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2007-06-18

朝鮮文化研究所編『韓国出土木簡の世界』

早稲田の21世紀COEの成果を出版したもの。amazonからさっき到着したところなので、全部は読んでない。
とりあえず、興味を持って一番に目を通したのは以下。
 李基東 東国大学教授 韓国古代木簡の発見による新羅・百済史研究の新たな進展
 橋本繁 早稲田大学助手 金海出土『論語』木簡について
 橋本繁 早稲田大学助手 古代朝鮮における『論語』受容再論
 三上喜孝 山形大学助教授 韓国出土木簡と日本古代木簡 比較研究の可能性をめぐって
 三上喜孝 山形大学助教授 慶州・雁鴨池出土の薬物名木簡について
李基東教授の論文は、韓国における木簡出土の経緯と整理の過程および研究史について、簡略にまとめられていて、今まで外部の人間にはわかりにくかった韓国出土木簡の概略が俯瞰できるようになったのはありがたい。
橋本氏の『論語』に関する二編の論文は、以前金海の『論語』觚について扱ったことがあるので、興味深く読んだ。というか、なぜか拙論を引用していただいて、驚いた。あんな見つかりにくい論文(そもそも掲載されている書籍は簡単に入手できないし、図書館のデータベースでは引っかからない類)をどこから引っ張ってきたのかなと思ったら、このプロジェクトに舘野先生が協力してるのね。たぶん、舘野先生経由だな。それはさておき、金海出土『論語』觚が、公冶長篇のある部分の全文を書写したものであること、また2005年6月にソウル近郊の桂陽山山城から五角柱の『論語』觚が出土し、これも公冶長篇のある部分の全文を書写したものであることを教えていただいた。
気になったのは、童蒙の書(子ども用の教科書)についての感覚だ。『論語』『孝経』が童蒙の書であることは、中国では論を俟たないのであり、古代朝鮮と日本で事情が変わるのは、要するに文字受容の問題だと思う。官僚になるのに必要な文書作成は、古代朝鮮でも日本でも、母語ではない中国語で行うわけだからなあ。で、アスターナ出土の12歳が書写した『論語』鄭氏注については、「ぼく、がんばったね」ではなく、15歳で成人する社会で、なんとか中国の官僚制に身を置こうとした書香の家の子どもの受験勉強だろう。ついでに言うと12歳で『論語』注というのは、そんなに学習の進度としては早くない。まあ、場所がアスターナだからしょうがないって言えばしょうがないのだが。このアスターナの写本に『千字文』冒頭部も合わせて書かれているのは、『千字文』も子どもに中国の文化を教えながら、漢字を習得させる教科書だからで、一緒に書写されているという事実は『論語』が童蒙の書であったことを裏書きする。このあたりの「童蒙の書」に対する感覚は、ベースが中国学にあるか、そうでないかでずいぶん違うのだな、と痛感した。
三上先生の一つめの論文では「椋(くら)」が国字でなく、韓国出土の木簡でも使用されていること、日本の木簡では、「椋(くら)」の文字は8世紀以降は使われなくなることを学んだ。「椋(くら)」の文字には悩んだ時期があったので、これでほぼ解決。ありがたい。
三上先生のもう一つの論文は、雁鴨池出土木簡の薬物名について、簡略にまとめられていて、大変役立つ。来年あたりに日本古代医学について一本論文を書くつもりで準備中なので、雁鴨池出土木簡の薬物名について、インデックスが得られたのは、うれしいな。

これは前に紹介した中国古籍文化研究所編『中国古籍流通学の確立—流通する古籍・流通する文化』と同じシリーズ。早稲田、金あるな〜。

残りはこれからゆっくり読もう。
しかし、朝鮮史って、文字資料がえらく遅い時期のものからしかないから、難しいよね。
あとは、ずーっと懸案の『韓国の古代木簡』が未だに買えてないってことで、もう在庫はないかもしれないなあ。たしか5万円以上するんだよね。ここのところ激しく貧乏なので、1部3万円を越える本を現金で買えないから辛い。だいたい、この手の本屋は現金決済だし。

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