「マスコミたらい回し」とは?(その103)なぜか忘れ去られる「フリーライダー(福祉タダ乗り)」論
ある大学でのお話。
女子留学生が妊娠していることが発覚。事務のヒトが気がついた。
慌てて病院に連れて行くと、もう6ヶ月。
無事子どもは生まれたが、未婚。子どもの父親は不法滞在で強制送還された。
留学生は一旦子どもを連れて帰国、その後は子どもを親に預け、また留学生活を続けた。
この留学生は、ちゃんと国保に加入していた。
以前、留学生が病気になったときに問題になったのが
国保未加入問題
で、留学生を抱える大学は、入学時のオリエンテーションで、口を酸っぱくして国保加入を指導するのだが、
高いからイヤ
と、分かっているのに、加入しない学生もいた。そうなると、話は更に面倒なことになる。いわゆる
フリーライダー(福祉タダ乗り)の問題
になるからだ。社会保険費を払わず、
サービスだけは受ける
のでは、社会保険の根幹が崩れてしまう。
奈良高槻妊婦搬送問題を受けて、全国で
うちの自治体にも、似た話が
と藪をつついたような騒ぎになっているのだが、なぜか
フリーライダー(福祉にタダ乗りする人たち)
の話にはならない。長いこと産科を未受診で、場合によっては出産までそのまま、という妊産婦には、
社会保険未加入のヒト
もいるだろうけれども、その話にはならない。外国人による売春が行われている地域では、こうした出産があるはずなのだが、マスコミは敢えてその話には触れない。この手の後ろ暗いお仕事に就いている不法滞在の外国人は、ほぼ、健康保険には加入してない。いろんな例があるだろうけれども、是非
人身売買と国際的非難を浴びている日本の性風俗産業で働く不法滞在外国人女性の妊娠・出産
についても、マスコミは取材していただきたい。ある自治体で、妊産婦検診を無料にしたら、
近隣地域の性風俗で働く外国人女性が押し寄せて、たちまち制度がパンクした
という噂を聞いた。こうしたことは、マスコミが取り上げる話じゃないのか。
というのも、今の魔女狩りに近い
たらい回し報道
は
そもそも、受け入れ不能を告げているだけでは「たらい回し」にはならないから、マスコミの悪意のあるミスリード
である上に、産科未受診の妊産婦についてはバックグラウンドを説明しないから、
社会保険をちゃんと支払っている落ち度のない妊婦が受け入れられなかった
ように見えるけど、本当なのか?
妊産婦の医療という問題とは別に
フリーライダー
については、きちんと議論しないといけないのではないか?
医療費抑制
というならば、
フリーライダーについては、どう対応すべきか
をちゃんと考えないと、偏るのではないのか?それとも
ともかく赤ちゃんとおかあさんがかわいそう
というなら、その妊産婦のバックグラウンドを説明して、例えば
不法滞在で、性風俗に「人身売買」で連れてこられた女性が、社会保険未加入のまま「産科未受診で救急要請」
と書けばいいではないか。そして、
人身売買された女性と生まれてくる子どもの人権を守ろう
という論戦を張ればいいのではないか。
医療や救急を叩くのは結構だが、
長期間にわたって産科未受診の妊産婦の受け入れが難しい
のは、
乾いた雑巾を絞れるだけ絞り、さらに遠心分離器に掛けているような、現在の産科の人手不足
からいうと、この10日ほどのマスコミの論調は
努力しても叩かれる不当なバッシング
である。これは
マスコミの間違った「大本営発表」
だと思う。恐らく、マスコミが依拠している「大本営」では
医師の数は足りている、足りないのは「精神力」だ、働け、もっと医師は働け、過労死するまで働け
と考えているのだろう。これが
人でなしの発想
であることは論を俟たない。
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