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2007-09-01

「マスコミたらい回し」とは?(その97)大淀病院産婦死亡事例民事訴訟第二回弁論@8/28 大阪地裁→「除脳硬直が起こるほど重症の脳出血」が大淀病院で起きていたなら搬送しても助からなかったのに、その事実を原告側も報道するマスコミも知らないという驚愕の展開

奈良県の産科崩壊を招いた第一章となった
 大淀病院産婦死亡事例
だが、
 民事訴訟の第二回弁論
が開かれた。ここに
 僻地の産科医先生・三上藤花さん
などのみなさんが酷暑の中を傍聴に足を運ばれ、blogに第二回弁論の内容を詳しく書いておられる。是非、ご一読を。
 僻地の産科医先生の「産科医療のこれから」
奈良大淀病院の裁判傍聴にいってきました!
奈良大淀病院の裁判! その2
 三上藤花さんの「日々のたわごと・医療問題資料館」
大淀病院母体死亡「事故」 第2回公判傍聴記(その1)
大淀病院母体死亡「事故」 第2回公判傍聴記(その2)
同じく傍聴されたたまりょさんの「お決まりの日々?」
奈良は燃えましたな(大淀事件 12)
第二回口頭弁論感想(大淀事件 12’(ダッシュ))
同じく傍聴されたkonakiさんの「konakiの言いたい放題」
大淀病院訴訟
引続き大淀病院、救急車事故
さらに引続き

僻地の産科医先生は、大阪地裁で
 大淀裁判の裁判記録の閲覧
をされて、ご覧になった情報をblogにアップされている。ありがとうございます。
大淀裁判、裁判記録の閲覧情報
ここにとんでもない事実が記録されている。僻地の産科医先生のコメントと併せて引用する。


■経緯
※担当産科医の記録、看護師の記録、原告および被告の主張がない交ぜになっています。
※病院側の記録が一番正確に近いと思いますので、これを基本とし、原告が主張した事柄は[原]としたつもりです。
※いざまとめてみると、忘れていたり記憶違いも多そうです。
既にネットでみなさまで行われた検討の方が詳しく正確かと思います。
(略)
2時00分 Vital良、瞳孔大
夫の身内 (当病院の救急で勤務経験) 来院
[原]身内が除脳硬直と判断し、CT等の検査を要求したが、担当産科医は「子癇なので、動かさないほうがよい」として検査せず、「転院先を探している」と言うだけ。
(略)
6時00分 国循到着
これ以降は国循の記録
JCS(JSC?)300、瞳孔5mm、対光反射-、自発呼吸+(挿管中)、痛覚反射-
CT
脳血管撮影の余裕なし、直ちに開頭手術
右脳(?)に7cmの血腫、明らかなMidline Shift、脳幹にも出血、脳室穿破

・・・

8月16日 亡くなった後、国循の医師から、患者の夫の父に病理解剖を勧める
心揺れ動いたが、結局「このまま引き取らせてほしい」との回答
(略)
(ここからは僻地の産科医先生のコメント)
これらを組合わせて考えていただくと、
資料がない時点では、「除脳硬直」があるといっていたのかな?と思いましたが、
「除脳硬直を主張しているのは原告側」ということになります。
まぁ、除脳硬直があったところで、脳出血で除脳硬直といえば
基本的に助からない状態
ですけれど。(原告が搬送の遅れを主張するなら
その時点で搬送して助かった、という主張をせねばならず、これは変
です)

脳出血で除脳硬直が出る、すなわち
 頭をそらす特異な姿勢を取る
ということは、人間の生命活動を維持する脳の内部に出血があり、脳そのものが壊されている、重い病状が疑われる。現在の医学では、一度こうした形で壊れた脳が元に戻ることはほぼない。命を取り留めたとしても、植物状態で、やがて死に至る。(もし誤りがあったら指摘してください)

僻地の産科医先生は、次のようにもお書きになっている。
原告側石川弁護士の知り合いの方とお話しされたようだ。


奈良大淀病院の裁判! その2
(略)
それでお話ししていく過程なのですが。
「子どもなんか助けんでも、お母さんを助けてほしかった」
と考えていると仰います。原告側はそのように考えているとも。
「だって脳出血ですよ?」と私は申しあげました。
「除脳硬直がでるほどの脳出血ですよ?助かるわけがないじゃないですか」
「えっ!?でも脳外科に送れば助かるでしょう」
話がかみ合わないんです。
どうやら岡本さまの奥さまは、「くも膜下出血」で手術をして助けてもらったとのこと。

「。。。えっと。くも膜下出血や硬膜外血腫は脳出血と違うんですよ」
「え、どう違うんですか」
「聞いてらっしゃらないんですか?」
「似たようなもんだって」
「えっ。。。」
ちょっと開いた口がふさがらなくなってしまいました。

くも膜下出血も、硬膜外出血も、脳出血ではありません。
頭蓋内出血ではあるけれど、脳出血は「脳実質」の出血です。
その区別も、まさか原告側はついていない?

