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2007-07-11

「マスコミたらい回し」とは?(その84) 大淀病院、産科再開を目指し「ドクターバンク」に登録「常勤3名募集」をNHK大阪がなぜか今頃ニュースに

「大淀病院産婦死亡事例」報道のメディアスクラムが、30年に渡って「一人医長」として地域産科医療を支えてこられた先生の心を折り、4月から産科休止になっている大淀病院が
 産科再開を目指し、奈良県の「ドクターバンク」に「産科常勤医3名」の募集
を出した。たしか、結構前から出てたと思ったんだが、なぜか今頃ニュースに。

NHK大阪のニュースより。


“妊婦死亡”の病科医を募集

奈良県大淀町の町立大淀病院は入院中の妊婦の容体が急変し、ほかの病院への受け入れを次々に断られた末に死亡した後、産科を休診にしていましたが、改めて再開を目指すことになり、医師の募集を始めました。

奈良県大淀町の町立大淀病院では妊婦が亡くなったあと、1人しかいない常勤の医師の肉体的負担が大きいことなどを理由に、今年4月から産科の診療を取りやめました。しかし、町立大淀病院では産科の診療を受けられる医療機関が周辺にほとんどないことから改めて産科の再開を目指すことになり、奈良県がことし4月からはじめた「ドクターバンク」という制度を利用して産科の医師の募集を始めました。
ドクターバンクは医師不足に悩む病院と勤務先を探している医師の双方が登録し、奈良県の担当者が医師と面談して希望と一致する病院を紹介するもので、病院では常勤の医師を3人募集しています。これについて大淀病院では「地域住民のために一日も早い産科の再開を目指したい」と話しています。

う〜ん、奈良県南部の産科再開は望ましいのだが、問題は
 奈良県全体の産科医が不足している
ということだな。

ドクターバンクの求人情報によると、募集条件は次の通り。


町立大淀病院 吉野郡大淀町下渕353-1 産婦人科 3名(常勤)
年収990万円〜(経験年数4年)
医師住宅あり
学会参加補助あり
院内託児所あり

奈良県の公立病院の年収は低いというのが定評だが、
 訴訟率が高く、急変のある産科医療を、設備が整っているとは言えない大淀病院で担当するのに、1人990万円以上
というのは、
 来なくていいですよ
と言ってるのとほぼ同じだろう。もし、この給与で医師が招聘できるのであれば、とっくに
 日本の産科崩壊は「全国で解決」
している筈なのだ。
 カネは出せません、設備もイマイチです
で、
 3人ほしい
というのは、事実上無理。
 あえて安月給で火中の栗を拾う奇特な医師
がいるとしたら、
 よほどの自己犠牲に燃えているか、現今の産科医療についての知見に乏しいか
のどちらかではないか。

で、この
 奈良県のドクターバンク
というのが、とんでもない代物で。
6/25付読売新聞大阪版より。


奈良県ドクターバンク登録ゼロ、面談行かない怠慢も

 奈良県が、医師不足を解消しようと、県内就職を希望する医師などを病院に紹介するため、4月から導入した「ドクターバンク」制度の登録者が、開始から2か月以上たっても1人もいないことがわかった。同制度は大淀町の町立大淀病院で昨年8月、出産時に意識不明になった高崎実香さん(当時32歳)が相次いで転院を拒否されて死亡した問題などをきっかけに創設されたが、登録がないのは県のPR不足が原因の一つ対象となる医師の情報提供があっても、職員が面談にすら行かない“怠慢”も目立ち、医療関係者らから「医師不足の深刻さを認識していない」と県の対応に批判の声が上がっている。

 同制度は、子育てなどで休職中の女性医師や、県内で勤務経験がある医師らを対象に、医師不足の公立病院や、へき地の診療所を紹介。県の担当者が直接、医師と会ってドクターバンクに登録してもらい、勤務条件などを受け入れ先の医療機関と交渉する。常に幅広く医師の求人情報が得られ、医療機関側も条件に合った医師を確保できるメリットがあり、全国の自治体でも導入が相次いでいる。

 奈良県は4月8日の制度開始以降、同県内の3病院から、産科医や小児科医計7人の求人があり、同県医師会や県立医科大(同県橿原市)もOBや休職中の医師らのリストを提供しているが、県の担当者は、これまで一度も問い合わせや医師との面談をしていない

 同制度について、県が広報誌やホームページだけで情報発信していることも影響しており、医師のリストを提供した県立医科大側は「こちらが提供した情報を生かせるようなPRが不足しているのでは」と県の対応に首をかしげる

(2007年6月25日 読売新聞)

「関西クローズアップ」で、奈良県立医大産婦人科教室の小林教授が、学会の合間を縫って東京で産婦人科医をリクルートしているシーンが流されてたけど、そういう
 現場の地道な努力

 一顧だにしないのが奈良県の行政と県職員
だ。
 PRすれば、医師はほいほいやってくる
と勘違いしてるんだろうな。
「関西クローズアップ」では、小林教授が
 給与面で折り合わない
と話していたけど
 奈良県はもっと医療従事者に手厚くしないと、どんどん医師に逃げられる
だろう。
ハコモノを作るときは、いかにカネを引き出すか腐心するのだが
 ヒトを招く
という発想がまるでない
 大仏商法
だからな。

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コメント

私は奈良県に住んでいますし、高校の同級や後輩が数人奈良医大で働いていたりするので、奈良医大の情報はある程度入ってきます。

産婦人科の小林教授は人集めにかなり精力的に動いておられるようです。最近ではご出身の浜松医大から医師の方を1人迎えられ、また海外留学しておられる医師の方を呼び戻されたりされていますが、県のバックアップがなく苦労しておられるようで、結局は新宮など何カ所かの関連病院から医師を引き上げざるをえないようです。

投稿: ただの(ry | 2007-07-11 20:38

なんといっていいのかな、もう。
やはり、とあるブログで書かれているようにポーズなのだろう。
仏像は多いが魂入らずは、奈良ならではのことではあるまい。
ついでに990万という数字。「ク、クレ~」と読めばいいのか。
(スパムではねられたので一部改変しました。不適切用語は無かったハズなのに・・・)

投稿: 雪の夜道 | 2007-07-12 09:59

ただの(ry 様、iori3様: こんにちは。
奈良医科大学産婦人科医局は雰囲気が素晴らしいですね。先日、奈良県医師会と奈良医科大学に「大淀病院のM先生を支援する会」があるのかどうか?また今後立ち上げることがあるのかどうか聞かせて頂いたのですが、失礼な電話にもかかわらず、どちらも丁寧に内応して下さいました。特に奈良医大の産婦人科の先生はソフトで、素晴らしい医局だと思わせるに充分なものでした。

投稿: Nebula202 | 2007-07-12 10:41

私は、奈良医大の産科に長期入院していました。
Nebula202さんのおっしゃるとおり、奈良医大の
産科の先生方は、みなさん優しく親切で良い方ばかりでした。
長期入院でしたので、たくさんの先生とかかわりましたが
嫌な思いをしたことは一度もありませんでした。

週一回の教授回診では、小林教授が患者ひとりひとりに
声をかけ、励ましてくださいました。とても気さくな先生で
教授回診は緊張の中にも、とても和やかな雰囲気がありました。

私は、主治医のどんなに忙しい時も優しさあふれる誠実な対応に感謝し、生まれた娘に先生から一字いただいて名づけました。

あと先生方はもちろんですが、助産師さん、看護師さんも
とても親切な方ばかりでした。

ヨコですが、
奈良医大についてのコメントに思わず反応してしました。

投稿: サンウエ | 2007-07-14 15:30

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