「マスコミたらい回し」とは?(その101)奈良高槻妊婦搬送問題「昨夜から出血が」
38歳の産科未受診の妊婦さんが搬送先がなかなか見つからなかった
奈良高槻妊婦搬送問題
だが、問題の妊婦さんは
前日から出血していた
と救急隊員に話していると、産経新聞が報じている。
苦渋…妊婦死産 搬送の救急隊員語る「受け入れ先なく動けなかった」奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ病院探しが難航し、死産した問題で、救急車で妊婦の搬送に当たった中和広域消防組合・橿原消防署の中村寿孝消防士長(32)が5日、産経新聞の取材に応じ「すぐ運びたかったが、受け入れ先がなく、動けなかった」と悔しさを語った。千葉市内でも最近1年7カ月の間に45人の妊婦が救急搬送の受け入れ拒否にあっていたことも判明。周産期医療体制の問題の根深さが改めてクローズアップされている。
「急ブレーキ避け徐行したが…」
「橿原市醍醐町のスーパーで急病」。同組合通信指令課から同署に搬送指令があったのは、8月29日午前2時47分。運転担当の中村さんは、救護隊長や救護員とともに1分後には救急車に乗り込み、4分後に現場へ。スーパー入り口前のベンチで横になっていた妊婦は「昨日の晩から出血しています。痛い…」と訴えた。
「流産の可能性がある。産婦人科のある病院を手配してほしい」。指令課に連絡し、すぐに妊婦を救急車に乗せた。
ほどなくして指令課から「奈良には病院がないので大阪をあたる」と連絡があった。この後延々と病院探しが始まった。
「遠くなって申し訳ないが、大阪になりそうです」と隊員が告げた。付き添いの男性は「一度家に帰って朝に近くの病院に行きたい」と答えた。だが「流産の可能性がある。このまま病院に行った方がいい」と説得し、妊婦も「病院へ」と訴えた。
だが、搬送先はなかなか決まらない。
「現在の状況を!」(救急隊員)
「〇〇病院に交渉中」 「処置中ということで無理だった」(指令課)
こんなやりとりが何度も繰り返された。
隊員は「なかなか決まらず、すみません」と妊婦に話すと、妊婦は小さくうなずきながらじっと待ち続けたという。
「大阪の高槻病院に連絡がついた。搬送してください」。約1時間半後の同4時19分、中村さんはハンドルを握った。隊員が「これから搬送します」と妊婦に伝えると、付き添いの男性が安堵(あんど)の表情を浮かべた。
同4時半、妊婦が突然「出る、出る」と苦しみ出した。少量の出血。隊員は「ゆっくり深呼吸して。今病院に向かっているから落ち着いてくださいね」と声をかけた。
同5時6分に破水。そのすぐ後に、救急車は高槻市内の国道交差点で軽乗用車と衝突した。事故直前、雨が激しくなり、視界が悪かったという。
「交差点で急ブレーキをかけると妊婦に負担をかける。少しずつ徐行しながら交差点に入ったときだった」と中村さん。「高槻消防の救急車を呼んだので移しますね」と妊婦に説明した。
同7時ごろ、中村さんら隊員は高槻病院へ行き、付き添いの男性に謝罪。消防署の連絡先を記したメモを手渡した。
「患者の不安や痛みを少しでも和らげるためにも、受け入れ先がすぐに決まるようなシステムにしてほしい」。中村さんは、切実に語った。
(2007/09/06 08:10)
う〜ん。
どうも、このやりとりを見る限り、残念ながら、赤ちゃんは救急搬送を受ける以前に胎内で亡くなっていたのではないか、と思われるのだが。
死産して、病院の診察を受けてから、やっと「妊娠24週」という診断が下り、この妊婦さんは翌30日に退院している。以前、切迫流産をしたことがある、という話だったのだから、出血が始まった時点で、産婦人科をすぐに受診すべきだったろう。この妊婦さんの言う「昨日」がどの時間帯かわからないけれども、深夜帯でなければ、もっと早く受け入れてくれる病院は見つかったかも知れない。
今回は残念ながら間に合わなかったのだが、38歳で長い間生理がなく、いきなり不正出血をしたのであれば、切迫流産や重い病気などが疑われるから、その時点で病院にかからないと、命に関わることもある。
35歳を過ぎれば、妊婦としては高齢だし、最近は若年で更年期障害が始まる場合がある。産婦人科は減ってきているけれども、25歳を過ぎたら、かかりつけの産婦人科をもって置いた方がいい。人間の身体は、思ったより複雑なので、メンテナンスは必要だ。
広域救急の整備はもちろん必要だけれども
プレママ教育の充実
も必要である。初等・中等教育や大学教養の段階および政府や自治体の公報などで、啓蒙・教育に努めることが、自分の身体を大切にすることにつながる。
生理が来る限り、妊娠する可能性がある
ということを忘れていると、さまざまな悲しい結果を引き起こす。
おまけ。
超低年齢出産の話。掲示板の書き込みなので真偽は不明。
たらい回し流産「断られて当然」と暴論スレッドより。
198 :卵の名無しさん:2007/09/01(土) 15:58:30 ID:AEC3uMm+0
こんなのかわいいものだ。
今年3月に、○○市民病院にて、小学校6年生が
腹痛を訴えて救急車ではこばれてきた。
これがなんと陣痛。
結局無事に産まれたが、かたわらで母親がおおなきしてた。
(以下略)
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コメント
初めてコメントいたします。
当方,病理医ですが
>赤ちゃんは救急搬送を受ける以前に胎内で亡くなっていたのではないか、と思われるのだが。
のご指摘通りと考えます。
根拠は「子宮内胎児死亡」の診断の警察発表が,第一報の翌日(8月30日)には既に報道されていたことからも伺えます。これは,肉眼観察レベルで明らかに「子宮内で胎児が死んでいた」・・・つまり表皮の剥離や組織の融解などがあり(=浸軟児の状態)「死んで暫く経っている」と判別可能であったことを意味します。浸軟が進むと,死因の詳細な検索は不可能になります。羊膜索症候群,外表奇形,重篤な胎児水腫などといった,肉眼的に明らかな異常がない限り,「死因は不詳」とせざるを得ません。
一方で。
搬送中ないし直前にこの児が亡くなったのであれば,新鮮な死体である筈ですね。この場合,死因を調べるためには,病理組織学的な検索を行う必要が生じ,診断確定までには少なくとも1週間程度を要します。また胎児の死因として「分娩時の低酸素」などといった死亡時の状況が記載される筈であり,「死因は不詳」とはならない。
しかしこの件では【子宮内胎児死亡】【死因は不詳】の【確定診断】が【翌日発表】された。すなわち肉眼診断レベルで【なぜかはわからないが,一目瞭然,死んでいる】との判断がなされた状況からは,胎児の死亡は搬送直前の出来事ではなく,もっと前におこっていたと推察される。
というわけなのです。
投稿: hadzki | 2007-09-11 22:18