえない人文系研究者は本を買わなくなっている
のである。

常勤の人文系、しかも直球勝負で古典研究という研究者は
 絶滅危惧種
である。いまは
 誰か古典研究者が定年で辞めると、後任補充されない時代
だ。二つあったポストは一つに、一つあったポストはゼロになっていくのだ。
古典研究者は絶滅危惧種であるだけでなく
 社会にほとんど寄与しない
という点でも、
 珍獣化
している。
このままの状態が続けば
 かつては数万円を超えていた人文系専門書の古書価格もどんどん定価や定価以下で販売
されるようになるだろう。古本屋が在庫をいくら抱えていても、高過ぎれば売れないからだ。
去年は
 高田修 『仏像の起源』岩波書店

 わずか8000円
で購入した。この書物のかつての古本価格を考えると、信じられない値段であった。

わたしのように古典研究が専門で、かつ身体的理由で行動に制限のある人間にとっては、古典的名著が適価で買えるのはありがたいのだが、それは、とりもなおさず
 古典研究者が絶滅に向かっている
だけの話だ。
 儲からない上に、成果が上がらず、現代の「成果主義」では全く評価されない
のが、
 古典研究
である。
また、
 資料のオンライン化
によって、
 資料の博捜が、デジタル化された文献については瞬時に行える
ようになったのも
 古典学の地位を押し下げる役割
を果たした。かつては
 博覧強記
が、古典研究者の必要条件だったが、いまや
 外部記憶がどんな初心者にも平等に検索結果を吐きだしてくれる時代
なのだ。

印刷術が発明されるまでは
 記憶術
が必要だった。数少ない写本の内容をいかに覚えるかが、学問のために必要な技術だったのである。
それと同じことがいま起きている。
 博覧強記
が不要になれば、なにが必要か。それは 
 テクストを確実に読む力
だ。残念ながら、オンライン資料は、読む力を養成するには粗雑すぎるのである。ただ、読む力を養うには、時間がかかる。同じ才能があれば、別な世界で仕事に就いた方が、遙かに稼げるだろう。日本は少子化で、優秀な若い労働力は引く手あまたである。

かくして、古典学は滅びていく。
かつての古典研究者同様
 実家もしくは配偶者の家が裕福で、経済的余裕がある研究者が古典研究に残る
だけだろう。
 研究すればするほど、貧乏になるのが古典学
で、わたしの抱える借金もシャレにならない。(育英会の奨学金返済が大きい。このままいくと、再来年からは博士課程の奨学金を全額返済することになるのだが、返済方法を考えると頭が痛い)
借金を返済するには、古典学以外のアルバイトで稼ぐしかないのである。

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