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2007-07-04

産科崩壊 「看護師利権」がお産の場で母子を危険にさらし、産科崩壊を促進 看護師と助産師さえいれば産科は成立するのか「内診問題の真相」 産科を閉じたオーク産婦人科院長の告発

今年の4月から、定評のあった産婦人科が、分娩の取り扱いをやめた。その時の話は、以下に書いた。
 2007-04-09 産科崩壊の立役者田村やよひ氏 女の敵は女 臨床の現場に二年半しかたたなかった看護師出身行政官が「看護師の内診禁止通達」の黒幕 出身高校のサイトで自慢→追記あり
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/04/post_6237.html

オーク住吉産婦人科の院長である中村嘉孝先生が
 看護師内診に関する通達が引き金となって産科を閉じざるを得なかった
と、ここではっきり述べられていた。

先ほど、TBをいただいた「ある町医者」先生のblog
 ある町医者の診療日記 内診問題の真相
http://blog.hashimoto-clinic.jp/200707/article_2.html
には、
 中村先生からの告発「内診問題の真相」
が全文掲載され、転載を薦めている。
もちろん、「ある町医者」先生の上記記事を読んでいただくのが一番なのだが、
 資料は拡散することで効果を発揮する
側面がある。
屋上屋を架すことにはなるのだが、「ある町医者」先生の顰みに倣い、中村先生の告発文全文を拙blogでも転載する。ここには
 看護師の驚くべき暗躍
が記されている。この中にはあの
 「陣痛促進剤による被害を考える会」の会長出元明美氏も正看護師であり、「助産師利権」に関しては、南野元法相や田村やよひ国立看護大学校校長と立場を同じくする
ことが指摘されている。要するに
 南野元法相も田村看護大学校校長も出元明美氏も「同じアナの狢」
ということだ。
この読み筋をもってすれば、
 「大淀病院産婦死亡事例」のご遺族をなぜ「陣痛促進剤による被害を考える会」がサポートしているか
が、分かってくる。
 看護師利権の走狗となっているメディアが毎日新聞と共同通信である
ということも、理解できるのだ。
以後、共同通信と毎日新聞の医療関係記事は、ほぼ信じられないという態度で読まなくてはなるまい。

以下、中村先生の告発を全文引用する。
もし、拙blogや「ある町医者の診療日記」をご覧になった方で、この文章を広めたい方は、どんどんご自分のblogに転載して、広めていただきたい。
また、英訳する余力のある方は、是非英訳して、世界に広く発信していただきたい。
 日本の産科が看護師利権によって蹂躙されているさま
を世界中の医療従事者に知らしめていただければ、幸いである。

内診問題の真相

医療法人オーク会
オーク住吉産婦人科
院長 中村 嘉孝

 当院は大阪市にある産婦人科クリニックです。これまで、医師5名で年間約600件の分娩を扱ってきました。しかしながら、この3月末をもって分娩の取り扱いを終了せざるを得なくなりました。大阪市南部の産科が次々と閉鎖される中、なぜ、民間施設である当院までもが、経営上の大きな痛手を負ってまでも分娩をやめざるを得ないのか、理由は「内診問題」です。

 去る2月12日に、同じ問題に苦しむ産科医が集まって「日本のお産を考える会」を発足させました。2ヶ月間に2500名以上の産科医の賛同を集め、来る3月22日(木)に厚生労働省に陳情に行き、記者会見を行う予定となっています。

 ご存知の通り産科医療の崩壊は、喫緊の社会問題となっています。しかし、崩壊の大きな原因となっている「内診問題」については、その背後にある利害関係が十分に知られていません。常識で考えれば、看護師による内診が行われなければ産科医療が成り立たないことは明らかなのに、なぜ、国民の生命を守るべき行政が、内診を違法と言い募るのでしょうか。

 この「内診問題」は、堀病院事件で大きく報じられ、横浜地検の起訴猶予処分によって、はじめて掘り下げた議論がなされるようになりました。しかし、いまだ内診問題の根深い病理が理解されているとはいえません。

 数十年来、当たり前のように行ってきた看護師による内診が、厚生労働省の一片の課長通達によって違法とされました。それでも、現場の産科医、特に地方の産科開業医たちは、妊婦を放り出すわけにもいかず看護師による内診に頼って診療を続けています。ただでさえ過酷な産科の診療を続ける中、「違法だ、違法だ」と言われ続け、怯え弱りきっています。検察ですら構造的問題だから可罰的違法性はないとせざるを得なかったのに、当の行政が硬直的に同じ法解釈を繰り返し、違法だと言い立てているのです。

 なぜ、このような異常事態になっているのでしょうか。妊産婦と新生児の生命に直結する問題なのに、なぜ、行政は実情を無視し、頑なに法解釈を変えようとしないのでしょうか。「守る会」の厚生労働省への陳情を前に、「内診問題」の真相を知っていただきたく思います。そして、このことが広く報道されることで、世論に是非を問うことができればと願っております。

