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2007-06-02

日本の「前近代」 海外への修学旅行中に麻疹発症 麻疹の免疫が十分にない生徒と教師41人も飛行機に搭乗拒否されカナダに足止め→外務省も異例の呼びかけ

日本は
 麻疹輸出国
として、国際的に不評を買っている。
それを証明してしまった話。
第一報は5/30のこと。産経より。


1人はしかで全員が一時待機 カナダ滞在の修学旅行生

 【ニューヨーク=長戸雅子】カナダ西部アルバータ州の在カルガリー日本総領事館に29日までに入った連絡によると、修学旅行でカナダを訪れた東京都内の高校生ら131人(教員2人)のうち、1人の女子生徒がはしかの症状を示し、バンクーバーの病院に入院した。

 総領事館によると、一行は24日に東京からバンクーバーに到着。27日に女子生徒が発熱を訴えたため病院で診察したところ、はしかに感染していることが分かり、同日入院した。

 他の生徒らは28日にロッキー山脈で有名なバンフに到着したが、地元保険当局の指示で同日はホテルで待機、抗体検査を受けた。検査で抗体のなかった41人は予防接種を受け、29日から観光を続けているという。130人にはしかの症状はないという。

(2007/05/30 10:09)

う〜ん。麻疹の初期症状は風邪に似ているから、気がつかなかったのか。旅行に参加したのが
 修学旅行代金がもったいないから
という理由でないことを祈る。しかし、発熱で病院に掛かったというのは、かなり症状が進んでいたんじゃないかというおそれがある。麻疹の感染力が強いのは風邪と見分けのつかない段階だ。
 行きの飛行機で、乗り合わせた乗客や乗員が麻疹に感染してないのか
というのが気に掛かる。
麻疹の経過は次の通りだ。


Q1-[2]:麻疹にはどのような症状がありますか?

麻疹ウイルスの感染後、10〜12日間の潜伏期ののち熱や咳などの症状で発症します。38℃前後の熱が2〜4日間続き、倦怠感(小児では不機嫌)があり、上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)と結膜炎症状(結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど)が現れて次第に強くなります。

乳幼児では消化器症状として、下痢、腹痛を伴うことも多くみられます。発疹が現われる1〜2日前ごろに頬粘膜(口のなかの頬の裏側)にやや隆起した1mm程度の小さな白色の小さな斑点(コプリック斑)が出現します。コプリック斑は麻疹に特徴的な症状ですが、発疹出現後2日目を過ぎる頃までに消えてしまいます。また、口腔粘膜は発赤し、口蓋部には粘膜疹がみられ、しばしば溢血斑を伴うこともあります(上気道炎症状や結膜炎症状をカタル症状といい、以上を「カタル期」あるいは「前駆期」といい、「潜伏期」とは異なります)。

その後、熱が1℃程度下がり、その後半日くらいのうちに、再び高熱(多くは39℃以上)が出るとともに、発疹が出現します。発疹は耳後部、頚部、前額部から出始め、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、2日後には四肢末端にまでおよびます。発疹が全身に広がるまで、高熱(39.5℃以上)が続きます。発疹ははじめ鮮紅色扁平ですが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。指圧によって退色し、一部には健常皮膚が残っています。次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色します。この時期には高熱が続き、カタル症状が一層強くなります(以上、「発疹期」)。

発疹出現後3〜4日間続いた熱は解熱し、全身状態、元気さが回復し、カタル症状も次第に軽快してきます。発疹は黒ずんだ色素沈着となり、しばらく残ります。合併症のないかぎり7〜10 日後には主症状は回復します(以上、「回復期」)が、リンパ球機能などの免疫力が低下するため、しばらくは他の感染症に罹りやすく、また体力等が戻って来るには結局1ヶ月位を要することが珍しくありません。

このように、麻疹の主症状は発熱が約1週間続き、カタル症状も強いため、合併症がなくても入院を要することが少なくなく、回復までには時間のかかる重症の病気といえます。

出発は24日、麻疹の潜伏期間は長いので、出国前には感染していたことになる。カナダで入院したときの症状に「発疹」が伴っていたのなら、出国前から発症していたことになる。

気の毒なのは、一緒に足止めされている41人だ。
飛行機に搭乗拒否されて、帰国できないでいる。
読売より。


カナダ修学旅行の41人足止め、はしか警戒で搭乗拒否され

 カナダ修学旅行中に都内の私立女子高校の女子生徒が、はしかを発症し、現地の病院に入院した問題で、検査で十分な免疫がないことがわかった41人の生徒・教員が、帰国便への搭乗を拒否されたことが1日わかった。


 はしかの感染を広げる恐れがあるためで、生徒らは4日ごろまで待機し、発症しないことが確認され次第、帰国できるという。

 同校によると、一行は生徒・教員131人で、現地時間の先月24日から31日までの日程でカナダを訪れた。到着後に1人が、はしかで入院したため、カナダの保健当局から、他の生徒や教員もホテルで待機を命じられ、検査の結果、免疫がないことが判明した41人はワクチン接種を受けた。

