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2007-09-10

「マスコミたらい回し」とは?(その105)共同通信の「横浜焦土作戦」を毎日新聞神奈川支局が更に「アシスト」

大淀病院産婦死亡事例の第一報で誤報を垂れ流し、メディアスクラムを発生させて、大淀病院の産科を潰し、奈良県南部の産科を絶滅させたのは
 毎日新聞奈良支局
である。その後、
 横浜堀病院民事訴訟の原告である共同通信記者氏や「陣痛促進剤による被害を考える会」
と歩調を合わせて
 大淀病院と産科の先生叩き報道
を続けている状況については拙blogでも取り上げてきた。
で、横浜堀病院民事訴訟の原告である共同通信記者氏は、職場が支援しているらしく、
 共同通信の産科叩き記事
も非常に多い。しかも通信社という性格上、共同通信の「産科叩き記事」は
 全国の新聞・テレビに配信される
ものだから、そのまま紙面に使われ
 産科憎しの記事が全国紙や地方紙紙面に踊る
こととなる。
かくして、横浜市を中心とする神奈川県東部では
 共同通信による「横浜焦土作戦」
が成功を収めつつあり、
 神奈川県東部の産科事情は日に日に悪化している
のが目下の「戦況」である。(神奈川県西部の産科については、これ以前に崩壊の一途をたどっている)
これについて、
 毎日新聞神奈川支局
が、9/7付で
 搬送拒否
という見出しで、報道しているが、はっきり言って
 今更何を
だ。それとも
 共同・毎日の共同歩調で、更に神奈川県の産科を壊滅に追い込みたい
のだろうか。


妊婦搬送:5回以上拒否、13件−−川崎市、05・06年度 /神奈川

 ◇病院到着は最大143分
 川崎市で05〜06年度に、妊婦の救急搬送受け入れを病院に5回以上拒否されたケースが13件あったことが、同市消防局のまとめで分かった。救急車が呼ばれた場所に着いてから最終的に受け入れた病院に到着するまで、最大143分かかっていた。
 奈良県橿原市の妊婦が搬送中に死産した問題を受けて調査した。2年間で妊婦の搬送は1797件。05年度は6人、06年度は7人が5回以上拒否され、最高で8回拒否されていた。
 受け入れ拒否4回は13人、3回は27人、2回は61人、1回は133人だった。搬送にかかった平均時間は06年度が31分49秒、05年度は31分13秒。妊婦や胎児の容体に影響した事例はなかった
 救急隊は、かかりつけの病院か、近場で受け入れ態勢が整った病院に連絡し許可を得た上で妊婦を搬送する。川崎市消防局は「拒否回数を減らし搬送時間を短縮させるために最善の努力を払っているが、病院の都合もあり難しい」と話す。
 一方、川崎市産婦人科医会の砂田裕和会長は「市内の産科は、聖マリアンナ医大病院をはじめ、ほぼ満床状態で医師も不足している。可能な限り受け入れたいが、限界がある」と医療現場の窮状を語った。【吉住遊】

 ◇搬送1時間以上3件、10回拒否の事例も−−06年、横浜市

 横浜市内でも06年の1年間に、病院に10回拒否されるなど受け入れ先決定まで1時間以上かかった搬送が3件あった。
 横浜市安全管理局によると、06年の妊婦搬送は453件。うち3件は、救急隊到着から受け入れ先決定まで60〜65分、受け入れ病院に到着するまで79〜84分かかった。この間、病院に7〜10回拒否されていた。妊婦はいずれも最終的に市内の病院に搬送され、容体に影響はなかった
 同市の調査によると、市内には53の分娩(ぶんべん)取り扱い施設があるが、04年度に比べて10施設減っている。【池田知広】
毎日新聞 2007年9月7日