<内診問題の背景>

 保健師助産師看護師法が制定された昭和23年から最近まで、産科医の診療を補助して、看護師がお産の進み具合をみること(内診)は、当たり前のことでした。ところが、いつ頃からか、看護協会や助産師会が、「助産師だけが内診できる」と主張するようになり、いくつかの医療事故について「陣痛促進剤の被害を考える会」が、「看護師に内診をさせた」と告発、厚生労働省の看護課長が、看護師の内診を禁ずる通達を出しました。

 一見すると、「被害者団体」の主張によって、長年の違法な慣習を改めさせるべく行政が動いた、と思えます。しかし、真相は単純ではありません。看護協会とその政治団体である看護連盟、南野智恵子議員を筆頭とする看護系議員、そして厚労省看護課による三位一体の活動が、その根本にあるのです。かれらは、「被害者の会」の活動に乗じて、助産師の権益拡大と看護職の地位向上という自らの隠された意図を実現しようとしているだけなのです。

 確かに、一連の通達は、それぞれ医療事故をきっかけとしています。ですから、行政が動くのは当然のように思います。しかし、産科はリスクの高い分野ですので、残念ながら医療事故も頻繁にあります。そして事故と看護師による内診とは、いままのところ、何の因果関係もないのです。さらに言えば、もっと安全に直結することで、改善すべきことはいくらでもあります。

 また、内診というと、大変高度な技術のように誤解されるかもしれませんが、膣内に人差し指と中指を入れて、子宮の入口が何センチ位開いているかを調べるだけで、術後のチアノーゼを観察や血圧の測定といった、看護師の通常の業務のほうが、よほど知識と経験を要します。また、分娩監視装置の判読は、心電図モニター以上に難しいものではありません。つまり、常識的に考えて、助産師でなく看護師が行ったとしても、安全上の問題など、あろうはずがないのです。これについては、産科婦人科学会も同様の意見を出しています。

 さらには、法律論からいっても、看護師が内診を行ってはならないという法律上の文言はありません。条文からは、看護師が産科医の診療補助として内診を行うことができると解釈できます。看護協会の顧問弁護士でさえ、その著書のなかで、看護師の内診に問題ないといっているのです。(「看護婦と医療行為 その法解釈」1997年、高田利廣 著)

 一方、助産師しか内診してはならないとすると、現在の助産師の数では、どう考えても足りないことは、周知の事実です。仮に看護課長通達が正しいものとしても、毎日の医療現場を維持することができません。この通達を強行することは、ただでさえ局所的に崩れつつある産科医療を、一挙に崩壊へと追い込むことになります。次々と公病院が医師不足で産科を閉鎖していく中、なんとか地域医療をささえている現場の産科医が、いままで当たり前に行ってきたことを、突然、違法だといわれて途方にくれています。ですから、業界団体である日本産婦人科医会や日本医師会が、再三、通達の撤回を求めてきました。

 では、現場の多くの産科医が途方にくれ、日本産婦人科医会、日本産科婦人科学会、日本医師会が、そろって反対する通達を、なぜ、看護課長は、強行するのでしょうか。なぜ、実情がわかっていながら、全ての産科診療所に通達を送りつけるという前代未聞の行動をとったのでしょうか。なぜ、現実の医療供給体制が破壊されようとしているのに、なぜ行政は立ち入り検査を強行したのでしょうか。なぜ、医療事故の原因ではない内診問題のためだけに、60人もの捜査員で家宅捜索が行われたのでしょうか。なぜ、強制捜査の新聞記事を行政がコピーし、産科診療所に送りつけたのでしょうか。そこには、看護協会の意向と政治があります。

 しかし、普通に考えると、看護師の内診を禁止することは、看護師の業務範囲をせばめてしまうことになり、看護協会や看護課長が、やっきになって禁止する理由がないように思えます。この一見、矛盾した構図を理解するためには、看護職の複雑な心理的背景を知る必要があるのです。

<看護職の特殊な心理>

 看護協会の活動の中心は、常に、看護職の地位向上運動にあります。世間では、医師の診療補助をするのが当たり前と考えられ、法にも、それが業務として謳われています。しかし、「看護師は独立した専門職であり、医師と対等の職種である。医師の補助職ではない」というのが、彼らの主張の根幹なのです。たしかに、かつての看護師の社会的地位を考えると、地位向上にやっきになることは理解できないわけではないですが、あまりに時代錯誤であり、また、「診療の補助は、看護師の本来の仕事ではない」という主張は、見当外れだと思います。

 実は、内診問題と同じような問題に、静脈注射についての通達があります。かつて「看護師が静脈注射をするのは保助看法違反である」という厚生省の通達がありました。もちろん、現実には遵守不能で、最高裁判決でも違法でないとされました。ところが、公的病院の看護部は、通達を盾に「静脈注射は医者の仕事である」として、絶対に注射をしようとはしませんでした。「看護師の本来の業務は看護であって、医者の手足として働いてはいけない」という主張です。

