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2007-08-29

「マスコミたらい回し」とは?(その87) 毎日新聞奈良支局が県南部の産科を絶滅した奈良県で、搬送先に向かう途中の救急車が事故 妊娠三ヶ月の妊婦さんが流産→毎日新聞第一報見出しは「たらい回し」 自らの責任を棚に上げ「周産期医療の救急体制の不備」とあげつらう記事掲載

今日は
 大淀病院産婦死亡事例民事訴訟第二回弁論
の日である。
そんな日に飛び込んできたニュース。
産経より。


受け入れ難航 妊婦搬送中の救急車が事故、死産

 29日午前5時10分ごろ、大阪府高槻市富田丘町の国道171号交差点で、奈良県橿原市の女性(36)を搬送中だった救急車と、大阪府茨木市の自営業男性(51)の軽ワゴン車が衝突した。女性は妊娠3カ月で、別の救急車で午前5時50分ごろ病院へ着いたが、死産が確認された。女性らにけがはなかった。

 奈良県の中和広域消防組合によると、女性は同日午前2時45分ごろ、出血を伴う腹痛を訴え119番通報。産婦人科を探したが、奈良県では受け入れ先が見つからず、12カ所目に打診した高槻市の病院へ搬送する途中だった。

 高槻署の調べでは、救急車は赤色灯をつけて直進。青信号で交差点に進入した軽ワゴン車とぶつかった。同署は双方に落ち度のない事故で、事故と死産の関係は分からないとしている。

(2007/08/29 10:33)

(追記 13:10)上が第一報。現在はもっと長い記事になっている。


奈良から救急搬送の妊婦が流産 10病院受け入れ断る

 29日午前5時10分ごろ、大阪府高槻市富田丘町の国道171号交差点で、奈良県橿原市の妊娠3カ月の女性(36)を搬送中だった中和広域消防組合(橿原市)の救急車と、大阪府茨木市の宅配業の男性(51)運転の軽ワゴン車が衝突。女性は高槻市消防本部の救急車で約40分後、約4キロ離れた同市内の高槻病院に到着したが、流産が確認された。女性らにけがはなかった。事故と流産の因果関係は不明だという。

 女性は事故の約2時間半前の同日午前2時40分ごろに橿原市内で腹痛と出血を訴えて119番通報したが、受け入れ可能な病院が見つからず、そのまま救急車内で待機。10病院、延べ12番目に問い合わせに応じた高槻病院へ向けて出発するまで約1時間半かかっていた。通報現場から病院までは直線距離で約40キロ離れていた。

 奈良県では昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香さん=当時(32)=が19病院から転院を断られた末に死亡しており、産科医療のあり方が改めて問われそうだ。

 高槻署や中和広域消防組合などによると、女性は知人男性とともに近所のスーパーで買い物をしている最中に突然、腹痛を訴え出血。同日午前2時44分、知人男性が「過去に流産している。今も妊娠しているが、切迫流産しているかもしれない」と119番した。

 女性にかかりつけの医師はなく、通報を受けた同組合が県内の空きベッド情報を確認したところ、県立医大病院(橿原市)にベッドがあったものの「手術中で対応できない」と断られたという。

 消防組合は大阪府内の病院に受け入れ要請を続けたが、難航。10病院、延べ12番目に問い合わせに答えた高槻病院に搬送することが決まった。その間、救急車はスーパーで待機。出発できたのは午前4時19分だった。

 高槻署によると、救急車は赤色灯をつけて直進、青信号で進入した軽ワゴン車と接触したという。救急隊員3人と軽ワゴン車の運転手にけがはなかった。

 妊婦の救急搬送をめぐっては、近畿2府4県と福井、三重、徳島の知事でつくる近畿ブロック知事会議が、各府県が協力して出産前後の妊婦の搬送や受け入れ体制を確保することで合意している。

(2007/08/29 10:33)

腹痛と出血を訴え、知人男性が「切迫流産か妊娠中」と危惧して通報、それを受けての救急搬送だったようなので、事故と流産の関係は不明だが、搬送先が見つからなかった妊婦さんには心からお見舞い申し上げる。おつらいこととは存じますが、一日も早く回復されますように。
スーパーで深夜に買い物というからには、妊娠に気がついてなかったのだろうと思われる。気がついてなかったから「かかりつけの産婦人科医がいない」という話になるんだろうし。(追記おわり)