毎日の記事は、脊髄反射で
 妊産婦の搬送
だけ。しかも
 容体に影響はなかった事例
ばかりだ。一体、何が問題なのか。要は
 救急を叩き、病院を叩くだけの記事
ではないか。ミスリードもいいところである。
そのくせ、肝心の、妊産婦の緊急搬送とは切っても切れない
 新生児の搬送
についてはスルー。アホですか。
新生児の搬送も、神奈川では悲惨な状況なのだ。つまり
 神奈川県では周産期医療の搬送体制がすでにぎりぎりの所に来ている
のだ。
そして、搬送に時間がかかる事態は、今始まったことではない。実は
 昨年10/7付紙面で、朝日新聞が、神奈川県の妊婦の県外への緊急搬送は1割に及ぶと報道
しているのである。詳しくは以下に。
2006-11-06 首都圏の産科救急崩壊 (その2) 神奈川で高リスク出産は賭け
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/11/2_b801.html
神奈川の県外搬送1割は少ないように思われるかも知れないが、実数にすると100件ほど、妊産婦の搬送が問題になっている奈良県の平成16年の県外搬送が67件だから、神奈川県の県外搬送数の方が遙かに多いのだ。

更にその後、今年の4月には、周産期医療の最前線から証言があり、神奈川の惨状はヒトの知るところとなっている。
2007-04-01 首都圏医療崩壊 神奈川の産科・小児科の惨状
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/04/post_59ca.html
から、問題の箇所を再掲する。


昨日から、あちこちにコピペされているmedtoolz先生のblog「レジデント初期研修用資料 雑記」
 2007年03月31日 神奈川県の現状
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2007/03/post_475.html
だが、後輩から聞いた
 神奈川県の小児科・産科事情
が目を覆う惨状である。
できれば、全文を読んでいただきたいのだが、わたしがショックだったのは以下。
便宜的に番号をつける。

1. 奈良県の産科事例、例の18病院が救急搬入を断った話は、現場では誰も驚かなかった。神奈川では、20病院以上に声をかけても搬入先がみつからないのは日常茶飯事だから
2. 産科救急で一番不足しているのが、小児集中治療に携わる医師。30週未満の早産では、 生まれた子供は集中治療室でないと処置ができない、NICUのない病院は、 そもそも救急搬入に対応できない
3. 小児用の集中治療室が維持できなくなっている。 「早産の子供に対応してほしい」という声よりも、「風邪の子供を 24時間診てほしい」という声のほうが圧倒的に大きくて、集中治療室を放棄せざるを得ない
4. 某大学では、病院が24時間救急を受ける方針を決定した。風邪の子供を抱えたお母さんが 夜中に殺到して外来が回せなくなり、集中治療室を閉めて対応せざるを得なかった

川崎も横浜も、
 人口集中地域
であるにも関わらず、産科が減っているのは、
1. 昨年の「堀病院が無資格助産でガサ入れ」された結果、助産師さんを手当てできない中小規模産科が、医師の高齢化もあって、閉鎖
2. 産科閉鎖で、他の病院に妊婦さんが流れ、その病院のキャパシティを超えた分娩を扱わざるを得なくなり、現場が疲弊、結果的に産科を閉じる「産科ドミノ倒し」が起きる
からだ。これが
 共同通信による「横浜焦土作戦」
だ。もともと、
 日本の産科医の52%は50歳以上
であり、50歳を過ぎると分娩を扱うのは、体力的に難しくなってくる。そこへきて
 無資格助産でガサ入れ
ということになったから
 しんどい思いをして、お産を取っても、それで警察に睨まれるなら割に合わない
と、50歳を過ぎた産科医がお産をやめる速度に拍車がかかっている。その点でも
 横浜堀病院民事訴訟の原告である共同通信記者氏は「産科絶滅に貢献」
している。堀病院にガサが入ったのは、実にこの共同通信記者氏の働きによるところを大とするからだ。そのことはご本人が講演で、明言している。発言内容は以下に。
2007-06-08 「マスコミたらい回し」とは? (その66) 共同通信による「横浜焦土作戦」成功 横浜市内から、産科医次々と立ち去り現場は疲弊

その他、共同通信の「横浜焦土作戦」については、以下に。
2007-06-15 「マスコミたらい回し」とは? (その67) 共同通信による「横浜焦土作戦」更に進む 横浜栄区でついに分娩施設ゼロ 年間500件のお産を取っていた横浜栄共済病院が4月以降新規分娩受付中止
2007-06-17 「マスコミたらい回し」とは? (その70) 共同通信の「横浜焦土作戦」を数字で見る
2007-06-19 「マスコミたらい回し」とは? (その71) 共同通信による「横浜焦土作戦」は周辺からも「援軍」 鎌倉市ではすでに産科は一つだけ 小泉前首相のお膝元横須賀の産科はほぼ壊滅→加筆あり

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