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2007-06-02

「マスコミたらい回し」とは? (その63) どうやら本当に「マスコミたらい回し」は深く静かに進行しているのか

大淀病院産婦死亡事例の民事提訴を受けての報道が
 極めてヒステリックになっている
のは、気に掛かるのだが、つらつら考えるに
 本当に「マスコミたらい回し」が全国に浸透した
のではないか、と思う。
 医師に見捨てられるのではないかという恐怖心
が、
 医師叩きの報道を過熱させている
のだろう。まるで逆効果だと言うことに気がつかないのは、ご愁傷様というしかない。
かつて、こんなことがあったという。新聞記者らしき人物の書き込み。新聞記者辞めた奴らの転職活動・9面目スレッドより。


188 :名無しさん@引く手あまた :2006/10/29(日) 05:44:08 ID:qd0+UV1X
心の病気だから仕方ない。
精神科病院がどんなとこかと思って見学を兼ねて取材したことがある。
ごく普通、誰も叫んだりしてなかった。
みんなでテレビ見てたり、花壇で花を栽培してたり、
拍子抜けするくらい普通だった。
医者に「患者が暴れたり、叫んだらどうするのか」と聞いたら、
やっぱり拘束室という狭くて外から鍵のかかる部屋があった。
その部屋見たら急に恐くなって、毎晩その部屋に入れられる夢でうなされて、
気がついたら紙面で叩きまくってた。
毎日、毎日、拘束室の恐怖と戦う一人キャンペーン。
その病院、医者がいなくなって潰れたよ。

そのころよりも病状は悪化してる、ヤバイ。
誰でもいいから殴りたい衝動にずっと駆られてる。
女性記者が産婦人科叩きキャンペーンに走るのも、たぶん同じメカニズムなんだと思う。
火事が恐いから消防署を壊しちゃえみたいな気分でしょ。
出産が恐いから、産婦人科医を叩いて、病院を潰してしまえみたい感情
すごくよくわかる。

今は
 医師に見捨てられるのが恐いから、医師を叩きまくっている段階
ではないかと思う。特に大淀病院産婦死亡事例報道については、大淀病院と担当医師をマスコミが集団リンチしているのに近い。これがもし外科医だったら、ここまで叩けないだろう。男性記者が多いから、
 自分が関係ない産科を平気で叩ける
という側面があるのは否めない。それに外科医だったら、交通事故や心筋梗塞や脳出血で、いつお世話になるか分からないからな。

大淀病院産婦死亡事例の一報時には、まだそれほど
 マスコミたらい回し
については、周知されていなかった。もともと、
 医師は人助けがしたい、情の深い人種
である。たとえ、それが大量無差別殺人を犯した極悪人であろうとも、患者であれば、手をさしのべたいのだ。

ところが、どうもマスコミ人たちは何かを勘違いしていた。
 マスコミ関係者であれば、無条件で最高の医療を待たずに受けられる特権がある
と信じているフシがあった。そんなものは幻想である。
これだけ医療訴訟が増えている今、
 慎重な診断
が求められている。ましてや
 堀病院民事提訴では、原告が共同通信記者
なのである。医師達がマスコミ人に対して慎重になるのは、致し方ないだろう。
 最善を尽くしても、訴えられる可能性がある
ならば、
 より最善を尽くせる病院へ紹介状を書いて、満足行く治療を受けられるように計らう
のが、医師としての精一杯の誠意の見せ方だろう。

今後、外科では医師が不足する。
産科・小児科はいうまでもなく、次は内科が危ない。
手術をしようにも、肝心の麻酔医が常駐してない病院はたくさんある。
そうした
 なんとかやりくりをして成り立っている病院
では、
 慎重な診断と、的確かつ最上の治療を要求するマスコミ人のために、紹介状を書く
のは、普通のことになるだろう。だって
 何かあったら、提訴するだけでなく、自分の所属するメディアを最大限利用して、医師と病院を叩きまくる
のだから。
 マスコミ人の主治医になって、いいことなど一つもない
わけで、
 診てくれる先生は、菩薩行を実践する、慈悲深い、腕のいい先生だけ
なのだ。