 この通達は数十年を経て、やっと平成14年に実態に即した変更がなされました。しかし大病院の看護部は今なお反対し、それをどう受け入れるかについて議論があります。看護協会にとっては、医師から独立した専門職として社会的に認知されることが、大命題なのです。とくに大病院の管理職の看護師は、常にこの意識にさいなまれています。

 また、厚労省看護課通達の保助看法解釈が正しいとすれば、新生児看護も、助産師しか行ってはいけないことになります。とすれば、NICU(新生児集中治療室)の看護師は、違法ということになるはずです。しかし、それについては、誰も問題にしないのです。なぜなら、NICUがあるのは、公的な大病院で、看護師が医師に対して比較的、独立した強い立場にあり、看護師が高度な専門業務に従事しているという認識があるからです。

 要するに、看護職には、独立開業権を持ち、医師の指図を受けずに医療を行うことができる助産師というエリート職種がある。ところが、開業医や中小病院では、准看が医師の手足として内診をしている。患者は、エリートの助産師と准看との区別がついていない。けしからん、という話なのです。

 さらに複雑なのは、助産師は独特の分娩観をもっているということです。奇妙な呼吸法や世界に類を見ない乳房マッサージ、生まれてすぐに母子が裸で抱き合うカンガルーケアなど、単なる正常分娩に、様々なこだわりをもっています。非科学的で馬鹿げたことが多いのですが、近代医学に対するアンチテーゼであるため、マスコミにも好意的に受け止められることが多く、産科医としては、あまりに非科学的な話と思っても、否定的なことが言いづらいのです。

 しかし、医療の安全にとって重要なのは、いろいろなケアをしてくれるスタッフではありません。大量出血などの緊急時に、医師の手足となって指示を遂行してくれるスタッフです。看護職が医師に意見をするというのは、専断的な医療行為を諌めるのに大事だというのが、現在のマスコミにおける主流の意見ですが、現実には、手足となって機敏に動いてくれる看護師の方が、はるかに安全なのです。

 実際、このような例があります。ある小さな病院で、助産師を採用しました。入職の条件が「会陰切開の判断は、自分に任せて欲しい」というものでした。公立の大病院に勤めていた方で、「もっと会陰保護をすれば切開しなくてすむのを、医者が切開してしまうのが嫌だった」とのことでした。准看がほとんどだったその病院は、助産師がどうしても欲しかったので、その条件を受け入れました。あるとき、全くの普通のお産がありました。彼女は長い時間がんばって、妊婦にいきまぬよう励ましながら、会陰保護をしました。おかげで初産にも関わらず、無傷でお産になりました。しかし、赤ちゃんは脳性マヒになりました。低酸素血症は、臍帯血から明らかでした。

 いうまでもなく、助産師だけが勤務する病院でも、いくらでも医療事故がおきています。もっといえば、助産院では、あまりにレベルの低い重大事故が多数あります。また、助産院でも子宮収縮剤の投与など、助産師に許されていない明らかに違法な医療行為が、日常的に行われています。しかし、驚くべきことに、それらについては、誰も問題にしようとはしないのです。それどころか、看護協会は、助産師にできる医療行為を拡げるように活動しているのです。

 看護協会は「看護師による内診は違法」だと看護課と一体になって言い募る一方、分娩施設減少の解決として、「院内所産院」、「助産師外来」などの助産師の活用を主張し、強力な広報活動を続けています。彼らにとっては、患者の命よりも、自分たちの地位向上が優先するのです。久常節子看護協会会長は、今年の年頭所感で、本年度の重点事業の第一を「助産師の専門性の強化」としています。

 看護協会の身勝手な活動の例は、他にもあります。東大病院までが地方から看護師をかき集めると社会問題となった「7対1」の強行についても、次のように述べています。

 「昨年は診療報酬改定で、7対1入院基本料が新設されました。「看護師争奪戦」などとマスコミでも騒がれていましたが、手厚い看護配置への改善は、良い改革であることは事実。看護師確保困難の混乱の一部だけを見て、本来の改革の意図まで否定することは問題だと考えます。一番重要なのは、本質は何なのかということ。今の混乱は、改革プロセス上の一時的な現象であるととらえることです。「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という言葉がありますが、働き続けるためには、ライフステージに応じた「仕事」と「生活」のバランスをとる必要があります。
これまで看護職は、夜勤ができて、どんな超過勤務にも耐えられて…と仕事ばかり期待されてきました。」

 つまり、看護師の待遇向上のためなら「一時的混乱」があっても構わない、ということです。地域医療の危機を前に、これが、責任ある職能団体の長の発言といえるでしょうか。

<開業産科医と助産師の関係>

 それでも、開業医の多くは、助産師を採用しようと努力していました。というのは、娩出(赤ん坊の取り上げ)自体を任せることができるので、遠出をして医師が不在の間にお産になっても助産師がとれば保助看法上は違反にならず、医師の自由度が上がるからです。また、助産師を雇うことで医師が当直せず、宅直で呼ばれたときだけ出て行くところもあります。のみにこれは、安全に直結する明白な違法であるにもかかわらず、全く問題にされていません。また、病院では他の科の医師がいれば、形式上は当直医がいるため違法ではありません。現実には産科医が緊急の対応をするのに、宅直中に飲みに出かけるといったことは日常茶飯事です。信じてもいない助産師の非科学的な分娩観に迎合し、自分が楽をするために助産師を集めているところが評価され、看護師とともに医師が貼りついているところが非難を受けるという理不尽がまかり通っているのです。