 一行は入院した女子生徒1人を除き、31日に帰国の途に就く予定だったが、出国検査で、1人に微熱があったため、十分な免疫のない生徒39人と教員2人の搭乗が拒否された。免疫のあった生徒らは出国した。

 カナダや米国は、国内でのはしかの患者の発生がほぼゼロの「排除」地域。患者の発生は輸入例が多く、特に米国では、日本からが目立ち、「日本ははしかの輸出国」と批判されていた。

 渡航先カナダで日本人の発症が報告されたのを受け、外務省は1日、30歳未満ではしかの免疫がないと思われる渡航予定者に対し、ワクチンの接種を勧める異例の渡航情報を出した。

(2007年6月2日3時3分 読売新聞)

まったく、麻疹が流行している年代の人間が海外渡航することの危険性を、誰も認識してなかったって話で、実にとんでもない。
 麻疹くらいで騒ぐなんて
と思う気持ちが、
 麻疹輸出国日本
の地位を、揺るぎないものにしているのだ。

外務省のサイトより。


送信日時:2007/06/01
情報種別:広域情報

日本における麻疹(はしか)の流行について

1.現在、関東地方を中心に麻疹が流行しています。麻疹は乳幼児に多く発症しますが、最近では20代前半の成人の感染者の増加が目立っており、都内の大学等では休校の措置をとっているところもあります。麻疹の感染力は極めて強く、麻疹ウイルスに免疫を持たない人はほぼ100%発病します。一度典型的な麻疹を発症した人は、通常、終生免疫が獲得されます。
  最近では、カナダで修学旅行中の生徒1人が発病し、参加者の一部が現地保健当局の検査等を受けることとなりました。海外において発病した場合は、旅行の日程変更のみならず現地に留めおかれる可能性もあります。
  海外の特定国・地域において麻疹が流行しているわけではありませんが、渡航先でのトラブル回避のため、渡航前のワクチン接種をお勧めします。WHOにおいてもワクチン接種を推奨しており、殆どの先進国においては麻疹ワクチンの2回接種が実施されていますので、特に1回接種された方でも免疫低下の可能性のある30歳未満の方は、接種をお勧めします。
  国立感染症研究所感染症情報センターホームページも御参照ください。
 ( http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html

2.麻疹について
  麻疹は伝染性の強い急性発疹性のウイルス感染症で、感染者の気道分泌物(鼻、咽頭、口腔からの飛沫、飛沫核)による空気感染、飛沫感染により感染します。潜伏期間は10〜12日で、主な症状は38℃前後の発熱、咳、鼻汁、結膜充血、目脂、発疹等です。また、合併症として肺炎、脳炎などを来すこともあります。特別な治療法はなく対症療法が中心となります。

3.予防方法
  唯一の予防方法はワクチン接種です。日本では1歳児と小学校入学前年度を対象に定期接種が行われています。


(問い合わせ先)
 ○外務省領事局政策課(海外医療情報)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
 ○外務省海外安全相談センター(国別安全情報等)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
 ○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/

さて、気になるのは
 はたしてこの「旅行日程の延長」と「入院費用」が「旅行保険でまかなえるのかどうか」
という点だ。
1. 潜伏期間の長い麻疹に感染したまま、旅行に参加したのは、参加者の過失になるのかどうか(この場合未成年なので、親の責任になるだろう)
2. 海外で流行していた感染症ではなく、同行者の発病による「搭乗拒否」の場合、旅行を主催している学校側の責任はどうなるのか
3. 旅行が延長されたことで発生した多額の経費は誰が支払うのか
4. カナダの医療費は日本より高いと思われるが、本人が出国前に罹患した麻疹による入院の場合は、保険で補填されるのか
5. 行きの飛行機での同乗者が麻疹に感染した場合、感染の元になったと思われる生徒の責任を問えるのか
というあたりだろう。

実際に、ハワイあたりに子連れで行く家族の中には、モラルが欠如していて、
 旅行中止で旅行代金が戻ってこないのがイヤなので、水疱瘡などの伝染病を発症しているのに、ごまかして出国する例
がある。逃げ場のない機内で、
 伝染病をばらまく
事態になり、そのために
 免疫を持たない成人が感染、ハワイで足止めをくらい、長い場合は一ヶ月欠勤する
なんて例が過去にある。仕事でいったのならともかく
 遊びで行った機内で伝染病に感染する
のでは、会社の同情も得られない。まさに
 バイオテロ
なのだが、感染させられた方は、誰が感染源か証明できないので、これまでの例では泣き寝入りするしかなかった。
今回は、感染者が特定されているので、他の同乗者にうつしてないことを祈るばかりだ。24日に同乗者が感染したなら、まだ発症には間がある。二次感染があるとすれば、ニュースになるのは、これからの話だ。

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