それでも、まだマスコミは、医師を叩こうとしている。
そんなに病院にかかりたくないのか。実に不思議だ。
わたしは子どもの頃から病院がないと生きていけない身体なので、決して医療従事者に嫌われるようなことはしない。常に感謝を欠かさない。
高度に専門化している現代の医療において、
 医療従事者に見捨てられることは、人生にとって、マイナスでしかない
のだ。
そんな状況に於いてさえ、いまだに
 医師を叩くのが、マスコミの常道
であると信じているマスコミ人は、よほど病院にかかりたくないのだろう。
果たして、地方に出ているときに、あなたたちを診てくれる設備の整った病院があるのか?
ないとすれば、それはあなたたちマスコミ人の医療報道が叩きつぶしたのである。
北風と太陽というイソップ物語を思い出すが、
 いつまでたっても北風は勝てない
ってことには、たぶん、気がつかないのだろう。
 してもらったら、ありがとう
というのは、子どもが1歳になったら、普通の親は教えるだろう。
 してもらっても、粗探しをする
のは、人倫の道にもとるというものだが、たぶん、中国の文革期のように
 造反有理
とでも思ってるのではないか。
きっと、病院でも、手に負えない患者なんだろうな。
病院でちゃんとケアしてもらうには
 プロの患者
になる必要があることを、小児患者達は幼い頃から学んでいる。わたしも2歳でそれを学んだ。
治療が最大の効果を上げるためには、患者も努力しなくてはいけない。AとBのどちらを選ぼう、いやCの治療法もあるが、と医師は常に考えている。その時、その患者さんが反抗的な患者であれば、たぶん医師は
 効果は二の次にして、患者さんがなんとか治療を拒否しない治療法を選ぶ
だろう。わたしは
 効果を第1に考えてもらいたい
ので、
 医師と共に、最善の効果をもたらすだろう治療
に向かう。そうした選択を医師にしてもらうためには
 治療に対して真摯な患者
でなければならない。プロの患者とはそういうことだ。
高熱があって意識が混濁しているような非常時は別として、医師だけでなく、看護師さんなど医療スタッフのいいつけをきちんと守っていれば、人事不省に陥っても、
 この患者さんは助けてあげたい
と、できるだけのことはしてもらえるものだ。普段から暴言を吐いたり、患者という立場を忘れているような患者さんだと、そこまでしてもらえるかどうかは、その時の運だ。

医師だって看護師さんだって、その他の病院スタッフだって、みんな人間だ。
行き過ぎた報道は、相手を人間だとは考えてない論調だ。
政府を批判するやり方で病院や医師を批判し続けるなら、
 マスコミたらい回し
は、今よりも徹底することはあっても、収束することはないだろう。誰も
 自分につばを吐きかける人間の危難を喜んで救おうとはしない
のだ。
 病院に掛かるのは、自分が危難にある時だ
ということを、どうして理解できないのか。そっちのほうが、まるでわからない。

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コメント

iori3 様
おはようございます。
医師が同じことを書くとこうはいかないという素晴らしい文章に、三度読ませていただきました。とくに効果は最大でなくとも拒否しない治療法を選ぶという感覚をさらりと書かれている点です。最後まで効果は最大の着地点をわかってもらおうと努力しますが、どうしてもダメでも治療放棄はしません。iori3様のいわれるような段階に進みます。・・・というような回りくどい文になってしまうのです(笑)。

しかし、粗探しをして細かい要求をする患者の多くなったこと!何度上記の過程を繰り返しても学習してもらえないことがまま、あります。これからはマスゴミは職を隠して病院にかかるようになるのでしょうね。それでも差別はしません(できません、が正しい?)。車を奪い事故を起こし、同乗者を殺し生存した容疑者でも違和感はあるものの差別せず骨折が治癒するまで治療した経験があります。人道にもとる人の弁護人もこんな感じがあるのかなと思ったりします。

投稿: 雪の夜道 | 2007-06-03 09:20

今朝の北海道新聞に大淀病院の記事が載っていました。(WEB上にはまだないようです)
たらいまわしと堂々と書かれており
明らかに脳卒中であったのに1時間半もの間放置されたような書き方や、
その後の病院側の不誠実な対応を非難しています。

投稿: きむきむ | 2007-06-04 15:04

後先が逆になりすみません。プロの患者と言う表現が心に響いたので、TBさせて頂きました。本来ならマスコミたらい回しについてTBすべきところかも知れませんが、別のところに目が行ってしまいました。もしTB内容がそぐわないと思われたら、どうかTB削除してください。

投稿: 眠らない麻酔科 | 2007-06-04 21:28

適切な分析と指摘に感謝します。
私も医療問題に対するマスコミの対応は納得できませんでしたが、こういった記者の精神的メカニズムがあるとは夢にも思っていませんでした。参考にさせていただきます。

投稿: doctor-d | 2007-06-06 09:02

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受信: 2007-06-03 10:41

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