 また、助産師は開業医の横暴にがまんを強いられているかのようなイメージをお持ちの方が多いようですが、助産師は決して社会的弱者ではありません。むしろ逆です。助産師を雇っているところは、たいがい滅茶苦茶な勤務条件を呑んで、機嫌をとりながら働いてもらっているのです。ですから、「賃金が高いから助産師を雇おうとしない」という意見は、明らかなあやまりです。看護師の給与水準でも、相当に高いのです。わずか月数万円の違いで、あえて法律違反を犯そうとは、誰も思いません。

 しかし、どれほど求人広告をかけても応募がなく、まれに応募者があっても、日勤だけの希望や母親学級の指導だけしたいというケースが大方なのが実情です。当たり前の話ですが、産科が閉鎖された公的病院の助産師は、町の開業産科医に勤めたいとは思わないのです。看護師として、公的病院にとどまる場合がほとんどです。

 さらに言えば、小さな病院や診療所で、実質的に夜勤を支えているのは准看護師です。しかし、ご存知の通り、准看の廃止は看護協会の長年の活動目標です。要するに、「准看がいるために、自分たちまでが低く見られる」というのが彼らの主張ですが、現実に地方の医療の現場を誰が支えているのか、本当に真夜中も患者に寄り添っているのは誰なのかを、協会は無視しています。看護職を希少価値とし、より高待遇を引き出すことを活動目標としているだけです。

<厚労省医政局看護課の特異な性格>

 厚生労働省の看護課長というのは、看護技官の指定ポストで、中途採用で入省する特別な枠です。任命には、看護連盟の意向が反映すると言われています。行政官には、当然のことながら、まず公平性、中立性が求められますが、看護課長の経歴を見ると、看護職の地位向上にことが及んだとき、冷静かつ中立的な立場が保たれるとは考え難いのです。

 一連の通達を出した、田村やよひ前看護課長の経歴をご覧下さい。1948年静岡県生まれ。69年東京大学医学部付属看護学校卒、70年神奈川県立公衆衛生看護学院卒、76年法政大学社会学部応用経済学科卒、90年聖路加看護大学大学院看護学研究科修士課程修了、93年東京大学大学院医学系研究科博士後期課程修了。76年筑波大学付属病院看護婦長、79年より筑波大学医療技術短期大学部看護学科にて助手、講師、助教授を歴任。93年厚生省入省、健康政策局看護課課長補佐、97年看護研修研究センター所長を経て、99年より厚生労働省医政局看護課長。

 看護系議員の清水嘉与子氏も看護課長出身で、東京大学医学部衛生看護学科卒、関東逓信病院看護婦長、東京大学医学部文部教官を経た後、厚生省看護課長となりました。

 看護協会会長の久常節子氏も看護課長出身です。高知県立高知女子大学家政学部衛生看護学科卒業、大阪市立大学家政学部社会福祉修士課程修了、大阪府で保健師として勤務した後、国立公衆衛生院衛生看護学部主任研究官、カリフォルニア大学博士課程の後、厚生省計画課保健指導室長、看護課長となっています。そして退官後、慶應義塾大学看護医療学部教授となり、平成17年より看護協会会長です。

 また、久常節子氏は著書の中で、看護課長になる前から准看を廃止しようと思っていたこと、准看廃止が最大の目標であったこと、それが日医の反対でうまくいかなかったことを恨んでいることを、繰り返し述べています。要するに、厚生労働省医政局看護課は、看護協会、看護連盟の出先機関でしかなく公正中立な行政機関とはいえないのです。看護課長が各議員を回り、看護協会の意向を受けた政策に強引な同意を求めるということについて、国会で民主党議員が抗議の質問をしたことさえあります。

 大病院でも看護部は強大な力を持っています。大学病院の総婦長が、他部署はおろか院長でさえも手出しができない存在であるのと同様に、恐らく、厚生労働省内でも看護協会と看護系議員をバックにつけた看護課は、局長ですら手出しができないのだと思います。在任期間を考えても、医政局長は2年で次々とかわりますが、田村課長は8年もその職にありました。

 事実、日本医師会が医政局長に説明を求めたところ、「預かり知らないところで、看護課長が勝手に通達を出した」としています。省に持ち帰ってからの責任論では、「厚生労働省全体の責任です」という話に変わってしまいますが、それには政治力が働いたと考えるべきでしょう。通達の直前まで、南野智恵子議員は厚生労働副大臣でした。