 
 
そういえば。。。

法廷で石川弁護士が脳の解剖図を予習していた光景
脳裏によみがえりました!
あっ!なんだあの人、わかってないんだ。
硬膜外出血やくも膜下出血とのちがいも!

解剖図の前に、大事なことが分かっていない!
脳出血がいかに重篤な結果をひきおこすかということも!
そして搬送する前にすでにもう助からない兆候が出ていたってことも。
 

訴える前に調べておいてよ、そんなこと!
とおもいました。
すくなくとも、訴えた後でもいいから、調べてよ。
「医学的なことはわからない」じゃないよ。

 

私たちは滔々と、「脳出血」「除脳硬直」がどんなものであるか、
一生懸命説明しましたが、わかっていただけたかどうかはわかりません。
しかし、ひょっとしたら裁判官にもわかっていないのかもしれません。

 

逆に。
証人尋問で必要なのは、実は脳外科医だということがわかりました
「脳外科医」にカルテを読んでもらえば、一発でこの事件は終了です。
彼らが言っているのは、赤ちゃんうんぬんではないのです。
なぜ母親が助からなかったか。

脳出血が「予見不可能」「一気に起こる」
「除脳硬直までおこった場合には、もう救命はほぼ不可能」
であることを証明してもらえば、
(これはしかし医学生でも十分にわかる基本的事項なのですが)
話が終わってしまうような裁判
だったのです。びっくり。


つまり、まだ彼らはその点がわかっていない
ということがわかったという貴重なお話でした。

いや〜、
 大淀病院産婦死亡事例の民事裁判
って
 原告側が「脳出血が何か分かってない」裁判
だったんですね。凄いぜ、マスコミ。マスコミも、また原告のご遺族のバックアップをしているとおぼしい
 陣痛促進剤による被害を考える会
も 
 脳出血で除脳硬直が起こるほど重症だったら、助からない
ということを知らないから
 「なぜ産婦さんが亡くなったのか理由を知りたい」という裁判を起こした
ってことじゃないのか。なんかとんでもないことになってきました。

一体、この国の裁判制度はどうなっているのだろう。
もし、僻地の産科医先生の読み通りだとすると、医学生の教科書に書いてある程度の基礎的な事実が分からないままに
 なぜ、産婦さんが亡くなったか、その理由を知りたいという訴訟
が続いているんですか。まさか、医療訴訟のプロ、石川弁護士ともあろうヒトが、そんなコトはないと思うのですが。
それって
 本当に裁判を起こして、明らかにしなくてはならないような問題
なのか、極めて疑問だ。ましてや
 「原告側が大淀病院で除脳硬直があったと主張」する「重症の脳出血」について、まったく勉強もせず、大淀病院を叩き続ける毎日新聞・共同通信や民放各局の報道
は、
 日本の医療を絶滅するための「反医療キャンペーンを張っているだけ」
ではないのか。
だって、おかしいでしょ?
 大淀病院の段階ですでに「除脳硬直があった」
のなら
 どこに運んでも、早晩亡くなる
のですが、原告側は
 CTを撮れといったが拒否された
という点だけを主張している。
 除脳硬直があるから速やかな転院を主張したのではない
のだ。
 CTは単に出血部位を確認するだけで、CTを撮っても、除脳硬直が起きるほどの脳出血は治療できない
のだから、
 そんな時間があるならすぐに開頭手術のできる病院に転院
というのが普通の主張なんじゃないのか。
しかも
 解剖してない
から、ご遺族には医学的に不利な裁判なのである。
大淀病院が除脳硬直があったと主張するなら分かるけど、主張しているのは、大淀病院を訴えている原告側なのだ。
原告側が自分に不利になる主張をしているとおぼしい、非常に不思議な裁判だ。それを援護している
 毎日新聞奈良支局と共同通信
は、一体何を考えているのか?

