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2007-06-03

夜勤する女性産科医はほとんどいない

そりゃあ
 出産経験のある女性産科医
に立ち会ってほしいのかも知れないけど、言っては何だが
 日本の産科は男性産科医で回っている
のだ。
いつも産婦人科の大変な前線で戦いつつも、脱力系ギャグで軽く乗り切っている「産婦人科残酷物語 Ⅱ」のBermuda先生が、ちょっと凹んでいる。満月の夜の当直中に7人の赤ちゃんを取り上げたのだが、7人目の赤ちゃんのお母さんの言葉に、傷ついている。一晩で7人の赤ちゃんを取り上げるというのは、想像を絶する忙しさだが、体力の限界で臨んだ7人目の赤ちゃんのお産の時に、こんなことを言われたので、ショックが大きかったのだろう。普段だったら、軽く笑い飛ばせたのかも知れないけど。


2007-06-02 19:03:23 外勤病院先にて
(略)
今回の当直中に生まれた赤ちゃんは
サンデーからサタデーまでにします。
7人目のサタデーちゃんまではもう覚悟ができますた。
(略)
陣痛がおさまっている時に、
患者さんは、
「お、男の先生なの?
先生、子供産んだことないでしょ?」
と…。
…。

えー、すいません。
オレ、子供産んだことないです。
ちなみに今後も予定はありません。

しかしながら、サタデーちゃんのお母さん(勝手に名前付けた)…
あなたも初産では…?
…。
まぁ、陣痛がきているときにそんなに冷静に考えられるなら大丈夫でしょう。

その後、無事に
サタデーちゃんも産まれまして、
多少羊水混濁ありましたが、
元気そうです。

分娩後のナートが終わり
当直室へ帰ろうかと思ったら
サタデーちゃんのお母さんが助産婦さんと話しているのが聞こえますた。
「子供産んだことない男性にお産のこと言われたくないですよねぇ。」
…。

えーっと…。
女性医師が増えたとはいっても、
まだ男性のほうが多いですから、
ニーズには合っていないでしょうね。

男性は
子供を産みたくても産めませんが、
そんな僕達でも生きているんだ♪友達なーんだー♪
…じゃなかった、
そんな僕達でも
毎年毎年、1年に200件以上お産にかかわっていて、
たくさんの経験をしているプロです。

一生のうちで数人のお産を実際に経験する女性は神秘的で尊敬の対象です。

おいらたちは
実際に経験できないので、
数で勝負です。しかも、圧倒的な数です

あー、
あと明日の夜中まで当直待機ですよ。
その間に同じような人がきたらどうしよ。

う〜ん。
これまでの担当医が女医さんだったのかも知れないけど、お世話になった先生に
 男だから
というのは、ちょっとナイだろう。
そんなに女性医師にこだわるなら、そういう病院もあるんだから、そっちを選択したほうが良かったんじゃないのかなあ。
お産の最中にあれこれ言うのは正気じゃないからともかくとして、生まれたら、取り上げてくれた先生には感謝じゃないのかなあ。こんなこというとアレだけど、産婦さんの家族関係に興味があるなあ。実のお母さんが、お産の準備を手伝えなかったのかなあ、と。娘のお産の時、実の母親は、
 赤ちゃんを取り上げてくれた人には感謝しなさい
というのは、しっかりと教えてくれると思うんだけど。
若い男性医師に赤ちゃんを取り上げられたので、気恥ずかしかったのかも知れないけれども、もうちょっと経って、冷静になったら、考え直してほしいものだと思う。
Bermuda先生にはお気の毒です。なんとも間の悪い話ですね。
土日の当直で大変だと思いますが、どうか気を取り直して、赤ちゃんとお母さんたちのために、力を尽くしてください。

それにしても、年間200件もお産を取っているのか。ものすごい激務なんだけどな。

そもそも、産科の激務は、男性医師が中心となって回している。
女性医師は、妊娠・出産・子育てのフェーズに入ると、夜勤はしにくくなる。女性産科医が働いている病院だと、そういう配慮をするところが多いだろう。
それでも、女性医師は、産婦人科から離れる率が高いのだ。
その件に関しては、以前扱った。
 2007-03-19 女性産婦人科医は産科を辞める率が高い
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/03/post_13c2.html
産婦人科医志望の女性医師は10年目には半数が辞めている。
 医師は10年経験を積んで一人前
と言われているのだが、
 10年目で半数がいなくなっている
ということは
 教育効果が半分はムダになってしまっている
のである。
 どうにかして産婦人科の人的資源をムダにしない勤務体系
を作らないと、産科はどんどん若い人材が得られなくなるだけでなく、あまりの勤務のきつさのために
 指導医クラスのベテラン医も辞めていく
だろう。そうなると
 産科の技術そのものが絶滅してしまう
のだ。これまで
 病院出産で子どもが生まれてきた
のに関しては、
 産科技術の現場での継承
があった。
 ベテラン指導医の元、若手医師が現場で経験を積むことで、産科技術が継承される
わけなのだけれども
 指導医なくして、技術の継承はない
のだ。現在の
 産科崩壊危機
はこの
 指導医クラスのベテラン医師が現場から立ち去っている
のが大きい。
 いくら新しく産科医を増やしても、指導できる医師がいなければ、「産科医増員」は無理
なのだ。

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コメント

あ、ばみゅセンセのところの記事を取り上げていただいてありがとうございます!
なんだかとっても厳しいです。

子どもを産めば産むほど、女性産科医はいなくなります。
http://www.jsog.or.jp/about_us/jyoseiishi_shuuroushien19MAR2007.pdf
p16.17です。
(パソコンかわったら図の切り取り方がわからなくなりました)

投稿: 僻地の産科医 | 2007-06-04 16:28

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女性医師の継続的就労支援のための調査(日本産科婦人科学会) http://www.jsog.or.jp/about_us/jyoseiishi_shuuroushien19MAR2007.pdf が発... [続きを読む]

受信: 2007-06-04 16:31

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