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2007-06-13

宮本長二郎『出土部材が解く古代建築(日本の美術 490)』 鈴木規夫編『文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと(日本の美術 492)』

今年の3月と5月に出た「日本の美術」シリーズの二冊。

宮本長二郎 『出土部材が解く古代建築(日本の美術 490)』

日本の各地から出土する木材には、器物や木簡だけでなく
 建築部材
も多い。一つの遺跡から大量に建築部材が出たという報道はされるが
 どんな建物のどういう部材か
ということは、報告書でも読まない限り、なかなか分からない。
本書は、古代建築の専門家を得て、これまでに出土した古代の木材と家形埴輪、著者がフィールド調査で撮影した東アジア・東南アジアの稲作文化圏の少数民族の建築例を総合して、
 弥生時代から10世紀までの日本の木造建築とその技術
を復元する試みである。
家形埴輪で
 デフォルメした表現
と考えられていたものが、実は木材が出土して、その通りの部材の加工をした柱の様子を忠実に表したものだった、と分かる例など、
 出土物を丹念に拾い上げて、再構成する緻密な検証
が光る。
現代の東南アジアの少数民族の建築と日本の古代建築や神社建築との関係については、文化人類学的なアプローチで言及したのを読んだことがあるが、ここまで
 考古学で古代木造建築を語る
ことができるようになったとは、すばらしい。
個人的には
 貴州省侗族の刻み梯子
がツボにはまった。まさに
 こざとへんの象形のもとになった梯子の形
だったからだ。

鈴木規夫編 『文化財と科学技術 東京文化財研究所のしごと(日本の美術 492)』

高松塚・キトラ古墳の保存・修復作業で、何かと話題になった東文研が、
 普段は何をやっているか
という情報宣伝活動のための一冊。てか、大体みんな
 東文研ってなにやってんだっけ?
と悩む。奈文研の場合は
 奈良県内の遺跡の発掘
という、非常にわかりやすい仕事があるから、あんまり
 奈文研って何やってるの
とは聞かれないのだが。

東文研が最近とみに成果を上げている
 顔料の蛍光X線分析
あたりが、まあ、わかりやすい。

ところで、これは余談だけど
 なぜ高松塚古墳の作業日誌がある時期ない、もしくは不十分なのか
という話で、
 修復の人たちは「日報」をつける習慣がなかった
と聞いた。考古学にちょっとでも触れたことがあれば、日報の重要性は、口を酸っぱくして説かれる。作業を終えて、日報を書かないなんてことはあり得ないのだが、美術の人たちには、そういう
 文化がなかった
というオチをちらっと耳にした。
文化財保護の闇は、変なところで深い。

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