続き。(14:50)
亡くなられた産婦さんが除脳硬直を起こしていた、という話は、
 大淀病院産婦死亡事例にメディアスクラムがかかっていた当時のワイドショー
で取り上げられていた記憶がある。僻地の産科医先生がblogに書かれている裁判記録の通り
 大淀病院で長く総婦長をされていたご遺族のお一人がカメラの前で主張
されていたように記憶する。そして
 除脳硬直を起こしているのに、CTを撮らなかった
と仰っていたように記憶している。
その点で、上記裁判記録とワイドショーに流れたご遺族のお一人のインタビューとは齟齬しない。
逆に言えば、
 ワイドショーのカメラの前で除脳硬直があったと主張したことを、裁判でも主張している
わけで、そのことが
 一切の印象操作を抜きにした、裁判記録に出てくると、残念ながら亡くなった産婦さんは大淀病院で搬送先を探している段階で、手の施しようのない脳出血が一気に起こっていたことを証明している
のである。
ご遺族に関して言えば、民事訴訟を起こした後に放映された、ABCの「悲鳴病棟」でも、明らかに原告不利になると思われる映像の公表を許しており、その点でも疑問に思う。

おまけ。
2006-10-20 「マスコミたらい回し」とは? (その9) 今度は大阪府立母子保健総合医療センター産科部長が「搬送拒否」のいい訳か? 「脳内出血と分かっていれば」と大淀病院を非難
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/9_dc74.html
2006-10-21 「マスコミたらい回し」とは (その11) 今回の大淀病院の事例でどうすべきだったのか 産科救急担当医の見解
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/11_d82d.html
2006-10-22 「マスコミたらい回し」とは (その14) 今回の大淀病院の事例でどうすべきだったのか 産科救急担当医の見解(続き) 一方で毎日新聞奈良支局長は「大スクープ」に大喜び
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/10/14_9c46.html
とくに(その14)では
 産婦さんが脳内出血を起こした場合の基本的な処置
について、詳しく書かれている。これが昨年10月22日には、ネットではすでに議論されていた内容だ。この議論と上記裁判記録とを、是非比較していただきたい。

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コメント

取り上げていただいて有り難うございます(>▽<)!!!!
もう、本当におっしゃるとおりです。
ますます意味が分からない~(;;)。

ええい、こっちも投下です。
搬送に1時間半以上が8月中5件、中和広域消防組合
朝日新聞 2007年09月01日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200708310082.html

            (↓もちろん、ここに注目)
> 医師不足が深刻な奈良中南部で、
> 市民の安全を担保する救急医療体制が危機に
> 瀕(ひん)している実態が浮かんだ。

投稿: 僻地の産科医 | 2007-09-01 17:21

>一体、この国の裁判制度はどうなっているのだろう。
民事ですが、自動車がバイクをはねた交通事故で、
加害者(轢いた方)が被害者(轢かれた方)を
「お前が轢かれたせいで前科がついた。金払え」と
訴えることができる制度です。
訴える人間がいて、(いろいろな意味で)それなりな弁護士がつけば
訴訟は起こせます。
#上記の裁判では、原告(轢いた方)が裁判官に説教されて取り下げたそうですが。

投稿: 泥曰 | 2007-09-02 03:24

>身内が除脳硬直と判断し、CT等の検査を要求
身内氏が何年前まで大淀病院にいて、
その当時の勤務体制がどうなっていたのかは知りませんが、
真夜中の大淀病院で帝王切開+脳外科手術を行えると思っていたら
「CT等の検査を要求(=大淀病院での手術を要求)」しても
おかしくないと思いました。
その後の家族の言動がぐだぐだですが。

投稿: 泥曰 | 2007-09-02 04:15

僻地の産科医先生、泥曰先生、コメントありがとうございます。
僻地の産科医先生、中和はもともと救急に問題ありの地域で、○○に運ばれると生きて出てこないとか、いろいんな話があります。あまりここで救急搬送の対象になりたくないです。奈良県は救急搬送システムが整備されてないのです。道路とハコモノに国の税金を引っ張ってくるのには熱心ですが。
泥曰先生、問題は裁判官に除脳硬直が起きているほど重症の脳出血というのがどういうものか、理解してもらえるかどうかですね。被告側証人にわかりやすく説明してくださる脳外科の先生が出てくださるといいのですが。
福島県立大野病院の第七回公判の傍聴記を読んでいると、「クーパー=日常使うはさみと似たようなもの」と思いこんだ検事の作文が、K先生を苦しめているのだ、と思いました。「はさみでチョキンと胎盤をちょんぎったから大量出血した」というシナリオみたいなんですけど、これは使い方を目の前で実演するなり、ビデオを見せるなりしないと、いつまで経っても、誤解が「罪を作り出す」んじゃないかなと感じてます。
大淀病院の民事裁判でも丁寧な医学的な説明が必要ですよね。

投稿: iori3 | 2007-09-02 06:55

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