奈良県南部の産科は、
 大淀病院産婦死亡事例についての毎日新聞奈良支局の「誤報垂れ流し」がきっかけとなったメディアスクラムによって絶滅
している。橿原市には奈良県立医大付属病院があるが、今回は受け入れができなかった。昨夜は満月で、経験的にお産が多いと言われている夜でもある。他の病院も似たような理由で、県内には受け入れ先がなかったのだろう。そうでなくても、奈良県内の産科の数は少なかった上に、県南部の産科絶滅で産科ドミノ倒しが起きているところだ。
搬送先が見つからなかったのは、大淀病院産婦死亡事例の後に、奈良県の産科が崩壊状態にあるからだ。産科崩壊は近畿全体および紀伊半島南部に及ぶ。

今回の赤ちゃんがどういう理由で流産する結果になったのかは不明なのだが、搬送中の救急車が事故に遭ったために、事態が明るみに出た。
これまで、
 搬送先が見つからない
という理由で、切迫流産などの処置が遅れた妊婦さんは他にもいらしたのではないか。

今回の妊婦さんが高槻まで搬送されなければならなかった原因の一端は
 毎日新聞奈良支局と大阪本社
にある。一体、どういう記事を書くか、注目している。

続き。(12:20)
毎日新聞がぬけぬけと
 周産期医療の救急体制の不備
を指摘した記事を書いている。ほお。奈良県南部の産科を絶滅させて、そうでなくても手一杯だった奈良県周産期医療の救急体制をズタズタにした責任には頬被りですか。誤報を垂れ流し、奈良県および周辺地域に「お産難民」を大量発生させた道義的責任は負わず、一切反省なしで
 行政の不備だけをあげつらう
のですか?毎日新聞には是非
 奈良県への産科医招聘基金
をつくっていただきたいと常々思っているのですがね。
(追記 13:20)それと
 妊娠三ヶ月の流産(妊娠週数に直すと9週〜12週)
であれば、
 周産期医療(妊娠22週から生後7日までが「周産期」)
ではないのですが、どうしてもそっちに話を持っていきたいのですか。
それとも
 どうせ読者は素人だから、「妊娠三ヶ月の流産」も「周産期」に入れてしまえ
と書き飛ばしたのでしょうか。(追記おわり)

で、毎日の記事だが
 第一報では「たらい回し」という間違った見出し
がついていた。大淀病院産婦死亡事例から1年以上経った今も
 受け入れ不能の回答を寄せた病院を「悪者に仕立て上げたい」
のか。
そして、記事本体だが
 なぜか通常あるはずの記者の署名がない
のだ。あとで夕刊を買って、誰が書いたか確かめようっと。まさかと思いますが
 大阪に転勤した青木絵美記者とか、誤報垂れ流しを援護した根本毅記者とか、大阪の街ネタならお任せの田辺一城記者
じゃないでしょうな。
せっかくだからweb魚拓されている第一報を上げる。


病院たらい回し:妊婦衝突事故後に流産 救急搬送中 大阪

 29日午前5時10分ごろ、大阪府高槻市富田丘町の国道171号交差点で、妊娠3カ月の女性(36)を搬送中の救急車と、茨木市の自営業の男性(51)の軽乗用車が出合い頭に接触した。けが人はなかったが、女性は搬送先の病院で胎児の死亡が確認された。また、女性は119番通報から約1時間半も受け入れ先の病院が決まらなかったことも判明。府警高槻署は、事故と流産の関連を捜査する。妊婦の搬送では、昨年8月に奈良県大淀町の病院を巡る問題をきっかけに、周産期医療の救急体制の不備が浮き彫りになった。
 調べによると、女性は同日午前2時44分ごろ、「下腹部が痛い」と同居の男性を介して119番通報した。女性が妊娠していたため、奈良県の橿原消防署(中和広域消防組合)の救急隊員は同県立医科大に受け入れを要請したが、「手術中のため不可能」と回答された。このため、同消防署は大阪府内の産婦人科など要請したがいずれも「処置中」などを理由に断られ、延べ12件目の高槻市内の病院に決まったのは同4時19分だった。
 同消防署によると、女性は搬送中の午前5時ごろ、救急車内で破水を起し、その約10分後に事故に巻き込まれた。病院に搬送されたのは同5時47分だった。
 同消防組合は「事故による容態の変化は見られなかった。流産との関連は警察の捜査に委ねたい」と話している。
 昨年8月、大淀町立大淀病院で、分娩中に意識不明になった妊婦が転送を同県と大阪府内の19病院に断られた末、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に運ばれ、約1週間後に死亡した。これを受け、国は今年度中に、総合周産期母子医療センターを整備することとしていたが、奈良県など4県で困難な状況に陥っている。
 奈良県では、緊急に高度な治療を要する妊婦を県外の病院に転送する比率が、04年で約37%に上り、全国最悪のレベルだった。母体・胎児の集中治療管理室(MFICU)を備えている病院も、県立医科大学付属病院(橿原市)と県立奈良病院(奈良市)の2カ所だけだった。
 この問題を受け、奈良は未整備だった「総合周産期母子医療センター」を来年5月に設置し、母体や新生児の救急搬送に対応する予定だった。
毎日新聞 2007年8月29日 11時48分