 さらには、「陣痛促進剤の被害を考える会」の出元明美氏は正看護師です。出元氏は、再三、准看護師を貶める発言を行っています。また、看護協会は報道向けの資料として、彼らが作成した資料を用いています。国会で内診問題について質問に立ったのは、助産師である南野智恵子議員です。通達、検査を強行したのは、田村やよひ看護課長です。医療安全のあり方が社会問題になっているのを利用し、医療事故にからめて被害者の会が追求、これを国会で取り上げ、看護課長が通達を強行する。これでは、マッチポンプです。彼らは、現実の医療供給体制が崩壊しようが、お構いなしなので、あまりに、社会的に無責任な行動です。

 看護協会は単なる職能団体ではありません。政治団体であり、労働団体である上に、被害者団体とも通じ報道操作に長けている、最強の団体です。しかし、それだけなら、彼らの手腕に驚嘆するだけのことです、問題は、看護協会が行政内部に看護課長という看護行政の最高ポストをほしいままにしているという事です。保助看法を所掌している看護課の最高責任者であるから、独断で通達を強行できたのです。

<厚労省看護課の犯罪>

 実際、看護課の異常性を示す事件がおきました。日本産婦人科医会には、会員専用のメーリングリストがあります。持ち出し禁止のクローズドのメーリングリストであるため、内診問題でも非常に活発に本音の意見が交わされ、医会が内診問題についての要望書をつくる原動力となりました。

 昨年8月24日の堀病院事件の直後、会員から次々と速報が寄せられました。一人の会員が、「自分のところでも看護師が内診しているが、このままでは、お産をやめざるを得ない」と書いたところ、匿名で「うかつなことは書かぬほうが賢明と思われます。」というメールが入りました。

 匿名であることと、あまりに異様な雰囲気であったことから、不審に思ってIPを調べました、すると、驚いたことに厚生労働省から送られたメールであることが判ったのです。

 その後の調査の結果、厚生労働省看護課主査であった阿部みほか氏が、この会員専用のメーリングリストに、厚労省内のコンピュータからヤフーのフリーメールを使って会員を装い、不正アクセスをしていたことがわかりました。

 阿部みほか主査は、前助産師係長であり、内診問題のまさに、担当者です。その当事者が、「自分のところでも看護師が内診しており、このままでは、お産をやめざるを得ない」という現場の産科医の声が広がるのを封殺しようと、不正アクセスをしてまで、これに対し「うかつなことを書けば、標的にされるよ」と、心理的圧力を加えたわけです。

 その後の反応時間の早さなどから、主査はメーリングリストを常時監視していたと思われます。また、省内からアクセスしていることから、看護課が組織的に行っていたと推測されます。

 看護課は、いきなり実現不能な通達を出して検査を強行、多くの善意の産科開業医を突如として犯罪者に仕立て上げ、恐怖で発言不能な状況に追いやりました。クローズドのメーリングリストであっても、発言には勇気がいります。しかし、その勇気ある発言には、不正アクセスをおこなってまで監視し、あろうことか、「標的になるからやめるように」と、会員を装った不正な投稿で圧力をかけたのです。これは、国家権力の犯罪です。

<堀病院事件、起訴猶予後の状況>

 堀病院事件は、ご存知の通り2月1日、起訴猶予になりました。非難の報道が相次ぐ中で、一部の報道が問題提起をした事も、検察の判断に大きな影響を与えた原因になったと思います。

 これまで、千葉のケースが略式判決の罰金刑となっていることを理由に、行政は「司法判断でも違法だから、通達の撤回はできない」と言ってきましたが、堀病院事件が「産科の構造的問題」として起訴猶予となり、行政は追い込まれた状態になっています。

 2月7日には枝野幸男議員が衆院予算委員会で、3月5日には櫻井充議員が参院予算委員会で、行政の対応を厳しく追及しました。ところが、このお二人は民主党なのです。櫻井氏は医師ではありますが、産婦人科医会が頼りにしてきたいわゆる医系議員、つまり、医師会の政治団体である医師連盟が推す自民党議員ではありません。

 窮状を訴える数々の陳情を受けているにもかかわらず、結局、医系議員は表立っては動きません。看護協会との利害関係が原因です。彼らからは、「看護協会の抵抗が強くて、難渋している」とばかり聞かされるだけで、国会で追及する姿もありませんでした。今、起訴猶予を受けて事態が進展すべき時なのに、むしろ、行政の面子を立てようとする節さえあります。

 日本産婦人科医会自身も、いまだに通達を遵守するように会員に指導をしていることになっています。これは、執行部の保身が理由です。本来、「医会は違法性がないと解釈しており、通達にかかわらず診療を続け、地域の産科医療を守れ」と指導すべきはずです。しかし、現実に自分がお産をとっている開業医は時間的余裕などないので、執行部にはほとんどおらず、大方の役員は切実さに欠けます。会員が違法だといわれて怯えながら診療しているのに、それを共有しようとせず、自分に法的責任が及ぶことを恐れるばかりです。末端会員からの突き上げで「戦略」を作成しても、それをもとに支部から議員に働きかけて下さいというばかりで、自ら広報しようとはしません。昨年末には坂元正一会長がなくなり、今、選挙戦の最中です。しかし、2名の立候補者も学者出身で、内診問題を第一の課題にあげているものの、自分がリスクを負って通達遵守の指導を撤回するつもりはありません。「各方面と協議します」というだけの話です。

