「マスコミたらい回し」とは?(その95)奈良県立医大産婦人科教室からの正式コメント
今回の
奈良高槻妊婦搬送問題
によって
メディアスクラムの被害
を受けている最中の奈良県立医大産婦人科教室からweb上に
正式コメント
が出た。
全文を引用する。赤字は原文のままである。
今般の妊婦救急搬送事案について去る8月29日、救急搬送中の妊婦さんが不幸にも死産にいたりましたことについて、誠に遺憾に感じております。
今回の事案につきましては、マスコミを通じて、さまざまな報道がなされておりますが、当病院の産婦人科における8月28日から29日にかけての当直医師の勤務状況や当病院と救急隊とのやり取りについて調査しましたので、その結果を公表いたします。
平成19年8月28日の当直日誌記録より(産婦人科当直者 2名)
時間 対応内容
8月28日(火) 夕方から抜粋
19:06 妊娠36週 前回帝王切開の患者が出血のため来院、診察後に帰宅
19:45 妊娠32週 妊娠高血圧のため救急患者が搬送され入院、重症管理中
09:00~23:00 婦人科の癌の手術が終了したのが23:00、医師一人が術後の経過観察
23:30 妊娠高血圧患者が胎盤早期剥離となり緊急帝王切開にて手術室に入室
23:36~00:08 緊急帝王切開手術
00:32 手術から帰室、医師一人が術後の処置・経過観察をする。重症のためその対応に朝まで追われる。妊婦の対応にもその都度応援する。当直外の1名の医師も重症患者の処置にあたり2:30ごろ帰宅8月29日(水)
02:54 妊娠39週 陣痛のため妊婦A入院、処置
02:55 救急隊から1回目の電話が入る(医大事務当直より連絡があり当直医一人が事務に返事) 「お産の診察中で後にしてほしい」、そのあと4時頃まで連絡なし
03:32 妊娠40週 破水のため妊婦B入院、処置 (これで産科病棟満床となる)
04:00 開業医から分娩後の大量出血の連絡があり、搬送依頼あるが部屋がないため他の病棟に交渉
04:00頃 この直後に救急隊から2回目の電話が入る 「今、当直医が急患を送る先生と話しをしているので後で電話してほしい」旨、医大事務が説明したところ電話が切れた
05:30(病棟へ) 分娩後の大量出血患者を病棟に収容 (産科満床のため他の病棟で入院・処置)
05:55 妊婦Aの出産に立ち会う。その後も分娩後出血した患者の対応に追われる
08:30 当直者1名は外来など通常業務につく、もう1名は代務先の病院で24時間勤務につく
まず、日常の産婦人科業務が激務である中、こうした形で
情報開示に踏み切った
奈良県立医大産婦人科教室に敬意を表したい。
公表された資料からは、38歳妊娠7ヶ月の産科未受診の妊婦さんの救急要請があった夜に、奈良県立医大産婦人科病棟では、いかにタイトな診療・処置が行われていたか、一目瞭然だ。
しかも、8/28-29の夜の当直をされた二人の先生は、一睡もしないまま、翌日の業務に就かれている。代勤先に行かれた先生は、24時間勤務だ。いかに産科の先生方が過酷な日々を送っているかが、この一夜の記録からも読み取れる。
こうした中に入ったのが、元のサイトにも赤字で示されている、中和広域救急からの電話だった。もし、中和広域救急が2:55の電話の直後にもう一度電話をかけ直していれば、事態は変わったかも知れないが、その場合は4:00に搬送された大量出血の産婦さんが助からなかったかも知れないのだ。
そして、もし、そんな不幸な事態が起きてしまったら、マスコミは
県立医大に搬送を断られた妊婦死亡
などと、大きなニュースにして騒いだことだろう。幸いにして、こちらの大量出血の産婦さんは命を取り留めているのだが、
産科の命のトリアージ
は、いかにぎりぎりのところで行われているかが、この記録は語っている。
これでもなおマスコミは
奈良県立医大を責める
のか?もし
奈良県立医大産婦人科教室の最前線で戦う医師の心を折る
ようなことがあれば
奈良県は、日本で初めて産科が完全崩壊した自治体
になるだろう。もう一度、この件の報道に携わっている一人一人に問いたい。
あなたたちは、奈良県の産科を自分たちのペンで完全崩壊させたいのですか
と。
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コメント
マスコミが奈良の産科医療を崩壊させておいて、崩壊したことをセンセーショナルなニュースにするなんて、視聴率を取るために戦争をおこすといったどこかの映画みたいですね。自作自演ってやつですね。
投稿: ほんとほんと | 2007-09-01 14:52