なお現在は次のように見出しを付け替えている。
救急車事故:搬送中の妊婦流産 大阪

ほお。
 一連の「大淀病院産婦死亡事例」報道によって、奈良県の遅れていた「周産期医療の救急体制整備」を促したのは毎日新聞
とか、やくたいもないことを書き飛ばしていた大阪本社らしい、
 言質を取られまいとする記事
ですね。
何故、奈良県内では現在も受け入れが出来ないのか。
何故、奈良県には必要な数を満たすだけの産科医が新たに赴任してこないのか。
その原因をよく考えていただきたいモノです。少なくとも後者に関しては
 毎日新聞の「誤報垂れ流し」がもたらしたメディアスクラム
を目の当たりにした全国の産科医に
 奈良は産科医が新たに赴任すべき土地ではない
と強く印象づけた結果だと思っております。

更に続き。
朝日の記事はこんな感じ。

奈良・橿原の妊婦乗せた救急車、大阪・高槻で事故 2007年08月29日

 29日午前5時10分ごろ、大阪府高槻市富田丘町の国道171号交差点で、奈良県橿原市の中和広域消防組合の男性救急隊員(32)が運転する救急車と、同府茨木市の配送業男性(51)運転の軽ワゴン車が接触した。救急車は約2時間半前に橿原市の妊娠3カ月の女性(36)を乗せたが、奈良県内で受け入れ病院がなく、高槻市内の病院に運ぶ途中だった。別の救急車に乗り換え、約35分後に病院に運び込まれたが、流産が確認された。

 高槻署や同消防組合によると、赤色灯をつけサイレンを鳴らして赤信号の交差点を直進していた救急車の後部に、左から来た軽ワゴン車が接触。双方の車体にすり傷がついた。けが人はなく、流産と事故との関係は不明という。

 女性は腹痛などを訴え午前2時45分ごろ、知人が119番通報。妊娠の可能性が高いため、救急隊員が県の医療情報システムで産科の急患を受け入れられる県内の病院を探した。見つからなかったため大阪府内の病院に電話をかけ、9カ所目で高槻市の病院が受け入れ可能と判明。午前4時20分ごろ、橿原市を出発。病院まで約20分のところで事故が起きたという。

 奈良県では昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明になった女性(当時32)が奈良、大阪両府県の19病院で受け入れを拒まれ、8日後に死亡した問題があった。

朝日の記事だと
 女性は自分が妊娠していると気がついていなかった可能性がある
ように読める。流産して初めて妊娠に気がつくこともあるのだが、これはその不幸な例の一つだろうか。もし、そうだとすると、実にお気の毒だ。

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コメント

現実にこう言う事態がおきてしまうと心が痛みますね。

投稿: Nebula202 | 2007-08-29 12:49

<救急車事故>搬送中の妊婦流産 大阪
毎日新聞 8月29日11時58分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070829-00000041-mai-soci

この記事には<高槻市消防本部によると、女性は妊娠20週目だったとみられるという>と書かれているので、妊娠20週目だったと判断してよさそうです。自己管理ができていない印象がますます強くなりました。

投稿: Nebula202 | 2007-08-29 14:47

当方北関東在住ですが、届いた夕刊の見出しは「病院たらい回し 1時間半11ヵ所」のままです。
怒りが・・・・
署名は、入っていません。

なんで私は、毎日新聞まだとってるんだろ?
ああーーーー腹立つ。

投稿: kabo | 2007-08-29 16:29

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/80351/tb/#Iza
izaのトラックバック先を見ると問題点を分かっていない人間が多いようです

投稿: sakimi | 2007-08-29 16:43

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