 そうしている間に、産科の崩壊は加速を続けています。大阪市内でさえも壊滅的状態です。
http://www.asahi.com/special/obstetrician/OSK200612160025.html
当院でも年500件だったのが、直近では年換算で600件以上まで、分娩数が増えていました。分娩制限をしていなかった紹介先の病院も、当院の中止の影響か、すぐに制限に入りました。地方は、もっとひどい状態でしょう。

 たしかに産科の崩壊には様々な原因があります。色々な対策が出されていますが、時間のかかるものばかりです。しかし、現場の産科医からみて、明らかに即効性がある確実な対策があります。いうまでもなく、通達の撤回です。

 検察ですら、法的責任を問うと大変な事態になるといっているのです。司法さえもが、現状に配慮しているのに、社会状況を考えて法を運用すべき行政が、頑なに「違法は違法」と法律論を振り回している様は、異常です。そこまで、看護課の立場、すなわち看護協会の立場が強いということでしょう。「それではどうしたらいいのか」という枝野議員の質問に対して、柳沢大臣と安倍総理は、助産師の養成という看護課の見解を繰り返すばかりです。現実に母子の命が懸かっているのです。そんな重大な事態に、当事者の誰もが果たすべき責任を果たしていません。

 産婦人科医会執行部の及び腰に業を煮やした産科医が集まり、「日本のお産を守る会」を立ち上げたのは、先に紹介したとおりです。それまでは、いつ自分のところが標的にされるのか、恐くて声も上げることができなかった開業医たちが、風向きの変化の兆しを感じ、やっと声をあげました。予想をはるかに上回るスピードで、支持が広がっています。以前は事情がよくわからず、「給料が安いからと看護師をやとっている開業医が悪い」などと考えていた勤務医も、いまや多くが事態を理解して賛同しています。

 ところで、国会答弁では厚労省の施策である分娩施設の集約化も、対策とされています。産科医も助産師も少ないのであれば、一箇所に集めたらよいという話です。たしかに、産科勤務医の減少と劣悪な労働環境の改善のために、高次施設は集約化せざるを得ないのは事実です。そして、医局の指示で移動する医師は、容易に集約できます。しかし、助産師はどうでしょうか。実際、公的病院の助産師は、産科がなくなっても看護師として同じ病院にとどまる場合が大方です。公的病院については、そもそも助産師が充足しているのです。開業医で働きたいという助産師が少ないだけです。誰でも個人商店に勤めるより、大企業で働きたいと思います。開業医で助産師として働くより、看護師として大病院で勤務したいと思うは当然でしょう。ですから、養成を増やしても、効果は限定的です。

 一方、高次施設の集約化の流れの中、地域での分娩を望む声は多数あります。産科開業医は、自ら望んで仕事をしているわけですから、労働環境は問題になりません。これをやめさせて、集約化する必要性はどこにもありませんし、「これまでもずっとそうしてきたのだし、看護師に内診してもらって構わない。だから、ここで産みたい」という声はいくらでもあります。また、内診問題さえなければ、病院を辞めていった産婦人科医が、もっと産科を開業するようになります。実際、数年前まで産科の新規開業はいくらでもありましたが、今や、ほとんどありません。

 http://www.midwife.or.jp/pdf/kenkai190205.pdf
 これは、起訴猶予処分に対する、日本助産師会の見解です。要するに、安全というのは口実なのです。「母となる心身のエネルギーを生みだす」という「助産ケア」というイデオロギーこそが、内診問題に頑なにこだわる真の理由なのです。

 もちろん、水中でお産しようが、縄にぶら下がってお産しようが自由です。誰も、邪魔をするつもりはないのです。ただ事実として、それを選ぶ人が少ないというだけのことです。助産所での分娩が減ったのは、妊婦が選択しなかったからです。しかし、看護協会や助産師会は、看護師の内診が危険という根拠のない主張をし、不正な手段で行政を動かし、周産期医療を破壊しておいてから、「お産する場所がないなら、今や自分たちの出番だ」と言っているのです。そして、ただ安全にお産がしたいだけの妊婦に、自分たちのイデオロギーを押し売りしようとしています。

 現在、院内助産や助産師外来が広がっており、報道では好意的に受け止められていますが、これらも看護協会が組織的に推し進めています。決して、必要から自然発生的に生まれてきたものではありません。次の資料にもあるように、看護協会がここまで準備し、広報してきたものです。看護協会は、院内助産院をつくるように病院に働きかけるマニュアルまで作成しているのです。安全性の問題から嫌がる現場の助産師を説き伏せてまで、進めている施策なのです。
http://www.yk.rim.or.jp/~smatu/iken/sankafutotaiho/ihmc/index.htm

 当初は、多くの産科医も好意的であったように思います。ところが、「助産師の自律したケア」という話になり、結局、無茶苦茶になった症例の責任だけを負わなければならないようになるということが徐々に理解され、批判的な見方が増えてきています。実際、助産師の「自律」の要求は高まるばかりで、それを厚労省看護課が後押ししています。例えば、保助看法には、医師の指示がなければ医療機器の操作ができない旨が明記されているのに、「助産師は正常産について医行為ができるので、医師の指示を受けずに超音波検査などを行うことができる」と回答するなど、看護協会と一体となって無茶苦茶な法解釈を進めています。

 実際、目論見通りに、開業医が分娩をやめていく一方で助産所の分娩が増えています。このように、助産師の独立、自律を推し進めている看護協会ですが、助産所の嘱託医問題は躓きとなりました。いままで、何科の医師が助産所の嘱託医をしてもよかったのですが、4月から産婦人科医に限られることとなりました。確かに、当然といえば当然の話なのです。

 例えば、当院で妊娠を診断してから助産所に移った方が、いきなり出血で夜間に来たことがあります。経過もわかりませんので、嘱託医に連絡するようにいうと、「嘱託医は整形外科だから、産科はわからない。何かあったら、前にかかっていた所に行くようにと言われている」とのことでした。その後、出血が続くので長期入院となりました。ハイリスクなので、退院後は2次病院に受診するように指示したのですが、助産師さんから「うちで大丈夫だから検査結果だけ貰ってきて」と言っていると、助産所にもどりました。
 
 リスクを分かっている産科医は、従来から、助産所の嘱託を引き受けるのを嫌がります。その上、内診問題で塗炭の苦しみを味わっているですから、協力しようとする産科医は、ほとんどいません。正直なところ、意趣返しとも言えます。

 また、被害者団体の存在も、内診問題を複雑にしています。「陣痛促進剤の被害を考える会」はその活動によって、促進剤の添付文書の改定や、使用時の分娩監視装置使用の健康保険適用など一定の役割を果たしてきました。しかし、いまやその活動は見当外れの主張を活動自体の為に行っており、「プロ市民」の様相を呈しています。

 会の代表である出元明美代表は看護師ですが、厚生労働省交渉では、やくざまがいの言動です。また、看護師による内診の内部告発を呼びかけるサイトを運営しておられますが、なぜか、同じサイトで「北陵クリニック事件」の守大助被告を擁護、支援していますが、この事件では、「女医の院長には救命の知識がなかったが、看護師で救命処置ができる守被告が妬まれて犯人とされた」という無茶苦茶な論が展開されています。
http://www.sairosha.com/bench/index.htm

 また、産科医を攻撃する一方、助産所は自然分娩だから安全という主張をしており、会が作成した時間別出生数のグラフは、院内助産や助産師外来を推進する看護協会の報道向け資料に使用されています。いわく、「医療機関は昼間の出産が多いが、助産所なら夜が多い。だから助産所なら自然で安全」とのことですが、予定の帝王切開などリスクを伴う分娩は昼間にしますから、当たり前の話です。医療関係者なら常識で考えて比較の対象になり得ないような、市民団体が作成した非科学的なグラフを、看護協会は意図的に報道向けに使用しています。

 さらに、先日には「被害を考える会」は柳沢大臣と会見を持ちました。ご存知の「産む機械」発言を国会で追及する際、社民党の阿部知子議員が会ってもらいたいとお膳立てをしたものです。阿部知子議員は、最初に内診問題を国会で取り上げた方で、看護協会関係者の支援を受けているとも聞いています。

 このように、内診問題によって、周産期医療は壊滅へと追い込まれようとしています。当院でもそうですが、一度分娩をやめてしまうと、簡単には元にもどれません。何年もかけてトレーニングし、作り上げてきたチームが消えてしまうのです。通達の撤回を今すぐにしなければ、取り返しがつかないのです。

 7対1でもそうですが、看護協会は地位、待遇の向上のためなら、現実の医療が崩壊しようがお構いなしです。前述のように、久常会長はホームページの年頭所感の中で、7対1の混乱は「一時的な混乱」であり本質を見失うなと言っています。その後を読むと、本質とは、看護師の待遇の向上でしかありません。あまりに勝手な言い分です。また、今年の重点事業の第一は、助産師の地位向上とされています。

 看護協会と厚生労働省看護課は、自分たちの身勝手な理想のために、妊娠中の母と子を危険にさらしています。診療所が支える地域の産科医療を崩壊させた上、「生むところがないなら、さあ自分たちの出番だ」と助産所や院内助産や助産師外来を広報する。白衣の天使のイメージに守られ、無茶な論理を振り回しては、自分たちに都合のよい施策を打ち出します。そして、それを行政機関である厚生労働省看護課が一心同体となって、推し進めています。看護協会の力を前に、政治までが無力です。

 母子の命がかかっているのに、あまりに反社会的行為です。行政の犯罪ですらあります。なぜ、常識では考えられない通達が強行されるのか、巧妙な戦略に隠された悪意を明らかにし、世論の審判を仰ぐことができたらと、切に願っています。

<参考資料>

 日本産婦人科医会は、この「戦略」を作成して理事会で承認しました。せっかく、看護課の問題を追及する資料なのですが、看護協会の反応を恐れて、自ら報道に説明する勇気がありません。この資料を使って、各支部から地元の議員に働きかけるように要請しているだけです。
http://www.iwanaga-ladiesclinic.gr.jp/sonota/senryaku/hajimeni.html

 一方、業を煮やした産科医が集まり、2月12日に「日本のお産を守る会」を結成し、内診問題の早期解決を訴えることになりました。驚くべきことに2週間ほどで500人以上の産科医の賛同が集まりました。
http://xsv01.med-apple.co.jp/nomk/wk/index.php

*法律論の補足

 無資格問題についていろいろな方とお話をする中で、法律論の面で勘違いをされている方が多くおられました。法律は生き物で、立法趣旨、社会状況を考えて現実に即して常識で解釈するべきものです。細かい法律論を展開するのは無意味だとおもいますが、法的な枠組みの初歩的理解があやふやでは、勘違いが起こりやすい部分の説明を差し上げます。ご参考まで。

 保助看法第3条には「助産師は、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導」とありますが、第5条には「看護師は傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療補助を行う」とあり、妊婦、新生児とは書かれていません。このため、「看護師はやはり、妊婦の診療補助をしてはいけないのだ」と思われる方もあるようですが、まったくの勘違いです。

 第5条は、大正4年の看護婦規則に「傷病者又ハ褥婦看護ノ業ヲ為ス」とあったことから来ている文言です。医事法の大家である高田利廣弁護士の「事例別医事法Q&A」(日本医事新報社)に、これらは看護が必要な者の代表的な例示にすぎず、「たとえば、寝たきり老人、これに準ずる者、妊婦、新生児など、または健康者についても対象となる(予防接種法)」と解説されています。

 そうでなければ、「妊婦、産婦、新生児の看護はダメだが、突然、産後の褥婦だけは看護してよい」ということになり、訳がわかりません。看護が必要な例に褥婦が特に取り上げられているのは、今となっては時代遅れですが、古い法律とはそういうものでしょう。

 次に、臨床放射線技師法違反と同じことだとのご指摘もよくあります。しかし、技師法は「放射線を人体に照射[撮影を含み、照射機器又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内にそう入して行なうものを除く。以下同じ。]することを業とする」と明文の厳密な規定があります。助産という広範囲の行為でなく、はっきりと手技が特定されているのです。

 さらに、別の条文で「医師又は診療放射線技師でなければ、・・(要するに照射)・・してはならない」とあります。ですから、絶対に看護師は照射してはいけないのです。しかし、逆に照射さえしなければ、それ以外の全ての準備を看護師がおこなっても問題となりません。

 一方、保助看法第30条では「助産師でない者は、助産をしてはならない。ただし、医師法の規定に基づいて行う場合はよい」とあり、「医師又は助産師でなければ助産してはならない」とは書いていません。医師法の規定に基づいて医師が診療をするときには、当然、看護師が診療補助をします。

 ですから、「内診は助産行為か」などと助産の定義を議論する以前に、診療補助として看護師が助産行為をすることには形式論的に法律上何の問題もないのです。あくまでも、助産師は自らの業として全ての助産行為をしてよい、つまり助産所を開いてもよいというだけの話です。

 そして、診療補助としては、助産行為の内、どこまでを行って良いのか、逆に、どの助産行為が許されないのかだけが問題となります。(レントゲンの場合でたとえると、何が「放射線の照射」に相当するのか、ということ)看護課長の通達の奇妙なところは、敢えて「助産行為は医師、助産師しかできない。内診は助産行為」としたことです。内診の安全性を問題とするなら、静脈注射の場合と同じように「内診は診療補助の範囲を超える」とだけいえばよいのです。そうすれば、結局、医師か助産師しか内診できないこととなり、同じ効果があるはずです。これでも、保助看法違反といえます。これなら、医学的妥当性が議論の対象になります。

 しかし、「助産は助産師しかできない」と言うから「看護師が診療補助で助産をしたらダメなのか」と法律論をしなくてはならなくなります。真の意図が医療安全ではなく、業務独占の強化にあるから、そう言うのでしょう。医療の安全よりなにより、「助産は助産師の独占業務で、診療補助はできません」という法律解釈をこの機に確定させる方が大事なのだろうと思います。

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コメント

良い(?)文章、ありがとうございます。こちらでも引用させていただきました。多くの人に見てもらえるよう、強く願っています。

投稿: 鴛泊愁 | 2007-07-05 23:26

拙ブログでも引用させて頂きました。
今後とも拝見させていただきます。

私は奮闘する産科の医師たちを応援しています。

投稿: うろうろドクター | 2007-07-06 01:23

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